公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問113
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問113 (訂正依頼・報告はこちら)
A.D.Baddeleyのワーキングメモリ・モデルのサブシステムとして、誤っているものを1つ選べ。
- 感覚貯蔵
- 音韻ループ
- 中央実行系
- エピソード・バッファ
- 視空間スケッチパッド
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この過去問の解説 (3件)
01
【正解:1】
A. D. Baddeleyらのワーキングメモリ・モデルは、1974年に提唱され、2000年に改訂されました。
このモデルにおいて、ワーキングメモリは、高次の認知活動を司る中央実行系と、以下の3つの記憶貯蔵庫の要素から構成されると考えられています。
・音韻ループ:音声で表現される数や単語、文章などを保持する。
・視空間スケッチパッド:イメージや位置情報などを保持する。
・エピソード・バッファ:音韻ループや視空間スケッチパッドなどからの情報を統合し、一時的に保持する。
以上より、ワーキングメモリ・モデルのサブシステムではないものは1となります。
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02
正解:1
ワーキング・メモリとは、記憶したものを頭の中に留めて作業する能力のことです。例えば、算数の文章問題を聞いて頭の中だけで答えを導き出す、電話番号を覚えて電話をかけるといった能力です。
1、 誤りです。
感覚貯蔵は、ワーキング・メモリのサブシステムではありません。
感覚貯蔵とは、外から入ってきた情報を、一時的に記憶する場所のことで、ここで情報はごく短時間の感覚にとどまり、消えてしまいます。情報に注意が向けられると、短い間記憶されます(短期貯蔵)。
2、音韻ループは、耳で聞いた言葉を覚えるときに使います。例えば、算数の文章問題を覚える、耳で聞いた電話番号を覚えるときに使います。
3、中央実行系は、音韻ループ、エピソード・バッファ、視空間スケッチパッドを取りまとめる司令塔の役割を担います。算数の問題を解いていたはずが、違うことをしていたというのを防ぎます。
4、エピソード・バッファは、経験したできごと(エピソード)を思い出すときに使います。
5、視空間スケッチパッドは、目で見たものを映像によるイメージとして覚える時に使います。
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03
正解は1です。
1.→感覚貯蔵とは、1968年にリチャード・アトキンソン(Richard Atkinson)とリチャード・シフリン(Richard Shiffrin)の「二重貯蔵モデル(dual storage model)」または「アトキンソン-シフリン理論(Atkinson-Shiffrin theory)」の中で出てきた記憶についての用語です。感覚貯蔵庫とは、環境から到達する情報が最初に置かれる記憶内の場所のことを言い、感覚器官から獲得された環境のすべての情報を一時的に(約1秒以内)保存します。これは、A. D. Baddeleyのワーキングメモリー・モデルのサブシステムについての話ではないため、1は誤りです。
2.→音韻ループとは、「音声が何度も繰り返される状況」を指します。会話や文章理解などの言語的な情報処理に関わる機構です。心の声、内なる声などと言われていることもあります。Baddeleyのワーキングメモリー・モデルにおける中央実行系に隷属するサブシステムの1つです。よって、2は正しいです。
3.→中央実行系とは、Baddeleyのワーキングメモリー・モデルにおけるにおける中心的な構成概念であり、下位システムの記憶貯蔵庫(視空間スケッチパッド・音韻ループ)と相互作用して、それらの制御と情報処理を行う認知システムです。 現在の課題要求に応じて、 注意を切り替えたり、必要な情報の更新などの認知制御を行い、目標志向的行動を支えていると考えられています。よって、3は正しいです。
4.→エピソード・バッファとは、容量制約のある記憶貯蔵庫の一種です。中央実行系によりさまざまなソースからの情報を統合・操作する「場」であり、音韻ループと視空間的スケッチパッドを調整したり,エピソードや知識にわかわる長期記憶を音韻ループや視空間的スケッチパッドにつなぐはたらきを担うと想定されています。これも、Baddeleyのワーキングメモリー・モデルのサブシステムのひとつであるため、4は正しいです。
5.→視空間スケッチパッドでは、視覚的および空間的情報を格納します。視覚システム(形、色、質感などを扱う)と空間システム(位置を扱う)に分けられるものです。これも、Baddeleyのワーキングメモリー・モデルにおける中央実行系に隷属するサブシステムの1つです。よって、5は正しいです。
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