公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問117

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問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問117 (訂正依頼・報告はこちら)

公認心理師が留意すべき職責や倫理について、不適切なものを1つ選べ。
  • 心理的支援に関する知識及び技術の習得など資質向上に努めなければならない。
  • 法律上の「秘密保持」と比べて、職業倫理上の「秘密保持」の方が広い概念である。
  • 心理的支援の内容・方法について、クライエントに十分に説明を行い、同意を得る。
  • 心理状態の観察・分析などの内容について、適切に記録し、必要に応じて関係者に説明ができる。
  • クライエントの見捨てられ不安を防ぐため、一度受理したケースは別の相談機関に紹介(リファー)しない。

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この過去問の解説 (3件)

01

【正解:5】

公認心理師の職責および倫理に関する問題です。

公認心理師の職責としては、

①保健医療、福祉、教育等その他の分野の関係者等との連携

②秘密保持義務

③信用失墜行為の禁止

④資質向上の責務

の4つがあります。

また、公認心理師の倫理については、

①多重関係

②秘密保持

③インフォームドコンセント

など計7つの原則があります。

選択肢のうち、1は資質向上の責務、2は秘密保持、3はインフォームドコンセント、4は関係者等との連携に該当し、いずれも正しい記述です。

5:リファーに関する選択肢です。倫理の7原則の1つとして、「十分な教育・訓練によって身に付けた専門的な行動の範囲内で、相手の健康と福祉に寄与する」ということがあります。”範囲内”と言う点がポイントで、自分の知識やスキルが、(ありていに言えば)“至らない”場合は、他の専門家にリファーする必要があります。よって5が不適切なものとなります。

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02

正解:5

公認心理師の職務や倫理については、倫理綱領にまとめられています。

1、専門的資質の向上に努めるよう定められています。

2、「秘密保持」が基本ですが、クライエントの自傷他害など、クライエントを守る場合などでは情報提供が可能ですから、広い概念となります。

3、要支援者の自立性を尊重するため、心理的支援の内容・方法などの説明をし、同意を得るよう努めなければなりません。

4、クライエントの承諾があれば、第三者に情報を開示することが可能です。

秘密保持の例外として、自傷他害の恐れがある場合の、専門家同士のケースカンファレンスなどがあります。

5、不適切です。

これは反対に、公認心理師がそのケースを担当できなくなった場合には、見捨てられ不安を防ぐために、別の相談機関にリファーすることがあります。

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03

正解は5です。

1.→公認心理師法第43条に「資質向上の責務」が定められています。よって、1は適切です。

2.→公認心理師法第41条では「秘密保持義務」が定められていますが、法的な「秘密保持」は「法手続きに基づく理由や人命にかかわる非常事態等の正当な理由がある場合は除く」とされています。一方、職業倫理上の「秘密保持」は、「本人が専門家に対する信頼をもとにして打ち明けた事がら」とされています。よって、2は適切です。

3.→これは「インフォームド・コンセント」のことであり、十分な説明による本人の合意とその実施が求められていることから、3は適切です。

4.→「心理状態の観察・分析などの内容」については公認心理師法第2条に定められており、公認心理師の業務のひとつとなっています。また、記録と関係者への説明については明確な法律の定めはありませんが、医師法では5年間記録を保管するよう義務づけられています。よって、4は適切です。

5.→公認心理師の専門的能力の範囲を超えたクライエントを支援することが、症状の悪化を招くこともあります。専門的能力の範囲外だと判断した場合、他の専門家にできるだけ早くリファーする必要があります。リファー時は、クライエントが見捨てられ不安を抱かないよう、理由を説明し、複数のリファー先を提示し、クライエント自身に決めてもらうことが大切です。よって、5は不適切です。

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