公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問127
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問127 (訂正依頼・報告はこちら)
作業同盟(治療同盟)に関する実証研究について、正しいものを1つ選べ。
- 作業同盟が強固であるほど、介入効果は良好である。
- 作業同盟の概念には、課題に関する合意は含まれない。
- 作業同盟の効果は、対人プロセス想起法によって測定される。
- 作業同盟が確立していることは、心理療法の介入効果の必要十分条件である。
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この過去問の解説 (3件)
01
【正解:1】
作業同盟とは,カウンセリングにおけるカウンセラーとクライアント間の協働関係を指す用語です。
作業同盟は、カウンセラーとクライアント間における、カウンセリングの目標に関する合意や、カウンセリングにおける課題についての合意、両者の間に形成される情緒的絆の3要素から成るとされています。
1:この作業同盟については、Horvathらの研究などから、カウンセリング効果との相関が示されていますので、選択肢1が正しいと分かります。
2:上記より誤りと分かります。
3:対人プロセス想起法は、カウンセラーの訓練法です。面接の録音あるいは録画データを視聴しながら、その時の感じや考えを振り返り、対人プロセスに対する気づきを高めることを目的としています。作業同盟の効果測定法ではありません。
4:Laskaらによれば、作業同盟がカウンセリング効果に及ぼす影響は7.5%とされています。よって、必要十分条件とは言えません。
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02
正解は1です。
作業同盟(治療同盟)とは、もともとは精神分析療法において提唱されたものですが、一般的な心理療法でも「作業同盟」と呼ぶことがあります。
クライエントとカウンセラーの間の治療における協働関係を指します。
作業同盟は、①カウンセラーとクライエントの間におけるカウンセリングの目標に関する合意、②カウンセリングでの課題についての合意、③両者の間に形成される情緒的絆があって成立するものです。
1.→作業同盟がしっかり結ばれていることにより、カウンセラーがクライエントに介入する効果があるという実証研究があります。例えば、NorcrossとLambert(2019)は作業同盟、共感、肯定的関心と承認など、 7 つの項目についてその有効性が証明されていると述べています。よって、1は正しいです。
2.→作業同盟では、インフォームド・コンセント(クライエントが援助の内容についての十分な説明を受け、理解した上で自分の自由意志で合意すること)が行われます。カウンセラーとクライエントの課題設定の合意も含まれます。よって、2は誤りです。
3.→対人プロセス想起法は、面接の録音や録画データを見ながら、その時の感じ・考えを振り返り、対人プロセスに対する気づきを高めるというカウンセラーの訓練法です。クライエントとカウンセラーの作業同盟については測定することができません。よって、3は誤りです。
4.→「必要十分条件」とは、C. Rogersの論文に出てくる言葉ですが、「治療上のパーソナリティ変化の必要にして十分な条件」という論文では彼は6つの条件を提示しています。「治療同盟」が確立していることが心理療法の介入効果の「必要十分条件」とは言っていません。よって、4は誤りです。
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03
正解:1
作業同盟(治療同盟)とは、力動的心理療法において、クライエントとセラピストがお互いに信頼関係にあり、安心して交流ができること、また治療目標や治療で何を行うかについて意見が一致していることを指します。
1、 正しいです。
作業同盟が強いと、介入効果があると言われています。
2、作業同盟は、課題への合意、つまり治療目標や治療で行うことについての合意がある状態のことです。
3、対人プロセス想起法は、カウンセラーの訓練方法のひとつです。
4、作業同盟の確立が、心理療法の介入効果の必要条件とは言い切れません。
「必要十分条件」は、ロジャーズの治療的人格変化についての理論に出てくる用語です。
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