公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問134

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問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問134 (訂正依頼・報告はこちら)

社会状況の変遷によって、子どもの不登校もその発生や捉え方も変遷してきた。この不登校の現象について、適切なものを2つ選べ。
  • 1960年代に、ニューカマー家庭の不就学が問題となった。
  • 1980年代の詰め込み教育の時代に、学校恐怖症が発見された。
  • 1990年前後のバブル経済の時代に、登校拒否という言葉が生まれた。
  • 2000年代の児童虐待防止法改正以降、居所不明児が注目された。(注:「児童虐待防止法」とは、「児童虐待の防止等に関する法律」である。)
  • 現在、不登校の子どもを対象とする特別の教育課程を編成することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

【正解:4と5】

1:ニューカマー家庭とは、新たに外国から渡日してきた家庭を指します。ただし、ニューカマー家庭が来日するようになったのは1980年代半ばのことで、1960年代ではありません。

2:学校恐怖症は、1941年、アメリカのジョンソンによって名づけられました(その後、ジョンソンは研究を進め、養育者から離れなければいけない不安の強さが背景にあると考え、この不安を分離不安と名づけました)。この考えは日本でも支持され、1950年代後半以降に学校恐怖症という用語が日本に輸入されることとなりました。やがてそれは“登校拒否”と呼ばれるようになり、1990年代はじめまでは、学校にいけない(いかない)子どもは登校拒否と表現されていました。

選択肢にある1980年代に誕生した用語ではありませんので、不適切です。

3:選択肢2と同様の理由で、不適切です。

4:居所不明児は、要するに、住んでいた地域や家庭、通っていた学校から姿を消し、その後の所在が確認できない子どものことを指します。児童虐待防止法は2000年11月に施行され、2004年と2007年に改正されています。1回目の改正では虐待の定義の見直しや通告義務の拡大などが行われ、2回目では児童の安全確認等のための立入調査等の強化などが行われました。

このうち、2回目の改正について、その根拠となったのは、第1回目の改正時の「児童虐待の防止等に関する法律」附則に「この法律の施行後三年以内に、児童の住所又は居所における児童の安全の確認又は安全の確保を実効的に行うための方策、親権の喪失等の制度のあり方その他必要な事項について、この法律による改正後の児童虐待の防止等に関する法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること」とされたことです。

つまり、第1回目の改正時には、既に居所不明児が注目されていたことが分かります。よって、選択肢4は正しいと判断できます。

5:文科省(※)によれば、特別の教育課程の編成は可能となっています。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387008.htm (R3.7.29取得)

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02

正解:4・5

1、不就学(非就学とも言います)は、外国人の子どもが、いわゆる日本の義務教育が受けられる学校や外国人学校に学籍がない状態のことです。

ニューカマーとは、「新しく来た人」を意味し、1980年代以降に増えた定住外国人のことです。

2、1940年代のアメリカで、強い不安により登校できなくなる状態が注目され、「学校恐怖症」といわれるようになりました。

3、1970年代にイギリスなどの研究者が、恐怖症は学校に行けない要因の一部であるという理由から、「登校拒否」といわれるようになりました。日本でも1970年前後に登校拒否の定義の研究が行われています。

4、適切です。

居所不明児とは、住民票がある住所に住んでいる様子がない子どものことです。居所不明児は、乳幼児健診や福祉のサービス、義務教育等を受けておらず、自治体による子どもの存在確認ができていない状態となっています。このため、虐待を受けている可能性、生死がわからないといった危険性があります。

5、適切です。

文部科学省は、特例措置として、「不登校児童生徒の実態に合わせて、特別に編成された教育課程に基づく教育を行うことができる」としています。

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03

正解は4と5です。

戦後、学校に行かない・行けない子どもは研究者の間で「怠学」「学校恐怖症」と呼ばれていました。これが、1970年くらいから「登校拒否」という呼び名に変わっていきます。

1998年以降は、統計を取る際に「不登校」という呼び名に変わっていきました。

1.→ニューカマーとは、「新しく来た人」という意味で、1980年代以降に日本へ渡り長期滞在する外国人を指しています。ニューカマー家庭の不就学については、2005年~2006年の文部科学省の調査で、南米出身の日系人等の「ニューカマー」が集住する自治体を中心に、外国人の子どもの不就学の実態調査を行いました。

(「外国人の子どもの不就学実態調査の結果について」文部科学省

 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/001/012.htm 参照)

ニューカマー家庭の不就学が問題になったのは1960年代ではありません。よって、1は誤りです。

2.→「学校恐怖症」という呼び名は戦後からありました。1980年代は「登校拒否」という呼び名に変わっています。よって、2は誤りです。

3.→「登校拒否」という言葉が生まれたのは1970年代であり、1990年前後ではありません。よって、3は誤りです。

4.→「居所不明児」とは、住民基本台帳に記録があるものの、乳幼児健康診査や予防接種等の受診、福祉サービス、義務教育などの記録がなく、連絡や接触が図れないため自治体が安否を把握できない子供のことを言います。2000年代の児童虐待防止法改正以降、何度も居所不明児の調査が行われています。居所不明児の中で安否が確認できないということで、虐待が疑われています。4は正しいです。

5.→文部科学省の「不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の概要」では、「不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を編成して教育を実施する必要があると認められる場合、文部科学大臣が、学校教育法施行規則第56条に基づき(第79条(中学校)、第79条の6(義務教育学校)、第86条(高等学校)、第108条(中等教育学校)において準用)、学校を指定し、特定の学校において教育課程の基準によらずに特別の教育課程を編成して教育を実施することができます」とあります。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1397860.htm 参照)

よって、5は正しいです。

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