公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問137
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問137 (訂正依頼・報告はこちら)
30歳の男性A、会社員。独身で一人暮らしである。Aは、職場での不適応感を訴えて精神科を受診した。幼少期から心配性と言われてきたが、ここ半年ほどでその傾向が一層強まってきた。仕事で失敗したり、失業したりするのではないか、重大な病気にかかっているのではないかなど気になって仕方がない。自分でも心配しすぎだと分かってはいるが、いらいらし、仕事にも集中できず、疲労がつのる。寝つきも悪く、しばしば早朝に覚醒してしまうこともある。
医師からAの状態をアセスメントするよう依頼された公認心理師が、Aに実施するテストバッテリーに含めるものとして、最も適切なものを1つ選べ。
医師からAの状態をアセスメントするよう依頼された公認心理師が、Aに実施するテストバッテリーに含めるものとして、最も適切なものを1つ選べ。
- AQ−J
- CAPS
- GAD−7
- LSAS−J
- Y−BOCS
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この過去問の解説 (3件)
01
【正解:3】
心配的な面を背景とする、様々な不安(妄想)や、情緒不安定さ、集中力の低下、疲労感に睡眠の問題を呈しているケースです。幼少期から心配性と言われており、上記の症状も不安に起因するものであると想定されますから、その想定に沿って検査を選べば良いわけですね。
1:AQ-Jは、Autism-Spectrum-Quotientの略で、自閉症スペクトラム障害のスクリーニングテストとして使われています。なお、最後の“J”はJapanese(日本語版)という意味です。
2:CAPSは、Clinician-Administered PTSD Scaleの略で、PTSDの診断に用いられる面接法のことです。
3:GAD−7はGeneralized Anxiety Disorder -7で、全般性不安障害のスクリーニング検査として用いられています。
4:LSAS−Jはリーボヴィッツ社交不安尺度の日本語版で、社交不安障害の診断や重症度の評価、スクリーニングに用いられています。
5:Y−BOCSはYale-Brown Obsessive-Compulsive Scaleの略で、強迫性障害の検査として用いられています。
この5つの中で、不安と関係しそうなものは3~5です。しかし、Aは対人関係についての不安を訴えてはいませんし、強迫症状も認められません。
従って、3が適切な選択肢であり、4と5は不適切となります。
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02
正解:3
Aの訴えは了解可能なもので、精神病圏ではないことがわかります。
訴えの内容から、将来起こるかもしれないことへの恐れが主訴であり、不安の症状がありそうです。また、集中力低下、疲労、睡眠の問題も見られます。
ここから、「不安」や「抑うつ」を推察し、どのような心理テストを行うかを考えます。
1、AQ-Jは、Autism-Spectrum(自閉症)Quotient(指数)の日本語版のことです。自閉症スペクトラムに見られる症状が、どれくらい自覚されているかをみることができます。
2、CAPSは、Clinician-Administered PTSD Scaleといいます。PTSDの診断のための心理テストです。
3、適切です。
GAD-7は、Generalized Anxiety Disorder(全般性不安障害)を評価する心理テストです。
Aの症状は、不安が主ですが、対人交流場面に関する訴えはないので、LSASではなく、こちらを選びます。
4、LSAS-Jは、Liebowitz Social Anxiety Scaleといいます。社交不安障害の症状をみていく心理テストです。
5、Y-BOCKS は、Yale-Brown Obsessive Scaleといいます。強迫性症状を評価するための心理テストです。
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03
正解は3です。
1.→AQ-Jは、「自閉症スぺクトラム指数日本語版」という心理検査のことを指します。
Aの事例では特に自閉症スペクトラムの症状と言われている「コミュニケーションの障害」「想像力の障害」「こだわりの強さ」等の訴えはありません。よって、1は適切な検査ではありません。
2.→CAPSは、「PTSD症状評価尺度」という心理検査のことを指します。
「幼少期から心配性と言われてきた」「ここ半年ほどでその傾向が一層強まってきた」とありますが、特にPTSDになりそうな出来事を訴えているわけではありません。よって、Aのテストバッテリーに2を含めるのは適切ではありません。
3.→GAD-7とは、「全般性不安障害のスクリーニング検査」のことを指します。
「仕事で失敗したり、失業したりするのではないか、重大な病気にかかっているのではないかなど気になって仕方がない」「自分でも心配しすぎだと分かってはいるが、いらいらし、仕事にも集中できず、疲労がつのる」「寝つきも悪く、しばしば早朝に覚醒してしまうこともある」という症状から、不安障害が疑われるため、3は適切です。
4.→LSAS-Jとは、「リーボヴィッツ社交不安尺度」のことを指します。
Aは自身の仕事についてや病気について心配していますが、特に対人不安等は訴えていません。よって、4は適切ではありません。
5.→Y−BOCSとは、「強迫性障害の症状の程度をはかる心理検査」です。この検査は、精神科医の診察の中で行われます。
公認心理師がテストを実施して診断をすることはできませんので、5は適切ではありません。
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