公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問140
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問140 (訂正依頼・報告はこちら)
75歳の男性A。Aの物忘れを心配した妻の勧めで、Aは医療機関を受診し、公認心理師Bがインテーク面接を担当した。Bから「今日は何日ですか」と聞かれると、「この年になったら日にちなんか気にしないからね」とAは答えた。さらに、Bから「物忘れはしますか」と聞かれると、「多少しますが、別に困っていません。メモをしますから大丈夫です」とAは答えた。
Aに認められる症状として、最も適切なものを1つ選べ。
Aに認められる症状として、最も適切なものを1つ選べ。
- 抑うつ状態
- 取り繕い反応
- 半側空間無視
- 振り返り徴候
- ものとられ妄想
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
【正解:2】
Aの応対に年齢を加味すると、認知症が疑われる事例と言えます。さらに、Aの応対には言い訳がましいところが多分に見受けられます。
これらを念頭において選択肢を見ていきます。
2、4、5はいずれもアルツハイマー型の認知症に特徴的な症状です。いずれも字面から意味が分かりやすいかと思います。
正解である2の取り繕い反応は、記憶障害により様々な問題が生じているにも関わらず、忘れてしまったことをさも覚えているかのように振る舞うことです。
1の抑うつ状態も、認知症に見られる症状ですが、本事例からそれを思わせる記述(不眠や気分障害など)は見られません。
3の半側空間無視は、損傷した大脳半球と反対側の刺激に、気がついたり、反応したり、その方向に向いたりすることが障害されている病態のことです。脳梗塞や脳出血が大脳半球に生じた場合に起こりやすいとされます。
参考になった数47
この解説の修正を提案する
02
正解:2
物忘れを主訴として受診したケースで、公認心理師は認知症を疑ってインテークを進めていることがわかります。日付がわからず、物忘れがあるとのことで、見当識障害や記憶障害があるようです。
認知症の症状として、日付や場所がわからなくなる「見当識障害」、物忘れといった「記憶障害」、重要なことの判断や考えるスピードが遅くなる「理解力や判断力の障害」、身の回りのことができなくなる、憂鬱になる、怒りっぽくなる等があります。
Aの発言から、その場を切り抜けようとしている様子が理解できれば正解できる問題です。
1、抑うつ状態も認知症の症状のひとつですが、このケースでは抑うつ症状についての記述はありません。
2、適切です。
Aの発言は、公認心理師の質問に答えられないのを上手くごまかしているように見えます。自尊心を保ったり、その場の状況をやり過ごしたりするために、はぐらかす、あるいは取り繕うような応答をするのも、認知症の症状です。
3、 半側空間無視は、高次脳機能障害のひとつです。
高次機能障害は、認知症だけでなく、事故による脳損傷、脳梗塞などでも起こります。損傷を受けた脳の反対側で生じる刺激の処理が困難になります。
例えば、左脳を損傷した場合に、右側にあるものに注意が向かず、右に置いてある食事に手を付けないなどの症状が出ることがあります。
4、振り返り兆候は、認知症の症状のひとつです。公認心理師の質問に対して、妻に「いつだった?」と確認して、妻に答えてもらおうとする場合などが当てはまりますが、ここではそのような記述はありません。
5、ものとられ妄想も、認知症の症状のひとつですが、このケースで物を盗まれたという訴えは見当たりません。
参考になった数28
この解説の修正を提案する
03
正解は2です。
Aの物忘れを心配する妻の勧めでの受診から、認知症を疑い、公認心理師Bがインテークを進めようとしています。
1.→不眠、食欲不振、気分が沈む等の訴えが全くないことから、抑うつ状態は考えにくいです。よって、1は不適切です。
2.→公認心理師Bからの質問に対し、答えが出てこず、「この年になったら日にちなんか気にしないからね」「(物忘れはしますかの質問に対し)多少しますが、別に困っていません。メモをしますから大丈夫です」と答えをはぐらかしていることから、取り繕い反応があると言えそうです。よって、2は適切です。
3.→半側空間無視は、大脳半球が障害されて半側からのあらゆる刺激を認識できなくなる症候のことを言います。これは脳梗塞や脳出血を発症した後遺症として現れることがある症状です。頭部のCT等でもわかります。この事例ではそのような記述はないため、3は不適切です。
4.→振り返り徴候とは、軽度・中等度のアルツハイマー型認知症の人が示すことが多い徴候です。しばらく会話を続けていると、記憶障害のために、同じ内容を初めてかのように繰り返して話します。この事例では特にそのような徴候はみられません。よって、4は不適切です。
5.→ものとられ妄想とは、財布や現金、貯金通帳や宝石類など財産に関連するものを盗まれたと思い込んでしまうことを指します。アルツハイマー型認知症の特徴的な症状のひとつです。この事例では特にものを盗られたという訴えはありませんので、5は不適切です。
参考になった数11
この解説の修正を提案する
前の問題(問139)へ
第3回(2020年)問題一覧
次の問題(問141)へ