公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問142

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問142 (訂正依頼・報告はこちら)

55歳の男性A、会社員。Aの妻Bが、心理相談室を開設している公認心理師Cに相談した。Aは、元来真面目な性格で、これまで常識的に行動していたが、2、3か月前から身だしなみに気を遣わなくなり、部下や同僚の持ち物を勝手に持ち去り、苦情を受けても素知らぬ顔をするなどの行動が目立つようになった。先日、Aはデパートで必要とは思われない商品を次々とポケットに入れ、支払いをせずに店を出て、窃盗の容疑により逮捕された。現在は在宅のまま取調べを受けている。Bは、逮捕されたことを全く意に介していない様子のAについて、どのように理解し、対応したらよいかをCに尋ねた。
CのBへの対応として、最も優先度が高いものを1つ選べ。
  • Aの抑圧されていた衝動に対する理解を求める。
  • Aの器質的疾患を疑い、医療機関の受診を勧める。
  • Aに内省的構えを持たせるため、カウンセリングを受けるよう勧める。
  • Aに再犯リスクアセスメントを実施した後、対応策を考えたいと提案する。
  • Aの会社や家庭におけるストレスを明らかにし、それを低減させるよう助言する。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

【正解:2】

元来生真面目な性格であったAが、身だしなみに気を遣わなくなり、他人の物を持ち去ったりするようになり、ついにデパートで万引きし逮捕されるに至ったAについて、Bが心理師のもとに相談に来た事例です。

ここでポイントになるのは、逮捕されたことを意に介さないAの様子です。また、苦情を受けても素知らぬ顔をしているとの記述もあります。

何らかの疾患が想定されるケースである一方、Aに病識がないということですから、その疾患は心因性や、性格特性によるものではないと考えることが出来ます。

この視点で見ると、1や3、5は誤りであると分かります。

4については、窃盗はAの著しい変化を示す一例にすぎませんので、再犯リスクアセスメントは本質的な対応とは言えません。

ここでは2が正解となります。

なお、人格の変化や非常識な行動に加え、年齢(55歳)も考慮すれば、前頭側頭型認知症が想定されるケースと言えるでしょう。

参考になった数51

02

正解:2

この問題では、「従来のAとは異なる行動が突然起こった」とBが訴えているところがポイントです。おそらく年齢相応に社会生活をおくっていたであろうAが、逮捕されたことを意に介していないのは、理解しがたいことです。一般的に考えて理解しがたい行為が生じている時には、精神病圏にあることや、脳の器質性の問題を疑うことが必要です。

1、抑圧のような心の問題が原因とは考えにくいケースです。

2、正しいです。

まず医学的な診断を行うことが必要なケースです。

器質的疾患とは、身体の臓器や器官に生じる病気のことです。器質性精神障害は、身体疾患により脳機能に問題が生じたり、事故や脳梗塞などで脳がダメージを受けたりするものです。

3、心の問題とは考えにくく、現時点でカウンセリングは優先されません。

4、再犯リスクを検討する必要はあると思われますが、Aの状態を医学的根拠に基づいて明らかにする方が優先です。

5、ストレスのような心の問題が原因とは考えにくいケースです。

参考になった数17

03

正解は2です。

元来真面目な性格で、これまで常識的に行動していたが、2、3か月前から身だしなみに気を遣わなくなり」「部下や同僚の持ち物を勝手に持ち去り、苦情を受けても素知らぬ顔をするなどの行動が目立つようになった」「逮捕されたことを全く意に介していない様子」ということで、器質的な疾患も疑われる事例です。

CのBへの対応として、最も優先度の高いものは、まず器質的疾患があるか否かを調べることです。

器質的疾患がないとわかったら、心理的な要因を調べるという順番になります。

1.→Aの抑圧されていた衝動に対する理解を求める前に、器質的な疾患がないかどうかをまず調べる必要があります。よって、1は最も優先度が高いものではありません。

2.→Aの器質的疾患を疑い、医療機関の受診を勧めることは最も優先度が高いことです。まずは医療機関を受診してもらい、器質的疾患がないかどうかを調べることが必要です。

3.→Aにカウンセリングを勧めるのは、器質的疾患がないとわかってからでも遅くはありません。よって、3は最も優先度の高いものではありません。

4.→Aに再犯リスクアセスメントを実施した後、対応策を考えたいと提案するのは、Aに器質的疾患がなく、心理的アセスメントを実施した後になりますので、4は最も優先度の高いものではありません。

5.→Aの会社や家庭のストレスを明らかにすることも大事ですが、まずは器質的疾患がないかどうかを調べることが最優先です。よって、5は最も優先度の高いものではありません。

参考になった数12