公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問149
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問149 (訂正依頼・報告はこちら)
17歳の女子A、高校2年生。Aは、自傷行為を主訴に公認心理師Bのもとを訪れ、カウンセリングが開始された。一度Aの自傷は収束したが、受験期になると再発した。AはBに「また自傷を始めたから失望しているんでしょう。カウンセリングを辞めたいって思ってるんでしょう」と言うことが増えた。BはAの自傷の再発に動揺していたが、その都度「そんなことないですよ」と笑顔で答え続けた。ある日、Aはひどく自傷した腕をBに見せて「カウンセリングを辞める。そう望んでいるんでしょう」と怒鳴った。
この後のBの対応として、最も適切なものを1つ選べ。
この後のBの対応として、最も適切なものを1つ選べ。
- 再発した原因はB自身の力量のなさであることを認め、Aに丁重に謝る。
- 自傷の悪化を防ぐために、Aの望みどおり、カウンセリングを中断する。
- 再発に対するBの動揺を隠ぺいしたことがAを不穏にさせた可能性について考え、それをAに伝える。
- 自傷の悪化を防ぐために、Bに責任転嫁をするのは誤りであるとAに伝え、A自身の問題に対する直面化を行う。
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この過去問の解説 (3件)
01
【正解:3】
受験期に自傷行為が再発した事例です。AはBに対し、「失望しているんでしょう」と言い、Bは動揺しながらも「そんなことないですよ」と答えました。
ここで問題になるのは、“動揺しながらも”の部分で、Bの内面では動揺(あるいはAへの失望)があったにもかかわらず、それを面接中に扱わなかったことになります。いわゆる逆転移の問題ですね。現在では、逆転移も面接で扱う考えが主流ですから、その方針に沿った選択肢を選べば良いので、3が正解となります。
1:事例には「受験期に再発した」としか書かれておらず、Bの力量の問題かどうかは不明です。
2:Aの発言を鵜呑みにして、安易に中断すべきではありません。事例からは、AがBに依存し、見捨てられ不安を抱いていることが読み取れます。すると、ここで中断した場合、見捨てられ不安は現実のものとなってしまいます。
4:自傷の悪化には、前述したBの対応が一因となっていることは間違いありませんので、「責任転嫁をするのは誤り」とAに言うのは、それこそ責任転嫁となってしまいます。
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02
正解:3
自傷を繰り返すAと公認心理師の関係性に関する問題です。
ここでは、特定の技法を想定しなくても、Aと公認心理師が、お互いに信頼関係がもちにくい状態になっていると理解できます。
1、Aは公認心理師Bの力量不足を責めているのではありません。カウンセリングを続けてよいのか、Bに見捨てられないかと不安に感じていることが推察できます。
2、1のように考えると、カウンセリングを中断することは、逆にAの不安につながります。
3、適切です。
Bとの関係に不安を抱えるAとの信頼関係を再構築するための方法として、適切です。
4、B自身が動揺している自覚がありながら、一方的にAを責めるのは、誤りです。
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03
正解は3です。
公認心理師BがAの自傷行為の再発に動揺しながらも、笑顔で「そんなことないですよ」と答え続けていたことが、Aにとってどう影響したかをBが内省する必要性があります。
1.→Aの受験期に自傷が再発したことについては、B自身の力量のなさからくるものかは明らかではありません。よって、1は適切ではありません。
2.→カウンセリングを中断することは、Aに見捨てられ不安を与えることになります。また、「カウンセリングを辞める。そう望んでいるんでしょう」とAが言ったのは、辞めてほしいから言ったというよりは、「あなたも見捨てるんでしょう」という意味合いもあると考えられます。よって、2は適切ではありません。
3.→Bの言動がAに与えた影響を考え、内省することは、治療にとってとても重要なことです。そして、Bの言動がAに与えた影響を確認することも必要なことです。よって、3は適切です。
4.→BのAに対する在り方を考えずに、Aだけに責任転嫁するのは不適切です。Aだけが直面化するのではなく、Bもこの問題に直面化する必要性があります。よって、4は不適切です。
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