公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問150

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問題

公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問150 (訂正依頼・報告はこちら)

9歳の男児A、小学3年生。Aは、注意欠如多動症/注意欠如多動性障害<AD/HD>と診断され、服薬している。Aは、待つことが苦手で順番を守れない。課題が終わった順に担任教師Bに採点をしてもらう際、Aは列に並ばず横から入ってしまった。Bやクラスメイトから注意されると「どうせ俺なんて」と言ってふさぎ込んだり、かんしゃくを起こしたりするようになった。Bは何回もAを指導したが一向に改善せず、対応に困り、公認心理師であるスクールカウンセラーCに相談した。
CがBにまず伝えることとして、最も適切なものを1つ選べ。
  • 学級での環境調整の具体案を伝える。
  • Aに自分の行動を反省させる必要があると伝える。
  • Aがルールを守ることができるようになるまで繰り返し指導する必要があると伝える。
  • Aの年齢を考えると、この種の行動は自然に収まるので、特別な対応はせず、見守るのがよいと伝える。

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この過去問の解説 (3件)

01

【正解:1】

ADHDは、「不注意」(集中力がないなど)、「多動性・衝動性」の2つの特性を中心とした発達障害です。ADHDの症状は7歳までに明らかとなり、幼稚園や学校生活のさまざまな場面で2つの特性による行動が確認されます。ADHDに関連した症状は短期間で消失するものではないため、学業や友人関係の構築に困難を覚えることがあります。

ADHDに対する代表的な支援方法としては、環境調整やペアレントトレーニング、薬物療法などが挙げられます。選択肢の中では1が該当しますね。

2:Aには注意されるとふさぎ込む様子が見られます。元々ADHD児は出来て当然のことが出来ず劣等感を抱きやすい特徴があるため、反省を促す態度は、Aの劣等感を助長する可能性もあります。また、ADHDは概して“頭ではわかっているけど、つい動いてしまう”という特性を有しているため、その意味でも、反省を促す対応が適切とは言えません。

3:選択肢2同様、“頭ではわかっているけど、つい動いてしまう”以上、繰り返し指導しても効果は見込めないでしょう、実際、「何回も指導したが一向に改善しない」という記述も問題文中にあります。

4:単に見守るだけでは、例えばクラスメートとのトラブルが増え、二次障害として不登校になる、といったことが起こる可能性があります。

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02

正解:1

AD/HDと診断されたAの担任に対するコンサルテーションの問題です。

AD/HDは注意欠如・多動症のことで、落ち着きがなく、衝動的であるといった症状が見られます。薬物療法や環境調整とともに、保護者へのペアレント・トレーニングを行うことがあります。日常生活を送るなかで、傷つきなどにより、不調が生じることがあります。

Aは、今までにも注意されることが多く、自尊心が低下しているように見受けられます。

1、 正しいです。

Aの問題行動が起きる場面について把握できていますから、環境調整をすることは適切です。

2、Aの「どうせ~」という発言から、すでに自分が失敗していることに傷つき、自信も無くしている様子がうかがえます。よって、反省を促すことは、さらなる傷つき体験を生むことにつながり、逆効果と考えます。

3、Aに必要なのは、指導ではなく支援であると考えます。

4、自信を失っているAが、上手く行動し、自己肯定感が持てるよう支援することが必要です。

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03

正解は1です。

AD/HDで有効な対応策としては、「薬物療法」「環境調整」「ペアレントトレーニング」が挙げられます。

1.→学級での環境調整の具体案を伝えることは適切です。例えば、採点の時に並ぶという方法を変えるなど、具体案があると衝動性が目立たなくなることがあります。よって、1は適切です。

2.→Aに自分の行動を反省させるということですが、余計にAの自己肯定感が下がってしまい、「どうせ僕は…」となってしまいがちになります。さらにAが傷つくことになりますので、2は不適切です。

3.→「Bは何回もAを指導したが一向に改善せず」とありますので、Aを繰り返し指導することで良い方向には向かっていないことがわかります。よって、3は不適切です。

4.→衝動性は大人になってもおさまらないことも多いです。また、見守っているうちにますますAが怒られることが多くなり、自己肯定感が下がったり、他の子からの風当たりが強くなってしまったりすることもあります。よって、4は不適切です。

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