公認心理師の過去問
第3回(2020年)
午後 問151
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問題
公認心理師試験 第3回(2020年) 午後 問151 (訂正依頼・報告はこちら)
50歳の女性A、看護師。Aは看護師長として、職場では部署をまとめ、後進を育てることが期待されている。これまで理想の看護を追求してきたが、最近は心身ともに疲弊し、仕事が流れ作業のように思えてならない。一方、同居する義母の介護が始まり、介護と仕事の両立にも悩んでいる。義母やその長男である夫から、介護は嫁の務めと決めつけられていることがAの悩みを深め、仕事の疲れも影響するためか、家庭ではつい不機嫌になり、家族に強く当たることが増えている。
Aの事例を説明する概念として、不適切なものを1つ選べ。
Aの事例を説明する概念として、不適切なものを1つ選べ。
- スピルオーバー
- エキスパート・システム
- ジェンダー・ステレオタイプ
- ワーク・ファミリー・コンフリクト
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この過去問の解説 (3件)
01
正解:2
Aは、職場では理想と現実の葛藤、家庭では仕事との両立、性別、役割に対する葛藤を抱え、心身に影響を及ぼしていることが推察できます。
1、スピルオーバーとは、ワーク・ライフ・バランスに関して、仕事あるいは家庭での役割や状況が、仕事あるいは家庭のもう一方に影響を与えることをいいます。
Aの場合は、仕事が原因となり、家庭で求められる役割に影響を及ぼしています。
2、不適切です。
エキスパート・システムとは、コンピュータシステムのことです。
ここでは、他の用語はワーク・ライフ・バランスに関係していますが、これは全く異なる分野の用語ですから、こちらが不適切となります。
3、ジェンダー・ステレオタイプは、性別に対する型にはまった考え方のことです。
Aの場合、「長男の嫁は介護をするべき」という夫の考え方がそれにあたります。
4、ワーク・ファミリー・コンフリクトとは、仕事と家庭の両方から求められることがこなせないという葛藤状態です。
Aの、仕事のために家庭で求められる介護ができない、機嫌が悪くなるという状態がこれにあたります。
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02
正答は2です。
50歳の女性Aは、仕事と家庭の両立に悩んでいます。
仕事と生活のバランスをとることは、ワーク・ライフ・バランスと呼ばれています。
その中でも、仕事と家庭のバランスをとることは、ワーク・ファミリー・バランスと呼ばれています。
1.スピルオーバーとは、溢れ出ることを意味する単語です。
Aが「仕事の疲れも影響するためか、家庭ではつい不機嫌になり、家族に強く当たることが増えている」ことは、仕事の状況が家庭の状況に影響を及ぼしている、まさにスピルオーバーの状態です。
2.エキスパート・システムは、エキスパート(専門家)の意思決定能力を模倣させる人工知能の技術のことです。
したがって、この選択肢は不適切(正答)です。
3.ジェンダー・ステレオタイプとは、性役割の思い込みや偏見のことです。
Aは義母や夫から、介護は嫁の務めと決めつけられていますので、まさにジェンダー・ステレオタイプの押し付けが起こっていることがうかがわれます。
4.ワーク・ファミリー・コンフリクトとは、仕事と家庭のバランスをとろうとする中で、葛藤が生じることです。
仕事と家庭のバランスをとることは理想ではありますが、Aはその過程で葛藤を感じている状況です。
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03
正解は2です。
1.→スピルオーバーとは、一方の役割(仕事や家庭)における状況や経験が他方の役割(仕事や家庭)における状況や経験にも影響を及ぼすということを指します。この事例では、看護師としての役割における状況が家庭における状況にも影響を及ぼしています。よって、1は適切です。
2.→エキスパート・システムとは、特定の専門分野の知識をもち、専門家のように事象の推論や判断ができるようにしたコンピューターシステムのことです。エキスパート・システムを使うことで、専門知識のない人であっても専門家と同等の問題解決・判断が可能になると言われています。この事例には当てはまらないので、2は不適切です。
3.→ジェンダー・ステレオタイプとは、「男の子は青、女の子はピンク」のような、社会によって作られた先入観や価値観のことをいいます。「男らしさ・女らしさ」という、性別役割の植え付けのことを指します。この事例では、「介護は嫁の務め」と決めつけられているところがあてはまります。よって、3は適切です。
4.ワーク・ファミリー・コンフリクトとは、ある個人の仕事と家庭領域における役割要請が,いくつかの観点で互いに両立しないような役割間葛藤の一形態を指します。この事例では、仕事では看護師長としての役割を期待されているけれど、家では仕事の疲れも影響して不機嫌になってしまったり、家族に強く当たったりしてしまう状況で葛藤が生じています。よって、4は適切です。
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