問題
Cの対応として適切なものを2つ選べ。
正解:1・4
ASDの診断を受けている生徒が、その障害特性ゆえに、クラスでトラブルになっているケースです。
ASDの症状は人により様々ですが、Aにはこだわりと、感覚過敏はありそうです。また授業中に寝ているのは薬物療法の副作用である可能性や、暴力行為は過去に友人とトラブルがあった可能性が推測できるかもしれません。
1、 適切です。
Aの特性や治療方針について、主治医と情報共有したり連携したりすることは、適切です。
公認心理師法にも「主治の医師の指示は必要」とあります。
2、ASDの特性のひとつに、周囲とのコミュニケーションが取りづらいというものがあります。
Aが意図してトラブルを起こしているのではないため、あえてトラブルや孤立を経験させるのは、誤りです。
3、周囲の子どもに我慢させることで、よりAが孤立する可能性が考えられます。周りの子どもには、我慢よりも、Aとの関わり方と教えます。
4、適切です。
まず、教師たちがAの障害特性を理解し、Aが繰り返し質問してきたときの対応などを検討するのは、適切です。
5、過去の嫌な出来事が忘れられないのも、ASDの特性のひとつです。
Aにも忘れられない出来事があり、乱暴な行為にでている可能性があるため、この助言は不適切です。
正解は、1と4です。
自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害〈ASD〉は、広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症を含んだ診断名です。
相互社会的なコミュニケーションの障害や、対人的相互作用の障害、興味・行動などの限定された反復的な行動が、幼児期早期から認められます。
1.Aは小学校から自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害〈ASD〉の診断を受けていますので、Aの支援を行う上で、主治医と連携することは必要です。
2.「周囲とのトラブルや孤立経験を通して、Aに正しい行動を考えさせる」という対応は、ASDの方に対する適切な対応ではありません。
3.スクールカウンセラーである公認心理師Cは、担任教師BからAについての相談を受けていますので、Cの仕事(役割)は、担任教師Bに対しコンサルテーションを行うことです。
「Aから不快な言動を受けた子ども」に「指導」を行うことはありませんので、誤りです。
4.公認心理師Cはスクールカウンセラーですので、Aの担任教師Bのみならず、必要に応じて、学校全体の教師に対するコンサルテーションを行うことが求められます。
Aの指導に関わっている教師たちにコンサルテーションを行うことは、適切です。
教師たちに、ASDについて説明し、理解を促すことは、Aへの支援となります。
5.公認心理師Cは、担任教師Bから相談を受けていますので、Aに直接関わるのではなく、担任教師Bへのコンサルテーションを行うことで、Aを支援することになります。
「衝動的で乱暴な行動は過去のいじめのフラッシュバック」ということは、Aから直接話を聞いたわけでもありませんし、状況を観察したわけでもありませんので、断定できません。
正解は1と4です。
1.→自閉スペクトラム症の診断を受けているということは、主治医がいるということです。スクールカウンセラーが主治医と連携をとって対応を考えることは適切です。よって、1は適切です。
2.→「周囲とのトラブルや孤立経験を通して、Aに正しい行動を考えさせる」というのは、Aの特性に起因するいじめを容認する姿勢につながりかねません。よって、2は不適切です。
3.→Aから不快な言動を受けた子どもに我慢をさせるということは、我慢している方もストレスがたまり、場合によってはいじめに発展してしまうおそれもあります。よって、3は不適切です。
4.→「授業中にAが同じ質問をしつこく何度も繰り返す」ということは障害特性であることを説明し、かかわる教師に理解を促すということは適切です。よって、4は適切です。
5.→「衝動的で乱暴な行動は過去のいじめのフラッシュバック」である可能性はありますが、過去の嫌な出来事がなかなか忘れられずそこにこだわってしまうのも自閉スペクトラム症の特性です。過去のことだから忘れなさいという対応は適切ではありません。よって、5は不適切です。