公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午前 問66
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問題
公認心理師試験 第4回(2021年) 午前 問66 (訂正依頼・報告はこちら)
67歳の男性A、税理士。重度認知症の母親Bと二人で暮らしている。Aは、Bの介護をしながら税理士の仕事をしている。Aは、1年前から集中力や思考力が低下して、仕事が捗らなくなった。ミスも増えたため、仕事を辞めようかと悩んでいた。物忘れ、不眠、食欲低下についてもかなり心配していた。Aは、現在の状態がBの初期症状と類似しているのではないかと心配し、医療機関を受診した。Aは、手段的日常生活動作<IADL>に問題はなく、HDS-Rは29点、老年期うつ検査-15-日本版<GDS-15-J>は13点であった。
診断として疑われるAの状態として、最も適切なものを1つ選べ。
診断として疑われるAの状態として、最も適切なものを1つ選べ。
- うつ病
- パニック症
- 前頭側頭型認知症
- Lewy小体型認知症
- 心的外傷後ストレス障害<PTSD>
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この過去問の解説 (2件)
01
正答は1です。
1. 老年期うつ検査-15-日本版〈GDS-15-J〉は、老年期のうつのスクリーニングに用いられます。
カットオフ値として、7点以上は、うつが示唆されます。
Aは13点であるため、うつが示唆されます。
集中力や思考力が低下して、仕事が捗らなくなったことや、物忘れ、不眠、食欲低下などのエピソードから、うつ病が疑われます。
2. パニック症は繰り返される予期しないパニック発作によって特徴づけられます。
Aには、そのようなエピソードは見受けられません。
したがって、パニック症は疑われません。
3. 前頭側頭型認知症は、認知症のおよそ5%を占めます。
脳の前頭葉と側頭葉が限局して委縮するタイプの認知症です。
物忘れよりも、人格変化、抑制の欠如が主体となります。
Aには、人格変化などはみられていません。
HDS-Rの得点は、20点以下が認知症の疑いになりますが、Aは29点です。
したがって、前頭側頭型認知症は、疑われません。
4. Lewy(レビー)小体型認知症は、認知症のおよそ20%を占めます。
レビー小体(αシニュークレイン)が大脳表面に出現して起こる病気で、はっきりとした幻視が出現します。
さらに転倒と失神、自律神経障害、意識障害、うつ、妄想などを認めますが、Aは日常生活動作〈IADL〉に問題はないということです。
また、幻視や意識障害などは報告されていません。
したがって、Lewy(レビー)小体型認知症は疑われません。
5. 心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉は、衝撃的な出来事に巻き込まれ、外傷体験をした後に発症する障害です。
Aにはそのようなエピソードはみられません。
したがって、心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉の診断は、適切ではありません。
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02
正解は1です。
HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)は、認知症の評価に用いられます。30点満点で、20点以下は認知症が疑われ、10点以下は重度とされています。
老年期うつ検査-15-日本版<GDS-15-J>とは、老年期のうつのスクリーニングに用いられます。カットオフは5点で、それを上回るとうつ状態が疑われます。
1.→〇
GDS-15-Jの点数や、集中力・思考力の低下、物忘れ、不眠、食欲低下からうつ病の症状も現れています。
2.→✖
本文から、パニック症が疑われる記載はありません。パニック症とは、予期せずに動悸や発汗、めまいなどのパニック発作が生じ、さらにいつ発作がくるか心配が続き日常生活に支障をきたす状態のことです。
3.→✖
HDS-Rの得点が満点に近い点数ですので、認知機能は保たれていると思われます。前頭側頭葉型認知症ですと、反社会的行動や被影響性が見られます。
4.→✖
上記のとおり、認知機能は保たれてます。レビー小体型認知症ですと、幻視やパーキンソン病が特徴として表れます。また、遂行機能障害や注意障害も目立ちます。
5.→✖
本文から、PTSDが疑われる記載はありません。PTSDとはトラウマとなるような出来事にさらされることにより、心身に特有の症状が生じることです。症状は4つに分類され、侵入症状、回避症状、認知と気分の陰性変化、過覚醒症状があります。
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