公認心理師の過去問
第4回(2021年)
午後 問92

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問題

公認心理師試験 第4回(2021年) 午後 問92 (訂正依頼・報告はこちら)

サクセスフルエイジングの促進要因として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 防衛機制の使用
  • ライフイベントの多さ
  • ソーシャル・コンボイの維持
  • タイプA行動パターンの獲得
  • ワーク・エンゲイジメントの増加

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この過去問の解説 (2件)

01

設問のサクセスフル・エイジングとは、周囲の環境や自分自身の内的な環境とも、うまく適応しながら年を重ねていく過程を言います。

サクセスフル・エイジング研究における新たな理論としては、「補償を伴う選択的最適化(SOC)」が提唱されています。

このSОCは加齢に伴う「喪失」に対する適応的発達の枠組みとして、自身の資源を最適化することを主張しています。

ここでいう資源と選択とは、具体的には、目標の選択(Selection)において、高齢期は身体機能の低下といった喪失に対して、目標に絞り込みや目標達成に向け最適な行動をとり、人間関係、心身の状態等の心理・社会・生理的な資源を利用可能な資源で補う(Compensation)こととされています。

選択肢①「防衛機制の使用」は、適応するためには必要ではありますが、過剰な使用についてはリスクもありますので、サクセスフルエイジングの促進要因としては適切ではありません。

選択肢②「ライフイベントの多さ」は、その中には「喪失」が含まれるわけですから、これが多いということをもって、促進要因とするのは適切ではありません。

選択肢③「ソーシャル・コンボイの維持」の「コンボイ」とは、個人のネットワーク構造を表す用語です。

選択肢④「タイプA行動パターンの獲得」とは、「同時にいくつもの仕事を引き受け」「時間に追われ」「他者との競争を好み」「強い敵意性や攻撃性を有し」「地位に拘り」、しかしこうした激しい戦いに成果が上がらない場合は学習性無力感に陥るというパーソナリティーであり、身体的には冠状動脈性心臓疾患に罹りやすいというタイプのことを言います。

×です。

選択肢➄「ワーク・エンゲイジメントの増加」とは、仕事に対してのポジティブで充実した心理状態をさらに向上させることですから、人によっては促進要因かもしれませんが、社会・心理・生理的に考えると一般論として適切ではありません。

×です。

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02

 サクセスフルエイジングとは、年を重ねる過程で自分自身や周囲の環境にうまく適応しながら生きることを指します。

つまり、年齢を重ねても健康で充実した生活を送ることができることを目指すことを意味しています。

近年では、サクセスフルエイジングに関する研究が盛んに行われており、高齢者が充実した生活を送るために必要な要因や、その促進に向けたアプローチが模索されています。

特に、高齢期における「喪失」に対する適応的発達の枠組みとして、自身の資源を最適化する「補償を伴う選択的最適化(SOC)」という理論が注目を集めています。

選択肢1. 防衛機制の使用

防衛機制の使用についてですが、これはストレスや不安などから身を守るために使われるものです。

適応するためにはある程度必要ですが、サクセスフルエイジングの促進要因としては適切ではありません。

選択肢2. ライフイベントの多さ

人生において多くの経験を積むことは大切です。

しかし、それだけでサクセスフルエイジングを促進することはできません。

選択肢3. ソーシャル・コンボイの維持

ソーシャル・コンボイの維持についてですが、これは社会的なつながりを持ち続けることが重要であるという考え方です。

周りに支えられ、支えることで、心身ともに健康であることができます。

研究によると、高齢者においては、ソーシャル・コンボイの維持が健康に良い影響を与えることが示されています。

選択肢4. タイプA行動パターンの獲得

これは仕事に対する熱意や競争心が強いタイプの人たちを指します

過剰なストレスや心身の負担を引き起こすことがあるため、サクセスフルエイジングの促進要因としては適切ではありません。

選択肢5. ワーク・エンゲイジメントの増加

これは仕事に対するやりがいや熱意を持ち続けることが大切であるという考え方です。

しかし、人生には仕事以外の要素もありますので、サクセスフルエイジングの促進要因としては単独では適切ではありません。

まとめ

回答のために用語の意味を押さえておきましょう。

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