公認心理師 過去問
第4回(2021年)
問138 (午後 問138)
問題文
28歳の男性A、会社員。Aは、最近、会社に出勤できなくなり、産業医から紹介されて公認心理師Bのもとを訪れた。Aは、人前に出ることはもともと苦手であったが、1年前に営業部署に異動してからは特に苦手意識が強くなり、部署内の会議への参加や、上司から評価されるような場面を避けがちになった。Bが実施した心理検査の結果、BDI-Ⅱの得点は32点、MASのA得点は32点、L得点は5点、LSAS-Jの総得点は97点であった。
Aのアセスメントとして、最も適切なものを1つ選べ。
Aのアセスメントとして、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第4回(2021年) 問138(午後 問138) (訂正依頼・報告はこちら)
28歳の男性A、会社員。Aは、最近、会社に出勤できなくなり、産業医から紹介されて公認心理師Bのもとを訪れた。Aは、人前に出ることはもともと苦手であったが、1年前に営業部署に異動してからは特に苦手意識が強くなり、部署内の会議への参加や、上司から評価されるような場面を避けがちになった。Bが実施した心理検査の結果、BDI-Ⅱの得点は32点、MASのA得点は32点、L得点は5点、LSAS-Jの総得点は97点であった。
Aのアセスメントとして、最も適切なものを1つ選べ。
Aのアセスメントとして、最も適切なものを1つ選べ。
- 顕在性不安が強い。
- 抑うつ状態は軽度である。
- 軽度の社交不安が疑われる。
- 重度の強迫症状がみられる。
- 好ましく見せようとする傾向が強い。
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この過去問の解説 (3件)
01
成人前までの情報…詳細なし。ただし、もともと人前に出ることが苦手で、部署異動でより顕著になった。
➡発達特性を検討する必要がありますが、問題文に情報が少ないことと、選択肢にもないため割愛します。
発達特性以外で、人前に出ることが苦手なパターンは、失敗体験からの強い不安や、社交不安が考えられます。
以下、心理検査と選択肢の内容で判断していきます。
MAS(顕在性不安尺度)はA得点が一般男性で19点以上、一般女性で23点以上で不安の高さを表します。
よって選択肢の内容は正しいです。
BDI-II は点数が高いほど自覚的な抑うつ症状が強いです。
総得点によって重症度分類が示されており、0-13点を極軽症、14-19点を軽症、20-28点を中等症、29-63点を重症と分けています。
よって選択肢は誤りです。
LSAS-Jはリーボヴィッツによって作成された社交不安尺度です。
境界域が30点、50点~70点が中程度、90点以上が重度とされます。
よって選択肢は誤り。
Aに関する例文にも、心理検査からも選択肢の内容は描かれていないため、誤り。
Aに関する例文に記載がなく、MASのL得点も11点以下のため、誤り。
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02
所見と心理検査から、Aのアセスメントをする問題です。
MASのA得点(不安尺度)が22点以上で顕在性不安が強いとされますので、この選択肢は正しいです。
BDI-Ⅱ(ベック抑うつ質問票)においては、14点以上で軽度、20点以上で中等症、29点以上で重症とされます。事例では32点ですので重症であり、この選択肢は誤りです。
LSAS-J(リーボヴィッツ社交不安尺度)において、30点で境界域、50~70点で中等度、70~90点で中等度~重度、90点以上は重度とされています。事例では97点ですので重度の社交不安と思われます。この選択肢は誤りです。
事例において強迫症状について記載ないため、この選択肢は誤りです。強迫性障害の症状に関する検査には、Y-BOCSがあります。
MASのL得点(妥当性尺度)が11点以上の場合、妥当性に問題があると見なしますが、事例では5点ですので問題ありません。この選択肢は誤りです。
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03
心理検査を用いたアセスメントの事例問題です。心理検査の名前が不明だと、解答しづらいかもしれません。過去問に出た検査の名前を押さえておきましょう。
正答です。MAS(Manifest Anxiety Scale)は顕在性不安尺度のことです。男性は23点以上、女性は26点以上で顕在性不安を持つと判定されます。Aさんは、この得点が32点であり、基準点を上回ります。
BDI-Ⅱ(ベック抑うつ尺度)は、抑うつ状態を客観的にみる質問紙検査です。
1~10点 は、正常範囲の気分の揺れ 11~16点 軽度の気分の動揺がある 17~20点 うつとの境目 21~30点 中度のうつ状態 31~40点 重度のうつ状態 41点以上 極度のうつ状態と判定されます。
設問では、32点と、重度のうつ状態にあたりますので、軽度とは言えません。よって誤答です。
LSAS-J(リーボヴィッツ社交不安尺度)は、社交不安障害の状態がどの位置にあるか客観的に捉える質問紙検査です。
30点で社交不安の境界域、50~70点で中等度、70点~90点で中等度~重度、90点以上で重度と判定されます。Aさんの場合、97点と高得点であり、社会生活を送るにあたり支障が出る点数です。軽度の社交不安は誤りです。
事例の中で強迫症状を疑う記述もなく、また、使用している質問紙も強迫症状を確かめる検査(一般的にはY-BOCS(Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scale))も用いられていません。よって誤りです。
MAS(顕在性不安尺度)のL得点(虚偽尺度)が11点以上あると、妥当性がなくなり、自らを好ましく見せようとする検査態度を取っていると判定します。L得点は5点で虚偽ではないと認められるため、誤答です。
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