公認心理師 過去問
第1回 追加試験(2018年)
問28 (午前 問28)

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問題

公認心理師試験 第1回 追加試験(2018年) 問28(午前 問28) (訂正依頼・報告はこちら)

初回面接中の来談者の発言のうち、すぐに精神科へ紹介すべきものとして、最も適切なものを1つ選べ。
  • 最近、動悸と不安が続きます。
  • 時々、記憶がなくなることがあります。
  • ショックなことがあって体が動きません。
  • あなたたちは私の秘密を知っているでしょう。
  • 会社を解雇されました。皆、同じ苦しみを味わえばいい。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

初回面接では、来談者の病理がどのくらい深いか(=病態水準)をアセスメントする必要があります。そして、いわゆる統合失調症のような深い病理の場合、速やかに精神科に紹介することが求められます。

  1. 1. ストレスで動悸などの身体症状が伴うことは多く、すぐに紹介すべきものではありませんが、経過をみていく必要があります。
  2. 2. 時々記憶が飛ぶのは解離症状の可能性が高いです。解離は比較的重い病態水準なので、慎重に経過を見て、必要に応じて精神科に紹介することが求められます。
  3. 3. 心的外傷の一つの反応と思われます。これがどの段階かわかりませんが、ASD(急性ストレス反応)からPTSD(心的外傷後ストレス障害)に移行した場合は、長期化する可能性があるため、精神科への紹介も視野に入れる必要があります。
  4. 4. 統合失調症の症状の一つです。統合失調症は精神科での薬物療法が中心となるため、速やかに精神科に紹介する必要性があります。よってこれが適切です。
  5. 5. 来談者の攻撃性が伺えますが、この文脈では「皆同じように解雇されればいいのに」といったニュアンスになるので、自傷他害には該当しません。ただ、攻撃性がエスカレートして自傷他害を仄めかす場合はすぐに精神科への紹介が必要となるので注意が必要です。

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02

クライエントの病態水準に関する問題です。

選択肢1. 最近、動悸と不安が続きます。

症状が生じる頻度などにもよりますが、すぐに精神科へ紹介する必要があるとはいえません。

選択肢2. 時々、記憶がなくなることがあります。

「記憶がなくなる」という症状があるので、医療機関を受診する必要がありそうですが、すぐに精神科へ紹介する必要があるとはいえません。

選択肢3. ショックなことがあって体が動きません。

心的なストレスから、体が動かないという身体症状がでている状態です。

この場合、カウンセリングなどの適応が考えられ、すぐに精神科へ紹介する必要があるとは言えません。

選択肢4. あなたたちは私の秘密を知っているでしょう。

適切です。

統合失調症の症状と考えられ、精神科への受診が必要と思われます。

選択肢5. 会社を解雇されました。皆、同じ苦しみを味わえばいい。

設問文から攻撃性を感じますが、文脈から「皆も解雇されて同じ苦しみを味わえばいい」ととらえられます。

自傷他害行為とまではとらえられず、この時点ではすぐに精神科への紹介が必要とは判断できません。

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03

カウンセリングでは、来談者の発言や様子によって、早急に精神科・心療内科を受診を勧めた方が良い場合があります。公認心理師には、来談者の状態を見極める力が求められます。

 

選択肢の中では、「あなたたちは私の秘密を知っているでしょう」という発言をしている場合に緊急性が高いと考えられ、この問題での正解となります。

 

この発言は、妄想の症状と推測されます。

妄想は、急性期の統合失調症に見られる症状であり、精神科・心療内科の受診が必要と言えます。これ以外にも、急性期の症状として、幻覚、思考伝播、させられ体験、連合弛緩、破滅思考などがあげられます。

 

他の選択肢にある「動悸と不安が続く」「記憶がなくなる」「体が動かない」なども心配すべき発言ではありますが、まずカウンセリングの中でよく話を伺っていくことが必要です。

これらの症状によって生活に支障が出ている、長い期間続いているということであれば、まずは内科の受診を提案することが良いと考えます。

 

また、「皆、同じ苦しみを味わえばいい」という発言の場合では、話を伺いながら、その思いの程度を確かめていきましょう。

例えば、同じ苦しみを味わわせるための具体的で危険な方法まで考えているような状況であれば、家族や関係機関と連携を取る、精神科・心療内科受診を提案するなどの対応が必要と考えられます。

 

カウンセリングでは、来談者の発言に公認心理師側が驚かされたり、不安にさせられたりすることがあります。そのような場合でも冷静に対応できるように、どのような状態の場合に医療機関受診が必要か、周囲との連携が必要かなどをよく学んでおくことが大切です。

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