公認心理師 過去問
第1回 追加試験(2018年)
問64 (午前 問64)
問題文
3歳の女児A。Aはネグレクトで児童相談所に保護された。Aは非嫡出子として出生した。母親はAの情緒的要求に応じることが乏しく、Aを家に放置することが多かったため、一時保護に至った。保護をして1か月が過ぎた。Aは職員とはコミュニケーションはとれるものの、怪我をするなど困ったときには助けを求めることがない。就寝時に絵本を読みきかせたところ、Aは興味を示し、楽しい場面に笑顔を見せた。
Aに考えられる障害として、最も適切なものを1つ選べ。
Aに考えられる障害として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第1回 追加試験(2018年) 問64(午前 問64) (訂正依頼・報告はこちら)
3歳の女児A。Aはネグレクトで児童相談所に保護された。Aは非嫡出子として出生した。母親はAの情緒的要求に応じることが乏しく、Aを家に放置することが多かったため、一時保護に至った。保護をして1か月が過ぎた。Aは職員とはコミュニケーションはとれるものの、怪我をするなど困ったときには助けを求めることがない。就寝時に絵本を読みきかせたところ、Aは興味を示し、楽しい場面に笑顔を見せた。
Aに考えられる障害として、最も適切なものを1つ選べ。
Aに考えられる障害として、最も適切なものを1つ選べ。
- 広汎性発達障害
- 反応性愛着障害
- 重度精神遅滞[知的障害]
- 分離不安症/分離不安障害
- 注意欠如多動症/注意欠如多動性障害<AD/HD>
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は2です。
1.→×
自閉スペクトラム症と似ている症状が見られますが、ネグレクトを受けていたということを考慮しましょう。ちなみに自閉スペクトラム症は、①社会相互作用の問題②コミュニケーションの問題③限局された興味・関心の問題の三つの特徴があります。
2.→○
愛着の形成が阻害された場合に生じます。養育者の支援を求めない・反応しないことが特徴です。こういった特徴が5歳以下に9ヶ月以上見られた場合、診断がつきます。自閉スペクトラム症との判別が難しいとされています。
3.→×
知的障害は、IQ70以下が診断基準となる障害です。知的な低さと適応的な行動の難しさを抱えます。
4.→×
分離不安症とは、愛着を抱いている相手と離れることが発達的に難しく、恐怖や不安を抱く症状のことです。
5.→×
不注意と多動性・衝動性の特徴があります。12歳以前に2つ以上の状況でこれらの特徴がみられることが診断の基準となります。ADHDと判別が難しい症状に脱抑制型対人交流障害というものがあります。これは、虐待児にみられる障害です。
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02
障害の見立てに関する問題です。
Aは職員とはコミュニケーションがとれるということから、現在のところ、広汎性発達障害とは考えにくいです。
広汎性発達障害は、Asperger症候群、高機能自閉症を含んだ診断名です。
持続する相互社会的コミュニケーションや対人的相互反応の障害、行動・興味または活動の限定された反復的な様式が幼児期早期から認められ、日常生活・社会生活に支障がある状態のことです。
Aがこれにあてはまるかについては、情報を集めながら、引き続き、アセスメントをすることが必要です。
A は「怪我をするなど困ったときには助けを求めることがない」ということです。
また、「母親はAの情緒的要求に応じることが乏しく、A を家に放置することが多かった」ということです。
これらから、Aの反応性愛着障害が疑われます。
Aは職員とはコミュニケーションがとれるということです。
また、「就寝時に絵本を読みきかせたところ、Aは興味を示し、楽しい場面に笑顔を見せた」ということです。
これらから、重度精神遅滞[知的障害]にはあてはまりません。
Aはネグレクトを受けて児童相談所に保護されました。
Aは情緒的な愛着を示さない様子で、職員とのかかわりの中でようやく笑顔をみせました。
母親と離れる際に不安になる様子などは問題文からは伺えませんでした。
したがって、分離不安症/分離不安障害にはあてはまりません。
注意欠如多動症/注意欠如多動性障害[AD/HD]は、不注意、衝動性、多動性がみられ、行動面に困難さを抱える障害です。
Aには、注意欠如多動症/注意欠如多動性障害[AD/HD]と考えられる特徴はみられていません。
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03
女児Aの様子について、注目すべき点は次の通りです。
・母親と情緒的なやりとりが不足している。
・職員とのコミュニケーションはとることができる。
・困っても助けを求めない。
上記の様子からすると、選択肢の中では「反応性愛着障害」が疑われると言えます。
では、選択肢を見てみましょう。
誤りです。
広汎性発達障害は、脳機能の異常による生まれつきの障害です。コミュニケーションの苦手さ、こだわりの強さ、集団行動の難しさ、臨機応変な対応の苦手さなどの特徴が見られます。
正答です。
反応性愛着障害とは、幼少期に不適切な養育を受けたこと、養育者と十分に情緒的なやりとりをしていないことによって生じる障害です。他者への警戒心が強い、感情表現が乏しい、人に頼る(助けを求める)ことをしないなどの特徴が見られます。
誤りです。
重度精神遅滞(知的障害)は、知的水準が非常に低いという障害であり、生来的なものです。幼少期から、言葉の発達が遅い、生活習慣の習得に時間がかかるなどの特徴が見られます。
誤りです。
分離不安症/分離不安障害とは、愛着のある家族や大切な物から離れることに過度な不安を感じてしまう障害です。社会的な場面で家族と離れることに強い不安を示す、1人でいることができないなどの様子が見られます。
誤りです。
注意欠如多動症/注意欠如多動性障害(AD/HD)は、脳機能の異常による生まれつきの障害です。過度に活動的、衝動的、不注意な特徴があり、人間関係で困難が生じる、突発的な言動が多い、忘れ物や失くし物が多い、計画的に物事を進めることが苦手などの様子が見られます。
上記のような疾患・障害は、何か一つだけの診断が出る場合だけでなく、複合的な場合もあります。幅広く客観的な視点でクライエントをアセスメントしていくことが大切です。
また、この選択肢にある疾患名は、DSM-Ⅳの名称で書かれています。2023年にDSM-ⅤーTRが出版されており、疾患名などに変更がありますので、新しい情報もよく学んでおきましょう。
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