公認心理師の過去問
第5回 (2022年)
午後 問66
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問題
公認心理師試験 第5回 (2022年) 午後 問66 (訂正依頼・報告はこちら)
60歳の男性 A、俳人。物忘れが最近増えてきたことを心配した同居の息子 Bに連れられ、精神科クリニックを受診した。黙っている Aに代わって話をした Bによると、Aは、半年前から膝が上がらなくなり、徐々に歩幅が小さくなった。今では、脚が左右に開き気味で、歩行が不安定である。また、3か月ほど前からトイレに行く頻度が増え、近頃は、間に合わずに尿を漏らすこともある。日中は、ぼんやりしていることが多く、楽しみにしていた地域の句会にもしばらく参加していない。一方で、夜間はよく眠れており、食欲も以前と変わらず、奇異な訴えもない。
Aに考えられる病態として、最も適切なものを1つ選べ。
Aに考えられる病態として、最も適切なものを1つ選べ。
- 正常圧水頭症
- 老年期うつ病
- 前頭側頭型認知症
- Lewy小体型認知症
- Alzheimer型認知症
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この過去問の解説 (2件)
01
この事例では、男性Aの年齢と状態から、認知症等の病態を考える必要があります。
認知症や老年期に見られやすい疾患について、特徴的な症状を理解して解答する事が求められています。
正答です。
髄液が通常より増加し脳室が拡大しているが、髄液圧は正常の状態を言います。特徴的な症状としては、物忘れ、歩行障害、尿失禁などが徐々に見られるようになります。また、歩行障害では、両足が開き、小刻みに歩くような特徴が見られます。
これらの特徴は、この事例の男性Aに当てはまると考えられます。
誤りです。
65才以上のうつ病の場合を言います。症状としては、不眠、食欲の低下、意欲や興味の喪失、抑うつ気分、集中の低下などがあげられます。
よって、この事例には当てはまらないと考えます。
誤りです。
前頭葉、側頭葉前方の萎縮が見られる認知症です。他の認知症にはない症状が見られます。社会性の低下する、行動のコントロールが難しい、同じ事を繰り返す、感情の鈍麻がある、自発的な言葉が減るなどの症状があります。
よって、この事例には当てはまらないと考えます。
誤りです。
「レビー小体」というたんぱく質のかたまりによって、細胞が傷つくために起きる認知症です。
幻視、認知の変動、睡眠の異常、パーキンソン症状、抑うつなどの症状が見られます。
よって、この事例には当てはまらないと考えます。
誤りです。
脳内にアミロイドβとうい特殊なたんぱく質がたまり、神経細胞を破壊し、脳が委縮するために起きる認知症です。物忘れ、見当識障害、実行機能障害、判断力低下、言葉が出ないなどの症状が見られます。
よって、この事例には当てはまらないと考えます。
精神科や心療内科では、公認心理師も高齢者の認知症などに対応する場合があります。また、高齢者の方ご本人がクライエントでなくても、そのご家族のお話を伺う事があります。認知症等の基本的な知識がある事で、より深く理解し、対応できますので学んでおく事が大切です。
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02
この問題の正解は、正常圧水頭症です。
正常圧水頭症は、脳室における過剰な脳脊髄液の蓄積が起こっていますが、代償機構によって髄液圧は正常であるという疾患です。
本問中で示されている、歩行が小幅で不安定になる歩行障害、尿失禁、出来事についての関心の欠如のような軽度の認知症症状は、正常圧水頭症に特徴的な3症状です。
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