公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午前 問44

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問題

公認心理師試験 第6回 (2023年) 午前 問44 (訂正依頼・報告はこちら)

児童養護施設入所児童の家庭復帰が直近に見込まれる場合に、児童相談所の対応として、誤っているものを1つ選べ。
  • 家庭復帰が見込まれる入所児童の意思を確認する。
  • 家庭復帰する家庭の状態を具体的に直接確認する。
  • 家庭裁判所に児童福祉施設入所措置解除を申請する。
  • 要保護児童対策地域協議会と支援指針に関する協議を行う。
  • 家庭復帰計画は、必要に応じて中止や修正があることを、入所児童や保護者に事前に伝える。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、次のようなガイドラインや手引きを参考に考えます。

〇児童虐待を行った保護者に対する援助ガイドライン(厚生労働省)

〇児童相談所運営指針(厚生労働省)

〇子ども虐待対応の手引き(こども家庭庁)を参考に考えていきます。

 

この問題では、「家庭裁判所に児童福祉施設入所措置解除を申請する」が不適切な選択肢であり、正答となります。

選択肢1. 家庭復帰が見込まれる入所児童の意思を確認する。

「児童虐待を行った保護者に対する援助ガイドライン」では、児童福祉施設入所措置等の解除の際に、適否を判断するための評価や確認事項として、次のようなものが挙げられています。

・これまで行われた保護者援助の効果、援助指針及び自立支援計画の達成状況並びに児童福祉施設長の意見等を勘案した評価

・保護者の現状の確認

・子どもの意思の確認

・家庭復帰する家の状態、家庭環境等を直接確認

・地域における援助体制・機能の評価

 

よって、「家庭復帰が見込まれる入所児童の意思を確認する」という対応は適切です。

選択肢2. 家庭復帰する家庭の状態を具体的に直接確認する。

「児童虐待を行った保護者に対する援助ガイドライン」では、児童福祉施設入所措置等の解除の際に、適否を判断するための評価や確認事項として、次のようなものが挙げられています。

・これまで行われた保護者援助の効果、援助指針及び自立支援計画の達成状況並びに児童福祉施設長の意見等を勘案した評価

・保護者の現状の確認

・子どもの意思の確認

・家庭復帰する家の状態、家庭環境等を直接確認

・地域における援助体制・機能の評価

 

よって「家庭復帰する家庭の状態を具体的に直接確認する」という対応は適切です。

選択肢3. 家庭裁判所に児童福祉施設入所措置解除を申請する。

「児童相談所運営指針」の第4節に「児童福祉施設入所措置、指定医療機関委託」という項目があります。

さらに、その中に「措置の解除、停止、変更及び在所期間の延長」という項目があり、これらについての基本的な対応が示されています。

措置の解除については、「児童福祉施設等の長から届け出る場合と児童相談所長が職権により行う場合とがある」と記されています。

家庭裁判所へ申請をするという説明はありません。

選択肢4. 要保護児童対策地域協議会と支援指針に関する協議を行う。

「児童虐待を行った保護者に対する援助ガイドライン」の「家庭復帰を検討する段階における保護者援助」の中に次のような説明があります。

 

「家庭復帰の方針を決定した場合には、市町村(要保護児童対策地域協議会)、当該子どもが入所する児童福祉施設と協働して、当該保護者が、地域の関係機関から適切な援助を受けるように指導するとともに、子どもが家庭や地域で安全に暮らせる環境を整えるとともに市町村に対して援助内容を明確に伝える」

「特に、地域における援助内容を決定するには、市町村(要保護児童対策地域協議会)とともに事例検討を行い、子どもの心身の状態、昼間過ごす場、家の状態、家族状況、家庭環境、保護者の遵守事項等を関係機関が理解した上で、各機関が具体的に支援する役割を決める事が重要である」

 

よって、「要保護児童対策地域協議会と支援指針に関する協議を行う」という対応は適切です。

要保護児童対策地域協議会とは、虐待を受けた子どもなどの要保護児童について関連する機関(学校、保育園、児童相談所など)が情報交換や協議を行う場であり、地方公共団体には設置努力義務があるものです。

選択肢5. 家庭復帰計画は、必要に応じて中止や修正があることを、入所児童や保護者に事前に伝える。

「子ども虐待対応の手引き」では、「5.家庭復帰の際の支援」の中で「必要に応じた家庭復帰計画の変更」について記しています。

子どもと保護者の面会、外泊などの交流において、子どもや家族の状態の悪化、再虐待の可能性などが高まった場合には、子どもや関係諸機関での話し合い、ケース会議などを行い、計画の中止や修正をする必要があります。このような可能性があることを、計画の開始当初に子どもや保護者へ伝えておかなくてはならないことも示されています。

よって、「家庭復帰計画は、必要に応じて中止や修正があることを、入所児童や保護者に事前に伝える」という対応は適切です。

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02

家庭復帰が直近に見込まれる場合、どのような対応が必要か理解しましょう。

選択肢1. 家庭復帰が見込まれる入所児童の意思を確認する。

適切です。

家庭復帰について、入所児童本人の意向を改めて確認しておきましょう。

選択肢2. 家庭復帰する家庭の状態を具体的に直接確認する。

適切です。

家庭復帰が可能であるのかどうか、具体的に、そして直接確認することは重要です。

選択肢3. 家庭裁判所に児童福祉施設入所措置解除を申請する。

誤っています。

家庭復帰の判断は児童相談所が行います。

選択肢4. 要保護児童対策地域協議会と支援指針に関する協議を行う。

適切です。

家庭復帰するにあたって、その後の支援指針に関する協議を行っておくことは重要です。

選択肢5. 家庭復帰計画は、必要に応じて中止や修正があることを、入所児童や保護者に事前に伝える。

適切です。

家庭復帰は慎重に進められます。家庭復帰後に安全に生活が送れることが確認できなければ計画の中止や修正がありえますし、それを児童、保護者ともに理解しておく必要があります。

参考になった数1

03

児童相談所に関する設問です。

選択肢1. 家庭復帰が見込まれる入所児童の意思を確認する。

適切です。

選択肢2. 家庭復帰する家庭の状態を具体的に直接確認する。

適切です。

選択肢3. 家庭裁判所に児童福祉施設入所措置解除を申請する。

不適切です。

家庭裁判所に申請することはありません。

選択肢4. 要保護児童対策地域協議会と支援指針に関する協議を行う。

適切です。

選択肢5. 家庭復帰計画は、必要に応じて中止や修正があることを、入所児童や保護者に事前に伝える。

適切です。

まとめ

家庭復帰の際には、保護者と児童本人双方の意思確認が必要です。戻る先の家庭の状況・環境などが適当かの確認も必要です。今後地域の中で生活をしていくことになるため要対協との連携は必須です。また、家庭復帰計画は状況によって変更・中止が伴うことは事前に伝えておく必要があります。

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