公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午前 問53

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問題

公認心理師試験 第6回 (2023年) 午前 問53 (訂正依頼・報告はこちら)

人間性アプローチに関係が深い人物として、正しいものを2つ選べ。
  • A. H. Maslow
  • A. T. Beck
  • C. R. Rogers
  • H. Kohut
  • J. Wolpe

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この過去問の解説 (2件)

01

人間性アプローチとは、人間性心理学(ヒューマニスティック心理学)の理論に基づくアプローチです。人間性心理学は1960年代に出現し、それまでの精神分析や行動主義とは異なり、個人の主観を重視し、人間は自己実現に向かうという肯定的な人間観に基づいています。

選択肢1. A. H. Maslow

マズローは欲求階層説を唱え、人間性心理学の代表的な人物です。人間性心理学を「第3の心理学」と呼びました。欲求階層説とは人間の欲求を5段階に分けた理論で、下から「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認の欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5つが重なっており、下層の欲求から満たしていき自己実現を果たすとされています。

選択肢2. A. T. Beck

ベックは認知療法を開発しました。認知療法では、幼い頃から現在までに形成された個人的な価値基準を「スキーマ」と呼び、スキーマが個人の認知を歪ませ「自動思考」を生み、抑うつ感情など心身の問題を作る」と考えられています。

選択肢3. C. R. Rogers

ロジャーズは人間性心理学の代表的な人物です。来談者中心療法を提唱し、「無条件の肯定的尊重」「共感的理解」「自己一致」を主要条件とし、カウンセラーの基本的態度を重視しました。

選択肢4. H. Kohut

コフートは精神分析の一派である「自己心理学」を提唱しました。自己心理学は精神的な病理を「自己の障害や損傷」として捉え、患者自身が自己愛を満たすために「自己対象転移(自己愛転移)」を生じさせていると考えました。

選択肢5. J. Wolpe

ウォルピは代表的な行動療法の1つである「系統的脱感作法」を考案しました。系統的脱感作法はリラックスした状態から最初は弱い不安や恐怖を感じる場面を想像させ、それを繰り返すことで徐々に強い不安や恐怖にも対処できるようにする方法です。

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02

人間性アプローチとは、人間性心理学の理論をに基づいてクライエントへ関わる手法です。

人間性心理学では、人間は自らの力で成長する事ができる、自己実現を達成しようと行動する事ができると考え、クライエント自身の人格や意思を尊重する事を大切にします。

では、選択肢を見てみましょう。

選択肢1. A. H. Maslow

正答です。

マズローは、人間性心理学の生みの親とも言われる、アメリカの心理学者です。

人間は自己実現の欲求に向けて行動すると考え、自己実現を達成するまでに満たされるべき欲求が段階的に存在するという自己実現理論を提唱しました。

選択肢2. A. T. Beck

誤りです。

ベックは、アメリカの精神科医で、認知療法の創始者です。

選択肢3. C. R. Rogers

正答です。

ロジャースは、アメリカの心理学者で、人間性心理学の発展に大きく関わった人物です。

来談者中心療法を創始しました。クライエントが自分で気づきを得て、成長、自己実現できるように援助するための、カウンセラーの態度(共感的理解、無条件の肯定的配慮、自己一致)を提唱しています。

選択肢4. H. Kohut

誤りです。

コフートは、オーストリアの精神科医で、精神分析的自己心理学の提唱者です。

自己愛について研究しました。

選択肢5. J. Wolpe

誤りです。

ウォルピは、南アフリカの精神科医で、系統的脱感作法を提唱しました。

まとめ

人間性心理学の考え方は、心理学における基本的な知識の一つです。

特に、ロジャーズの言うカウンセラーの態度は、カウンセリングや様々な心理療法を実施する際にも重要と言えるものと考えられます。

知識を持つだけでなく、演習や実践を通して技術を身につける事が大切です。

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