公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午前 問54

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問題

公認心理師試験 第6回 (2023年) 午前 問54 (訂正依頼・報告はこちら)

ゲシュタルト療法の特徴として、正しいものを2つ選べ。
  • 今ここでの体験に注目させる。
  • 個人の全体性の統合を目指す。
  • 人間の「意味への意思」を重視する。
  • M. Wertheimer によって創始された。
  • 恐怖症の治療に用いられることが多い。

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この過去問の解説 (2件)

01

ゲシュタルト療法とは、クライエントへ「今、ここ」での気づきを促し、回復や成長を測る手段です。自身の感覚や感情へ注意を向けて気づくこと、深めることに取り組むよう援助します。

具体的には次のような技法があります。

エンプティ・チェア(誰も座っていない椅子に自身の課題があると想定して話してみる)

ファンタジー・トリップ(自身のイメージの中で、自分や他者と対話してみる)

ドリーム・ワーク(夢で見た人物や状況を再現してみる)

ボディ・ワーク(体や体の一部分になったとイメージし、言葉や行動をしてみる)

では、選択肢を見てみましょう。

選択肢1. 今ここでの体験に注目させる。

正答です。

「今、ここ」で体験している感覚や感情に注目を向けます。

選択肢2. 個人の全体性の統合を目指す。

正答です。

ゲシュタルトという言葉は、「全体、まとまり、統合」というような意味があります。

個人の中で感覚や人格の統合を目指していきます。

選択肢3. 人間の「意味への意思」を重視する。

誤りです。

ゲシュタルト療法では、体験すること、全体性、「今、ここ」の感覚が重要とされています。

選択肢4. M. Wertheimer によって創始された。

誤りです。

ゲシュタルト療法は、Perls.F.S(パールズ)によって創始されました。

選択肢5. 恐怖症の治療に用いられることが多い。

誤りです。

恐怖症の治療は、行動療法、認知行動療法を用いる事が多いと言えます。

ゲシュタルト療法は、病理が重い状態の方への実施は危険な場合があります。疾患によっては、現実とファンタジーの区別が上手くできないという症状もあるため、クライエントの適切なアセスメントや主治医の指示が重要です。

まとめ

初めに記したように、ゲシュタルト療法は具体的なアプローチ方法が確立されており、支援者としては取り入れやすいように感じられるかもしれません。しかし、クライエントの状況によっては実施が不適切な場合もあります。どんなクライエントにも万能な心理療法はありませんので、心理療法を実施する場合には、実施の具体的な手段や態度だけでなく、危険性についても十分に学んでおく事が重要です。

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02

ゲシュタルト療法とは、パールズによって提唱された心理療法です。ゲシュタルトとはドイツ語で「全体」を表すことばです。人間のこころを部分でなく1つのまとまりとして捉えることを重視します。ありのままの自分を大事にして、「今、ここ」に焦点を当てる心理療法です。

選択肢1. 今ここでの体験に注目させる。

ゲシュタルト療法の中心的な考え方です。

選択肢2. 個人の全体性の統合を目指す。

ゲシュタルト療法の中心的な考え方です。

選択肢3. 人間の「意味への意思」を重視する。

これはフランクルの「ロゴセラピー」における基本仮説の一つです。ロゴセラピーでは「意味への意志(意味のあることを行いたい気持ち)」「人生の意味(どんな状況においても生きる意味があるということ)」「意志の自由(自分の意志で態度を決める自由をもっている・決定論の否定)」という3つを基本仮説としています。

選択肢4. M. Wertheimer によって創始された。

ウェルトハイマーはゲシュタルト心理学の創始者の1人ですが、仮現運動(実際には運動していない部分が動いているように錯覚する状態)の実験など視知覚の研究を行いました。パールズがその後、ゲシュタルト心理学の「図と地」の用語を用いて説明したのがゲシュタルト療法です。

選択肢5. 恐怖症の治療に用いられることが多い。

恐怖症の治療には、行動療法の一つである暴露療法(エクスポージャー療法)が用いられることが多いです。暴露療法は、あえて不安や恐怖の原因となる刺激に段階的に触れることで不安・恐怖を消していく療法のことです。

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