公認心理師 過去問
第6回(2023年)
問55 (午前 問55)
問題文
C. R. Cloninger が提唱した気質-性格理論の内容として、適切なものを2つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第6回(2023年) 問55(午前 問55) (訂正依頼・報告はこちら)
C. R. Cloninger が提唱した気質-性格理論の内容として、適切なものを2つ選べ。
- 気質次元の特性は、遺伝規定性が強い。
- 固執は、個人の行動を抑制させるパーソナリティ特性である。
- 新奇性追求の特性が高い人は、衝動的な行動を起こしやすい。
- 性格は、他者志向、協調及び自己超越の3次元から構成されている。
- 損害回避の特性が高い人は、他者評価によって行動を維持しやすい。
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この過去問の解説 (3件)
01
気質ー性格理論とは、パーソナリティを「気質」と「性格」に分けて考え、さらに「気質」を生理的な要因(遺伝子や神経伝達物質など)から説明しようとしたものです。
「気質」には、4つの因子が考えられており、基本的には遺伝的で変わらないものとされています。
新奇性追求・・・新しいものを求める気質。
損害回避・・・失敗や損を避けようとする気質。
報酬依存・・・人から褒められたい、認められたい気持ちが強い気質。
固執・・・辛抱強く、頑張ろうとする気質。
「性格」には、3つの因子があるとされており、環境によって変わる、変えることのできるものとされています。
自己志向・・・自分自身を信じ、自分の考え方や目標に沿って行動ができるか。
協調・・・どのように他者との関わろうとするか。
自己超越・・・自分を超えたものとのつながりはどうか。
「気質」と「性格」、それぞれの因子がどの程度強いか、どのように関係しているかによって、パーソナリティを考えようしています。
正答です。
気質については、遺伝的な要因が強いと考えられています。
誤りです。
固執は、辛抱強さ、努力できるかどうかを測る因子です。
正答です。
新奇性追求の特性が高い人は、衝動的で、計画性のない行動をしやすいと考えられています。
誤りです。
性格は、自己志向・協調・自己超越の3因子とされています。
誤りです。
損害回避の特性が高い人は、緊張しやすい、不安を感じやすいなどの傾向があるとされています。
心理学には、性格を説明する理論が様々あります。理解しておく事で、クライエント理解や心理教育の際に役立ちますので、知識をつけておきましょう。
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02
クロニンジャーはパーソナリティーの構成概念を遺伝的な影響が大きい「気質」と環境によって作られていく「性格」に分けました。「気質」は「新規性追求」「損害回避」「報酬依存」「固執」の4因子で構成されています。「性格」は「自尊心」「協調性」「自己超越性」の3つで構成されています。これらを合わせて、クロニンジャーの7因子モデルと呼ばれています。また、この理論はTCI理論とも呼ばれています。
TCI理論では、気質の特性は、刺激への反応が脳内の神経伝達物質によって左右され、遺伝的な影響が強いとされているため、この回答はクロニンジャーの理論に沿っています。
「固執」はたとえわずかな報酬しか得られないときでも行動を続けられるかに関わる特性であり、行動抑制とは異なります。
「新奇性追求」は新奇刺激を求め行動を活性化させる特性であり、その結果として「衝動的な行動」を起こしやすいと言えるため、正答です。
性格は、「自尊心」「協調性」「自己超越性」の3つで構成されており、「他者志向」は含まれません。
「損害回避」は刺激に対して回避する特性です。他者評価によって行動を維持しやすいのは「報酬依存」です。
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03
正解は「気質次元の特性は、遺伝規定性が強い」「新奇性追求の特性が高い人は、衝動的な行動を起こしやすい」です。C. R. Cloningerは、人のパーソナリティは、生まれつき持っている「気質」の4因子(新奇性の探求、損害回避、報酬依存、固執 )、環境的要因により獲得する「性格」の3因子(自己志向、協調性、自己超越 )の合わせて7つの因子により構成されていることを提唱しています。パーソナリティが遺伝的要因、環境的要因の双方からなることを説明した理論モデルの一つです。
適切です。気質次元の特性は、生まれつきが持っているパーソナリティ要因とされています。
不適切です。固執は物事に粘り強く臨めるかどうかに関するパーソナリティ特性です。「固執は、個人の行動を抑制させるパーソナリティ特性である」は「損害回避」に関する説明です。
適切です。新規性追求とは新しい物事に惹かれて探求する傾向のことを言います。「新奇性追求の特性が高い人は、衝動的な行動を起こしやすい」は新規性追求に関する適切な記述てあり、この特性の低い人は、思慮深く計画的な面がある一方で柔軟に思考、行動することに難しさがあります。
不適切です。性格は、自己志向、協調及び自己超越の3次元から構成されています。「他者志向」ではなく「自己志向」が適切です。
不適切です。損害回避とは、物事に関する心配や心のブレーキの程度をさします。そのとめ「損害回避の特性が高い人は、他者評価によって行動を維持しやすい」ではなく、他者評価により行動変容が生じやすい、と言えます。
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