公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午前 問60
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問題
公認心理師試験 第6回 (2023年) 午前 問60 (訂正依頼・報告はこちら)
25歳の女性A、会社員。仕事に集中できないことが続き、職場の相談室を訪れ、公認心理師Bが面接した。10か月前、挙式間際に婚約者から別れを切り出されて以来、過眠、手足の重さ、抑うつ気分や焦燥感、罪責感、希死念慮、意欲低下が生じた。2か月前から過眠や易疲労感、手足の重さが増悪し、些細なことで、「自分なんてだめだ」、「皆に嫌われている」と職場で泣くこともあった。Bとの面接では、「失恋のトラウマから立ち直れない、何もやる気が出ない」と訴えた。
DSM−5に基づくAの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
DSM−5に基づくAの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
- 気分循環性障害
- 急性ストレス障害
- うつ病/大うつ病性障害
- 心的外傷後ストレス障害
- 持続性抑うつ障害(気分変調症)
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この過去問の解説 (2件)
01
この症状をDSM-5の基準に基づいて考えます。
この状況では、単純な気分の循環ではなく、特定のトラウマや失恋による症状が主であり、気分の循環よりも症状が持続的であるように見受けられます。そのため不適切となります。
状況が急性ストレスに関連しているようにも見えますが、症状の持続が長く、10か月前から続いているため、急性ストレス障害よりも時間的に長期間の症状があるようです。よって不適切となります。
正解です。
今回の症状に最も当てはまります。
一部の症状はトラウマ関連であり、過去の別れやそれに伴う感情の苦しみが影響を与えているようですが、現在の症状がその特定のトラウマに直接関連しているとは限りません。よって不適切となります。
うつ病と同様に持続性の症状が特徴ですが、このケースでは特定のトラウマから症状が始まったようであり、持続的な気分変調ではなく、特定の出来事に関連したうつ病のように見受けられます。よって不適切となります。
この状況から判断すると、失恋を契機に持続的な症状が出現し、うつ病または大うつ病性障害の診断基準に合致するようです。
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02
まず、女性Aの症状を確認しましょう。
・仕事に集中できない。
・過眠
・手足の重さを感じる
・抑うつ気分や焦燥感、罪悪感、意欲低下
・希死念慮
・症状は10か月前から起きている
上記の症状より予想される疾患を選択します。
誤りです。
気分循環性障害は、程度の軽い躁状態と抑うつ状態が繰り返されるものです。症状はあっても、双極性障害ほど重くない事が特徴です。
女性Aには、躁状態は見られておらず、抑うつ状態が続いていると考えられます。
誤りです。
急性ストレス障害は、精神的に強いショックを受けたために、その出来事を思い出す、強い不安や緊張が続く、頭痛や不眠などの症状が起き、生活に支障が出るものです。出来事から一ヶ月以内で症状がなくなる事が特徴です。
女性Aは、強いショックを受けている様子ですが、急性ストレス障害を考える場合の’強いショックを受ける出来事’とは、事件や事故などの命を脅かされるような体験であり、この事例では当てはまらないと考えられます。
正答です。
解説の冒頭で確認した症状は、うつ病/大うつ病性障害に当てはまります。
誤りです。
心的外傷後ストレス障害とは、急性ストレス障害の症状が1ヶ月以上の長期に続く場合を言います。急性ストレス障害の解説と同様の理由で、女性Aには当てはまらないと考えられます。
誤りです。
持続性抑うつ障害とは、概ね2年以上のほとんどの間で、抑うつ的な気分が続いている状態を言います。数年から数十年と長く続く事が特徴です。
事例Aでは、症状が見られているのは10か月前からとありますので、これには当てはまらないと考えられます。
公認心理師が精神疾患の特徴的な症状を理解しておく事により、クライエントの医療機関受診の必要性について検討する事ができます。自身の言葉で精神疾患の可能性について説明できるよう、十分に知識を身につけておきましょう。特に、うつ病/大うつ病性障害は自殺の危険性がある疾患ですので、早期に気づき、治療を開始する事が重要です。
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