公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午前 問61
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問題
公認心理師試験 第6回 (2023年) 午前 問61 (訂正依頼・報告はこちら)
24歳の女性A、会社員。仕事や日常生活に支障が出るのではないかと心配した友人に連れられて、公認心理師Bのカウンセリングルームを訪れた。Aは、「気がついたら知らない場所にいて、普段着ないような派手な服を着ていて、戸惑うことがあり、ときには、大人から叱られている子どもの泣き声が聞こえてくることもある。自分の行動についての記憶がないので動揺するけど、生活にはそれほど支障はない」と言う。アルコールや他の物質乱用はない。
DSM−5に基づくAの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
DSM−5に基づくAの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
- 統合失調症
- 双極Ⅰ型障害
- 強迫症/強迫性障害
- 境界性パーソナリティ障害
- 解離性同一症/解離性同一性障害
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この過去問の解説 (2件)
01
まず、女性Aの話した内容を確認しましょう。
「気づいたら知らない場所にいた」
「普段着ないような派手な服を着ていた」
「大人から叱られている子どもの泣き声が聞こえてくることがある」
「自分の行動について記憶がない」
これらの症状に当てはまる疾患を選択します。
誤りです。
統合失調症の症状としては、妄想や幻覚などの陽性症状、感覚鈍麻や意欲低下などの陰性症状、記憶力・集中力・判断力の低下(認知機能障害)があげられます。
女性Aの語りは妄想や幻覚のようにも感じられますが、統合失調症では’実際には起きていない事なのに確信している’という状態が見られます。女性Aの様子は、これには当てはまらないと言えます。
誤りです。
まず、双極性障害とは、気分が高まり活動的になる「躁状態」と気分が落ち込む「抑うつ状態」が繰り返されるものです。その中で、双極Ⅰ型障害とは、躁状態の際に、生活や仕事に影響が出るほどに激しく気分が高まる場合を言います。眠らなくても活動を続ける、過度に話し続ける、怒りやすいなどの様子が見られます。
女性Aには躁状態の様子は見られませんので、これには当てはまらないと考えられます。
誤りです。
強迫症/強迫性障害は、考えても仕方のない事を考え続けてしまう「強迫観念」、強迫観念からくる不安によって起こる行為「強迫行為」という症状が見られます。強迫行為は、何回も鍵を確認する、手を洗い続けるなど、繰り返しても意味がないと分かりながら続けてしまうものです。決めた手順通りに物事を進めないと気が済まない、数字にこだわるなどの様子が見られる事もあります。
女性Aには、強迫観念、強迫行為は見られていないため、当てはまらないと考えられます。
誤りです。
境界性パーソナリティ障害は、他人に見捨てられる事を非常に恐れている事が特徴です。自傷行為や自殺企図、制御できない怒りの表出によって、他者を心理的にコントロールしようとします。
女性Aには、このような様子は見られないため、当てはまらないと考えられます。
正答です。
解離性同一症/解離性同一性障害は、幼少期に受けた虐待などの心的外傷により、一人の人間の中に複数の別人格が存在し、それらが交代して現れる状態を言います。
女性Aの言動はこの症状によく当てはまります。
知らない場所に行ってしまう事を「解離性遁走」と呼び、解離が起きている間に移動してしまい、人格が入れ替わると’知らない場所にいる’という状況が起きます。
自分の行動の記憶がない事は「解離性健忘」と言い、解離している間の記憶がない状態を言います。
他にも、自分の体が自分でないように感じる、現実かどうかわからないなどの「離人症性障害」という症状も見られます。また、子どもの泣き声が聞こえてくるという訴えも、解離性同一症/解離性同一性障害の特徴です。
精神疾患のある方の語りには、一般的で健康的な人には考えにくい、理解しにくいような内容が聞かれる場合があります。公認心理師は、その内容を現実的に検討した上で、精神疾患の可能性を考え、医療機関受診などの判断をする事が求められます。
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02
この症状をDSM-5の基準に基づいて考えます。
現実感覚の喪失や自己同一性の混乱よりも、幻聴や妄想、混乱が特徴です。
本問とは異なる症状が見られます。よって不適切となります。
双極性障害は、気分の極端な変動(うつ状態と躁状態)が特徴であり、本問の症状とは一致しません。
強迫症は、強迫観念や強迫行動が特徴であり、本問とは異なる症状です。
境界性パーソナリティ障害は、不安定な自己像や感情、対人関係の問題が特徴ですが、本問の特徴とは異なります。
正解です。
解離性同一症は、自己同一性や意識の連続性を失う症状が特徴であり、以下のような症状があることが一般的です:
解離性同一症は、現実感覚の喪失や自己同一性の混乱が特徴であり、周囲の現実との関連性が乏しい状態が生じることがあります。
また、これらの症状が生活に大きな支障をきたさないことも特徴の一つです。
解離性同一症は、現実感覚の喪失や自己同一性の混乱が特徴であり、その点から他の選択肢とは異なる症状が見られます。
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