公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午前 問67
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問題
公認心理師試験 第6回 (2023年) 午前 問67 (訂正依頼・報告はこちら)
14歳の女子A、中学2年生。学校生活全般において無気力が目立ち、学業不振が継続している。担任教師Bが進路についてAに尋ねても、「よく分からない」と答える。Aの様子を心配したBが個別面談の時間を設定してAの話を聞いてみたところ、「私の家は生活保護を受けている。経済状況を考えると希望の進路を選べない」、「皆みたいに塾に行くことができないし、将来就きたい仕事にもどうせ就けない。だから勉強しても無駄」と話した。
AやAを取り巻く状況の説明として、最も適切なものを1つ選べ。
AやAを取り巻く状況の説明として、最も適切なものを1つ選べ。
- 社会的孤立
- 相対的剥奪
- 複雑性悲嘆
- 社会的スティグマ
- リアリティ・ショック
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この過去問の解説 (2件)
01
この事例では、女子Aが語っている内容に注目しましょう。
女子Aは、「自分の家が貧しいので希望通りの進路を選べない」「皆みたいに塾に行く事ができない、就きたい職業にも就けない」という内容を話しています。
自分の置かれた状況への不満を語っていると考える事ができます。
この状態を説明できる語を選択します。
誤りです。
社会的孤立とは、家族や社会との接触や交流が非常に乏しい事を指します。
女子Aは、学校は通っており、担任と話したり、周囲の友達の状況を把握したりしていますので、社会的孤立という状況には当てはまらないと考えられます。
正答です。
相対的剥奪とは、他人や社会と自分を比較して、自分の方が劣っている、損をしているなどと不満を感じる事を言います。また、自分より良い状態にあると感じられる人に対する羨ましさを持つ事もあります。
女子Aの状況は、この相対的剥奪と考える事ができます。
誤りです。
複雑性悲嘆とは、大切な人やものを失くした強い悲しみが、長く続いている状態を言います。死を受け入れられない、忘れられないなど日常生活や人間関係に支障が出る場合があります。
女子Aの状況には当てはまらないと考えられます。
誤りです。
スティグマとは、差別や偏見という意味です。社会的スティグマとは、一般的と捉えられていることからの差別や偏見の対象とされる、不当な扱いを受けるなどの状況を言います。
女子Aについては、本人の考えや感覚だけが記載されており、社会的スティグマという点では考えにくいと言えます。
誤りです。
リアリティ・ショックとは、現実を知った時に、自分の想定や理想との違いにショックを受ける事を指します。就職、進学などの、新しい生活が始まった時に起きやすいと言えます。
女子Aの状況には当てはまらないと考えられます。
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02
Aの置かれている状況を考えていきます。
Aが社会的に孤立しているかどうかは情報が足りず、与えられた情報からは明確な社会的孤立が示されているわけではありません。よって不適切な解答となります。
正解です。
相対的剥奪は、他者と比較した結果、自身が経済的・社会的に不利な状況に置かれていると感じることです。Aは生活保護を受けており、他の同級生が塾に通ったり、将来の進路を自由に選べる状況にないことに不満を感じています。自分の経済的な状況が将来の進路に影響を与えると感じ、無気力や学業不振につながっている可能性があります。
Aが多くの損失やストレスを経験している可能性もありますが、今回の状況は主に経済的な面に焦点を当てたものであり、複雑性悲嘆がその状況を十分に説明するには不十分です。よって不適切な解答となります。
Aが自己否定感や学校での不適応感を社会的スティグマから感じている可能性もありますが、与えられた情報からは直接的には示されていません。よって不適切な解答となります。
リアリティ・ショックは、予想外の出来事に対する反応を指します。Aの場合、経済的な状況が将来の進路に影響を与えることに対する現実的な認識があるため、リアリティ・ショックとは異なります。よって不適切な解答となります。
示されている状況から、Aの状況を最も適切に説明するのは「相対的剥奪」です。他者との比較や経済的な制約がAの進路選択に影響を与えている可能性が高いです。
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