公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午前 問75
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問題
公認心理師試験 第6回 (2023年) 午前 問75 (訂正依頼・報告はこちら)
14歳の女子A、中学2年生。Aの保護者は、スクールカウンセラーBにAの不登校について相談に訪れた。1か月前、Aは授業中に友人Cと同じグループになったとき、Cから、「Aと同じグループは嫌だ」と皆の前で言われた。それ以来、Cに会うのがつらいと感じ、毎朝腹痛と下痢を訴えるようになり、学校をずっと休んでいる。かかりつけ医に受診したところ、過敏性腸症候群と診断され、処方された薬を服用している。
Bが次に行う対応として、適切なものを2つ選べ。
Bが次に行う対応として、適切なものを2つ選べ。
- Aに登校するように促す。
- CがAに謝罪する場を設ける。
- Aの保護者との面接を継続する。
- Cの保護者との面接を計画する。
- いじめの重大事態が発生していることを担任教師や管理職に報告する。
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この過去問の解説 (3件)
01
過敏性腸症候群とは、身体には異常がなくても、腹痛、膨満感、下痢、便秘などの症状が起きるものです。心理的なストレスが要因になる事が多いと言われます。
この事例では、スクールカウンセラーが女子Aの保護者のカウンセリングを受けています。女子Aは過敏性腸症候群の診断があり、心理的には大きなストレスがある状態と推測されます。
女子Aの状態を想像しながら、適切な対応を選択しましょう。
誤りです。
身体的には問題がなくても体調が良い状態ではありませんし、心理的なストレスも大きい状況と言えますので、現時点で登校を促す事は不適切と考えられます。
誤りです。
CがAに謝罪する事があるとしても、この時点でスクールカウンセラーが謝罪の場を設けるべきではありません。事実の確認が不十分ですし、Aの心情もわからない状況ですので、より慎重に対応を検討するべきと言えます。
正答です。
Aを支援する事はもちろんですが、Aの保護者の支援もスクールカウンセラーとしては重要です。また、保護者を通じてAの状態をアセスメントし、具体的な支援や先生方への助言につなげる事ができますので、保護者との面接は継続できるよう努める事が大切です。
誤りです。
CやCの保護者が、授業中の発言についてどのように認識しているか不明確です。現時点では、Cの保護者の面接が必要とは言い切れません。
正答です。
「いじめの重大事態」とは、「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」とされています(いじめ防止対策推進法より)。
女子Aの状態は、「いじめの重大事態」に該当する可能性があります。Aの保護者の承諾を得た上で、担任教師や管理職へ報告し、学校全体で対応する事が重要です。
スクールカウンセラーとして働く場合には、管理職、担任教師、養護教諭などの複数の先生方と共に支援にあたる姿勢が大切です。スクールカウンセラー自身が判断すべき事なのかどうかをよく考えながら支援にあたるよう、研鑽を積みましょう。
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02
過敏性腸症候群とは、器質的異常がないにもかかわらず、下痢・便秘・腹痛、腹部膨満感などの症状がある疾患です。はっきりした原因はわかっていませんが、体質的なことに加えて精神的なストレスが影響していると言われています。
学校相談では、こういった「心理的なストレスが疑われる身体的な症状についての相談」や、その原因が人間関係によると考えられることも多いです。
では、見ていきましょう。
この場合、Aを取り巻く環境の調整がまず必要ですので、この解答は不正解です。
やみくもにCに謝罪させても、問題解決にはつながらずますまず事態を悪化させてしまう可能性もありますので、不正解です。
保護者に生育歴も含めてAの情報を詳しく集め、Aの今までの経過や心のケアについて一緒に考えることが重要ですので、この答えは適切です。
Cの保護者と面接しても事態が改善するかどうかは不明ですし、まず学校にこのことを伝えるべきですのでこの解答は不正解です。
「いじめ防止対策推進法」第8条により、「学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。」とされていますので、スクールカウンセラーは担任や管理職に伝える義務があります。よってこの答えは適切です。
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03
Aの不登校や体調不良は、Cからの発言によるストレスが原因の可能性があります。対応策として、どの2つの選択肢が適当かを考えていきます。
学校への復帰を促すことは重要ですが、ただ単に登校を強要するのではなく、Aが安心して学校に戻れるような環境作りを考える必要があります。Aのペースに合わせながら、徐々に登校できるようにサポートすることが大切です。本問においては不正解となります。
Cの発言がAに影響を与えているようなので、CがAに対して謝罪する機会を設けることで、Aの心理的負担を軽減できる可能性はありますが、その場を設けるまで慎重に検討を重ねる必要があります。本問においては不正解となります。
正解です。
Aの状況や感情をより深く理解するため、保護者との面接を継続することは有効です。
Cの保護者との面談は、問題解決のためのコミュニケーションを図る上で重要です。しかし、即座にAの状況を改善するのは難しい場合もあります。本問においては不正解となります。
正解です。もしいじめが疑われる場合は、学校関係者に報告することが必要です。ただし、状況を適切に把握してから報告することが重要です。
本問のような問題は、解決まで慎重に段階を踏むことが必要です。
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