公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午後 問12

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問題

公認心理師試験 第6回 (2023年) 午後 問12 (訂正依頼・報告はこちら)

高次脳機能障害診断基準(平成16年、厚生労働省及び国立障害者リハビリテーションセンター)に基づく高次脳機能障害の原因として、適切なものを1つ選べ。
  • 脳性麻痺
  • 発達障害
  • 進行性疾患
  • 先天性疾患
  • 脳血管障害

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この過去問の解説 (3件)

01

高次脳機能障害とは、脳血管障害や脳外傷、低酸素脳症などにより脳が損傷を受けて起こるものです。

症状としては、記憶、注意、遂行機能、社会的行動などにおいて困難が生じます。中途障害(生まれつきでなく、病気や事故が原因で生じているもの)であるため、できていた事ができなくなるなど、障害を受け入れる事は容易ではなく、患者本人や家族の心身の負担が大きくなります。

では、選択肢を見てみましょう。

厚生労働省及び国立障害者リハビリテーションセンターの診断基準に基づいて考えていきます。

選択肢1. 脳性麻痺

誤りです。

脳性麻痺は、出生前、分娩中、出生直後に起きた脳損傷の事を言います。

診断基準では、「周産期における脳損傷」は除外するとありますので、当てはまりません。

選択肢2. 発達障害

誤りです。

発達障害は、先天的な脳機能の障害によるもので、ADHD、自閉スペクトラム症などが含まれます。

診断基準では、「発達障害」は除外するとありますので、当てはまりません。

選択肢3. 進行性疾患

誤りです。

進行性疾患とは、病状が悪化したり、広がったりする疾患を指します。

診断基準には、進行性の症状は含まれていません。

選択肢4. 先天性疾患

誤りです。

先天性疾患とは、生まれつきの疾患を指しています。

診断基準では、生まれつきの疾患は含まれません。

選択肢5. 脳血管障害

正答です。

脳血管障害とは、何かの原因によって脳血管に損傷が起きるものを指します。突然に発症したものを脳卒中(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血など)と呼びます。

診断基準には、「脳の気質的病変が存在したと確認されている」とありますので、この選択肢が正答となります。

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02

各用語が高次脳機能障害と関わりがあるのか確認していきます。

選択肢1. 脳性麻痺

脳性麻痺: 出生時もしくは幼少期に脳に障害を受けたことにより、運動機能や姿勢のコントロールなどに障害を持つ状態を指します。本問では不正解となります。

選択肢2. 発達障害

発達障害: 幼少期から始まり、社会的、コミュニケーション、行動などの領域で障害があります。自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)などが含まれます。本問では不正解となります。

選択肢3. 進行性疾患

進行性疾患: 病気が進行することで徐々に症状が悪化する疾患を指します。アルツハイマーやパーキンソン病などが該当します。本問では不正解となります。

選択肢4. 先天性疾患

先天性疾患: 出生時に既に存在する疾患を指し、先天的な障害や病気が含まれます。例えば、先天性心疾患などがあります。本問では不正解となります。

選択肢5. 脳血管障害

正解です。

脳血管障害: 脳血管障害は、脳内の血管に障害が生じた状態を指します。脳卒中や脳出血、脳動脈瘤などがその原因となります。これらの障害が起きると、血液の供給が途切れたり、血管が破裂することで脳組織が障害を受けるため、高次脳機能障害が生じることがあります。

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03

厚生労働省および国立障害者リハビリテーションセンターが述べている高次脳機能障害診断基準は以下のとおりです。

Ⅰ.主要症状等

脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。

現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。

Ⅱ.検査所見

MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。

Ⅲ.除外項目

脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(I-2)を欠く者は除外する。

診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。

先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。

Ⅳ.診断

I〜IIIをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。

高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。

神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。

なお、診断基準のIとIIIを満たす一方で、IIの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあり得る。

また、この診断基準については、今後の医学・医療の発展を踏まえ、適時、見直しを行うことが適当である。

以上を踏まえて、解答していきましょう。

選択肢1. 脳性麻痺

脳性麻痺とは、妊娠中から生後4週間までの間に発生した脳損傷によって引き起こされる運動機能の障害を指しますので、この解答は不正解です。

選択肢2. 発達障害

「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と発達障害者支援法で定義されています。この解答は不正解です。

選択肢3. 進行性疾患

先述の高次脳機能障害の定義には「進行性疾患を原因とする者は除外する」とありますので、この解答は不正解です。

選択肢4. 先天性疾患

これも、先述の高次脳機能障害の定義には「先天性疾患を原因とする者は除外する」とありますので、この解答は不正解です。

選択肢5. 脳血管障害

先述の診断基準に含まれますので、この解答が正解です。

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