公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午後 問19
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問題
公認心理師試験 第6回 (2023年) 午後 問19 (訂正依頼・報告はこちら)
家族療法において、逸脱を増幅する正のフィードバックと、安定性を維持する負のフィードバックにより情報が伝達され、家族システムが制御されることを表す用語として、正しいものを1つ選べ。
- 自己分化
- 二重拘束
- 円環的因果律
- サイバネティクス
- 家族ホメオスタシス
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この過去問の解説 (3件)
01
家族療法についての問題です。解答を見ていきましょう。
自己分化とは、ボーエンによる考え方で「家族のシステムの中に巻き込まれず自己を確立すること」を指します。
この解答は不正解です。
二重拘束とはベイトソンが提唱し、「2つの矛盾したメッセージを送ることで受け取った方はどうすることもできず強いストレスを与えられる」ことを指します。
この解答は不正解です。
円環的因果律とは、ある出来事が原因でもあり結果でもある(円環的)と捉える考え方です。
この解答は不正解です。
サイバネティクスとは、「船の操縦のように、情報を受け取って結果をフィードバックしながら目的を達成したり調整するシステム」のことを指します。
家族療法では「家族内からの逸脱を増幅する正のフィードバックと、安定性を維持する負のフィードバックにより情報が伝達され、家族システムが制御されること」を指しますので、この解答が正解です。
家族ホメオスタシスとは、「家族を1つのシステムとして捉え、家族がそれまでの状態から変化しようとするのを元に戻そうとする働き」のことです。
サイバネティクスの負のフィードバックの部分しか表していないため、この解答は不正解です。
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02
家族療法とは、クライエント個人だけでなく、家族の話も聴きながら、家族の中にどのような仕組みや関係性があるのか見ていきます。家庭内に対処法や工夫を取り入れる事で、課題の改善を図ろうとするものです。
選択肢を見てみましょう。
誤りです。
自己分化とは、個人の中の「知性の機能」「感情の機能」のバランスの事をいいます。
‘自己分化が高い人’は、これらのバランスが上手く取れており、自分で意思決定をしながら、家族や社会でも他者と適切な関係を築きながら過ごす事ができます。
一方で、‘自己分化が低い人’は、自分で意思決定ができず、他者との関係も不安定になりやすいと考えられます。
誤りです。
二重拘束は、ダブルバインドと言う表現もされます。
個人から他者へ、互いに矛盾するような2つのメッセージが伝えられるために、他者を混乱させ、困らせてしまう状況を言います。
例えば、「言いたくない事は言わなくていいからね」と言っているのに、「でも、できるだけ言ってほしいな。知りたいな」とも言われると、言われた人はどうしたらいいか困ってしまうような状況です。
誤りです。
円環的因果率とは、人間関係や出来事は、互いに関係していて、循環しているものという考え方です。何か悪循環が起きている場合には、その循環を少しずつ変える、断ち切るような助言がされます。
正答です。
問題文は、サイバネティクスの説明として適切です。
誤りです。
家族ホメオスタシスとは、家族は1つのシステムであり、そのシステムを維持しようとする機能があると考えるものです。家族の誰かに問題や症状が続いている時には、その問題や症状によって家族のシステムが維持されているとアセスメントできる場合があります。
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03
各用語の意味を確認していきます。
自己分化は、家族の中で個々の人が自己のアイデンティティをどの程度確立し、自己の感情と家族の感情を分離して扱うかを示します。本問では不正解となります。
二重拘束は、矛盾するメッセージが送られ、どちらも遵守されることが求められる状況でのストレスを指します。本問では不正解となります。
円環的因果律は、家族システム内の事象が環状の関係で影響し合う考え方を表しています。本問では不正解となります。
正解です。
これは家族療法におけるシステム論の概念で、家族システム内のフィードバックループに焦点を当てています。ここでは、ポジティブフィードバック(逸脱を増幅する)とネガティブフィードバック(安定性を維持する)の相互作用が家族内で情報を伝達し、システム全体を制御するメカニズムとして捉えられます。
家族ホメオスタシスは、家族システムがバランスを維持しようとする傾向を指します。本問では不正解となります。
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