公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午後 問50

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問題

公認心理師試験 第6回 (2023年) 午後 問50 (訂正依頼・報告はこちら)

心理療法の効果研究におけるランダム化比較試験の説明として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 交絡を防ぐ。
  • アウトカムは設定しない。
  • 対照群には介入を実施しない。
  • 群への割り付けの際、参加者の意向を尊重する。

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この過去問の解説 (2件)

01

ランダム化比較試験は、研究の対象者をランダムにグループ分け(割り付け)し、特定の介入効果など明らかにしたいこと以外の因子をグループ間で統一させることで、信頼性を高めることがポイントです。

選択肢1. 交絡を防ぐ。

適切な記述です。

ランダムに割り付けることで交絡因子を均等にしその影響を抑えることができます。

選択肢2. アウトカムは設定しない。

アウトカム(評価項目)は事前に設定する必要があるため、不適切です。

選択肢3. 対照群には介入を実施しない。

例えば、新しい心理療法の効果を検証する際に、介入群には新しい心理療法を実施し、対照群には従来の心理療法を実施するというように、対照群にも介入を行う場合はよくあるため不適切です。

選択肢4. 群への割り付けの際、参加者の意向を尊重する。

ランダムに割付を行う必要があるため、不適切です。

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02

ランダム化比較試験とは、研究する対象者をランダムにグループ分けして行う方法です。

例えば、2つのグループに分けて、Aグループには新しい治療法を試し、Bグループにはこれまで通りの治療法を行います。

それぞれの結果の比較によって、新しい治療法の効果を測る事ができるというものです。

ランダムにグループ分けする利点としては、それぞれのグループの質が均一になると期待される事があげられます。

意図的にグループ分けすると、本当に確かめたい事以外の要因が、結果に影響してしまう可能性が考えられるのです。

その可能性を減らし、より正確な結果を求めるためにランダムにグループ分けを行う事に意味があると言えます。

では、選択肢の内容を見てみましょう。

選択肢1. 交絡を防ぐ。

適切な記述であり、この問題での正答となります。

交絡とは、得られた結果について、本当に確かめたい内容以外の要因も影響している可能性がある、その区別が難しいという状況を言います。

交絡を防ぐような手段で研究を行う事で、より正確性のある研究ができると考えられます。

選択肢2. アウトカムは設定しない。

不適切な記述であり、誤りです。

アウトカム(結果、成果)は事前に設定し、研究を行います。

選択肢3. 対照群には介入を実施しない。

不適切な記述であり、誤りです。

対照群とは、解説の冒頭で言うところのBグループを指します。

新しい治療法が従来の方法や他の方法と比べてどうなるかを測るためには、新しい治療法の介入を受けるグループ(実験群)と比較するグループが必要となります。

そのため、対照群には何も介入しないのでなく、研究内容に応じて必要な介入を行う事があります。

選択肢4. 群への割り付けの際、参加者の意向を尊重する。

不適切な記述であり、誤りです。

参加者の意向を尊重してグループ分けを行うと、結果に影響が出る可能性があります。

例えば、新しい治療法に期待している人を実験群に入れた場合、治療法本来の効果ではなく、治療法への期待などが結果や報告に影響してしまう心配が出てきます。

このような事を避けて、本当に確かめたい内容を測るためには、参加者の意向は踏まえずにランダムにグループ分けする必要があると言えます。

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