公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午後 問55

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問題

公認心理師試験 第6回 (2023年) 午後 問55 (訂正依頼・報告はこちら)

組織内のハラスメント相談室で行われる相談者との初回面接における聞き取りについて、適切なものを2つ選べ。
  • 具体的な事実を聞き取る。
  • 具体的な対応策の検討は控える。
  • 相談者の訴えを疑う姿勢を基本とする。
  • 精神医学的問題のアセスメントは避ける。
  • 組織の対応に関する相談者の意向を確認する。

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この過去問の解説 (2件)

01

ハラスメントの相談窓口での対応について理解しておきましょう。

厚生労働省のパワーハラスメントパンフレットでは対応のポイントを下記のように示しています。

・相談者の話に真摯に耳を傾け、意向を的確に把握する

・ハラスメントの態様に応じた対応を行う。

・現実にハラスメントが起きている場合だけではなく、その発生の恐れがある場合は、ハラスメントであるかどうか微妙な場合にも対応する

・二次被害を防止する

・問題を放置せず、初期の段階で迅速に対応する

・対応に時間を要する場合は、必要な期間などを相談者に伝える

選択肢1. 具体的な事実を聞き取る。

迅速な対応が求められるため、具体的な事実を聞き取る必要があります。

選択肢2. 具体的な対応策の検討は控える。

具体的な対応がないと、「何もしてくれなかった」と誤解を受けたり、被害が拡大する恐れがあり、不適切です。

選択肢3. 相談者の訴えを疑う姿勢を基本とする。

事実を確認することは必要ですが、相談者を疑う姿勢は二次被害につながるため不適切です。

選択肢4. 精神医学的問題のアセスメントは避ける。

ハラスメントによって心身の不調が現れる場合がありますので、適切な対応を行うため精神医学的問題に関するアセスメントも必要となります。不適切です。

選択肢5. 組織の対応に関する相談者の意向を確認する。

対応を行うにあたって、相談者の意向を確認する必要があります。

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02

公認心理師が産業領域で働く場合、ハラスメントの相談を受ける可能性もあります。

基本的な対応についてよく学んでおきましょう。

企業には、ハラスメントを防止するための方針の周知、相談体制の整備、ハラスメントが起きた際の迅速な対応などの措置を講ずる事が求められています。公認心理師も、その企業のハラスメントに対する措置や組織について把握した上で業務にあたる事が必要です。

では、選択肢を見てみます。

選択肢1. 具体的な事実を聞き取る。

正答です。

相談者が受けたハラスメントと思われる行為について事実を聞き取り、気持ちを受容する事が大切です。

選択肢2. 具体的な対応策の検討は控える。

誤りです。

ハラスメントが起きた場合、企業の迅速な対応が求められます。相談者とも具体的な対応策について検討する事が大切です。

選択肢3. 相談者の訴えを疑う姿勢を基本とする。

誤りです。

カウンセリングの基本姿勢として、相談者の話を肯定的に聴く事が重要です。疑うような姿勢では、相談者が安心して話す事ができなくなってしまいます。

選択肢4. 精神医学的問題のアセスメントは避ける。

誤りです。

相談者にうつ病や適応障害などの精神疾患が起きていないかをアセスメントする事が求められます。診断ではなく、医療機関受診や産業医との相談などをの必要性を検討します。

選択肢5. 組織の対応に関する相談者の意向を確認する。

正答です。

相談者が組織に対してどのような考えを持っているのか確認した上で、組織へ対応を求める事が大切です。

まとめ

公認心理師は、ハラスメントに関する相談においても、基本的なカウンセリングの姿勢で話を聴きますが、企業内の組織や対応の仕組みをよく理解し、それらが上手く機能するように対応する事が重要です。

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