公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午後 問61
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問題
公認心理師試験 第6回 (2023年) 午後 問61 (訂正依頼・報告はこちら)
47歳の女性A、病院看護師。半年ほど前からめまいや強い疲労感を覚えるようになり、出勤できない日が増えてきている。Aは、就職して以来、看護師として高い誇りと生きがいを持ち、真摯に仕事に取り組んできた。患者や同僚からの評判もよく、5年前からは看護師長として責任ある立場を任せられてきた。最近、新興感染症の拡大により極めて多忙な日々が長く続く中、このまま仕事を続けていくことに不安を覚え、生活全般に張り合いが感じられなくなってきている。
中年期危機という視点から、Aの状態を理解する上で、最も適切なものを1つ選べ。
中年期危機という視点から、Aの状態を理解する上で、最も適切なものを1つ選べ。
- 離脱理論
- エイジズム
- 空の巣症候群
- バーンアウト
- 職業的早期完了
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この過去問の解説 (2件)
01
この事例で注目すべきポイントは、次のように考えられます。
・めまいや強い疲労感がある。
・出勤できない日が増えている。
・仕事に真摯に取り組んできた。
これらのポイントに当てはまる状態は、選択肢の中では「バーンアウト」と考えられ、この問題での正答となります。
詳しく選択肢を見てみましょう。
誤りです。
「離脱理論」は、望ましい老化の考え方です。
年齢を重ねていくと所属していた社会から離れる事が増え、他者との関わりは減っていきます。その状態を受容する事が、老化に対する良い適応という考え方を示しています。
誤りです。
「エイジズム」は、年齢を理由とした偏見や差別、固定観念の事を指します。
誤りです。
「空の巣症候群」は、家庭で子どもが巣立ち、家が空っぽになった事で、親が喪失感や寂しさを強く感じてしまう状態を言います。強い疲労感、食欲不振、体調不良、無気力などの症状が見られます。
正答です。
「バーンアウト」は、仕事熱心だった人が急に仕事への意欲を失った状態を言います。
意欲がなくひどく疲れている、他者に思いやりのない態度をとる、仕事の質が落ちる、出勤できなくなる、朝に起きる事ができなくなるなどの症状が見られます。十分な休息をとる事が求められます。
日頃から食事や睡眠、休息などを取りながら仕事に取り組み、予防する事が大切です。
誤りです。
「早期完了」とは、青年期の状態としてよく用いられる用語です。十分に悩みもせずに、親などの影響を受けて重要な選択をしてしまい、一見、アイデンティティが確立されたように見える状態を言います。
ここでは「職業的」とついていますので、職業選択に関して、一見、立派に働いているように見えるが、実は十分な考えがなく職業に就いているような状態を言っていると考えられます。
中年期の方は、落ち着いて生活されている方が多いように感じられるかもしれませんが、実は職場や家庭での変化が大きく、上手く適応できずに体調や精神的な不調が生じる事も珍しくありません。中年期の方に関わる場面では、生活状況などをよく聴き、アセスメントする事が大切です。
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02
新興感染症の拡大により多忙な日々を過ごした後、不安感や張り合いの無さが生じていることからバーンアウトであると考えることができます。
各選択肢の内容についても理解しておきましょう。
離脱理論とは、老化によって社会参加が難しくなっていくことを受容することがよい適応であるという考え方です。
エイジズムとは、年齢による差別や偏見を指します。
空の巣症候群とは、子育てを終えた際に生じる喪失体験を指します。
バーンアウトとは、仕事や勉強などにそれまで意欲的に取り組んでいた人が、自身のキャパシティをこえてしまったり、目標を達成した時に燃え尽きたように意欲を失ってしまうことを指します。
早期完了とは、アイデンティティの確立の時期にしっかりと考えたり悩んだりする期間を経ずにすぎてしまうことを指します。
よって、職業的早期完了とは、職業的な意思決定の期間を経ずにその職業に就いていることを指します。
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