公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午後 問62
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問題
公認心理師試験 第6回 (2023年) 午後 問62 (訂正依頼・報告はこちら)
18歳の男性A、医療系大学の1年生。Aは、血を見ると目の前が真っ暗になり倒れそうな感覚になるため、2年次から始まる手術見学などの実習が耐えられないのではないかと不安を抱き、学生相談室に来室した。血液感染を恐れるというよりは、血や怪我を目にすることが苦手だという。今まではそのような場面を回避してきたが、今回の実習は必修科目であるため避けられそうになく困っている。アセスメントとして実施した心理検査の結果は、Y−BOCS が基準以下の重症度で、MAS が基準以上の重症度であった。
DSM−5に基づくAの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
DSM−5に基づくAの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
- 統合失調症
- 限局性恐怖症
- 強迫症/強迫性障害
- パニック症/パニック障害
- 社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)
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この過去問の解説 (2件)
01
このクライエントの状態のポイントは次のように考えられます。
・血を見ると倒れそうになる感覚になり、手術見学などの実習に不安がある。
また、心理検査結果については、次のように考えられます。
・Y-BOCS(強迫観念・強迫行為スケール)は重症度が低い。
⇒強迫症/強迫性障害の可能性は否定される。
・MAS(顕在性不安尺度)は重症度が高い。
⇒不安が高い状態。
上記の状態から想定される病態は、選択肢の中では「限局性恐怖症」と考えられ、この問題では正答となります。
では、選択肢を詳しく見てみましょう。
誤りです。
統合失調症の特徴とされる症状(幻覚、幻聴、思考障害、感覚鈍麻など)は見られていません。
正答です。
限局性恐怖症とは、特定の状況や対象について、強い不安や恐怖を感じてしまう状態を言います。ここでは、血や怪我に対する強い不安を語っており、心理検査から不安の高さも示されていますので、適切な選択と言えます。
誤りです。
強迫的な観念や行動は見られておらず、心理検査の結果からも否定されます。
誤りです。
パニック症/パニック障害の症状(突然の動悸やめまいなどの発作)は見られていません。
誤りです。
社交不安症/社会不安障害(社交恐怖)の症状(人との関わりに関する不安)は語られていません。
公認心理師は、不安や恐怖を主訴としたクライエントに多く出会います。さまざまな疾患の特徴を理解した上で、クライエントへの適切な対処や主治医との連携が求められます。
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02
Y-BOCS(エール・ブラウン強迫尺度)は強強迫証の重症度を評価する尺度です。
そしてMAS(顕在性不安尺度)は慢性的な不安傾向を測定するための尺度です。
これらを踏まえ、各選択肢の病態を確認しましょう。
Aには統合失調症の診断基準にある妄想や幻覚は出ていないと思われるため、不適切です。
DSM5に記載されている限局性恐怖症の診断基準は主に以下の通りです。
・特定の対象への顕著な恐怖と不安がある
・その恐怖の対象がいつも即時に恐怖や不安を誘発する
・その恐怖の対象は、積極的に避けられる、または、強い恐怖や不安を感じながら耐え忍ばれている
・その恐怖は、特定の対象によって引き起こされる実際の危険性や社会的状況に釣り合わない
・その恐怖は6か月以上続いている
・その恐怖が、社会的、職業的な機能の障害を起こしている
・その障害は、パニック様症状又は他の耐えがたい状況、他の精神疾患では説明できない
Aの状況は、特定の対象に対する恐怖と強い不安がみられ、診断基準にも該当すると思われますので適切です。
Y-BOCS尺度の点数から否定されるため、不適切です。
パニック発作では、動悸、発汗、震え、息苦しさ、窒息感、死ぬことに対する恐怖などの症状が4つ以上おこることがDSM5の診断基準に含まれており、Aの症状は基準を満たしていないと思われるため、不適切です。
Aの恐怖の対象となる状況は社交的状況ではないため、不適切です。
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