公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午後 問65

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問題

公認心理師試験 第6回 (2023年) 午後 問65 (訂正依頼・報告はこちら)

30歳の女性A。出産した産婦人科クリニックで産婦検診を受診した。Aは、「第一子Bを出産して1か月が過ぎたが、夜中に授乳やおむつ交換で何度も起こされ、あまり眠れない日が多い。産後2週目頃から母乳が徐々に出にくくなり、粉ミルクを併用している。このことで、自分にBを育てる資格があるのだろうか、と不意に不安になることがある。Bが泣き止まないときは大変で、腹が立ち、Bの世話は楽しくないと思うこともある。夫は育児休業を取得しているが、Bの面倒を見ようとしない。Aの実家は自宅から遠く、援助は期待しにくい」と言う。
産後ケアにおけるAへの対応として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 母乳育児の有用性を説明する。
  • 積極的に子育てに取り組むよう励ます。
  • 子育て世代包括支援センターなどと連携する。
  • 母子の愛着形成の重要性についての理解を促す。
  • Aの夫と連絡を取り、Bの世話をするよう要請する。

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この過去問の解説 (2件)

01

この事例を考える上でのポイントは次の通りです。

・自分の子育てに不安がある。

・子どもに対して苛立ちを感じる場面がある。

・夫の協力を得にくい。

・身近に頼れる人がいない。

上記の状態より、Aには産後うつ、児童虐待の可能性が心配されます。

この状態への適切な対応は、病院以外の機関と情報共有し、子育てのサポートや家庭の見守りをする事、Aが安心して頼る事のできる場を提供する事と考えられます。

よって、この問題の正答は「子育て世代包括支援センターなどと連携する」と言えます。

「母乳育児の有用性を説明する」「積極的に子育てに取り組むよう励ます」「母子の愛着形成の重要性についての理解を促す」などの選択肢は、Aにとっては、「責められた」「自分はだめな母親だ」と感じさせ、状態を悪化させる危険性がありますので、対応としては不適切と考えられます。

また、「Aの夫と連絡を取り、Bの世話をするよう要請する」は、この事例の情報ではAと夫の関係性や夫の性格、状況が不明であるため、適切な対応とは考えにくいと言えます。

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02

問題文から、Aさんは産後うつの状態である恐れがあります。そのような場合の産後ケアにおける適切な言葉かけや対応を確認しておきましょう。

子育てへの不安を感じているAがさらに追い込まれてしまうことのないように対応していきます。

選択肢1. 母乳育児の有用性を説明する。

母乳が出にくい場合はミルクを使うことも有用です。母乳育児の有用性を説明することはAの不安を増大させる恐れがあるため、不適切です。

選択肢2. 積極的に子育てに取り組むよう励ます。

すでに疲弊状態にあると思われるAに対してさらに子育てに積極的に取り組むよう励ますのはAを追い込む恐れがあるため不適切です。

選択肢3. 子育て世代包括支援センターなどと連携する。

医療機関だけでなく、市町村の支援センターと連携することで、保健師等との育児相談などより包括的な支援を受けることが可能になるため、適切です。

選択肢4. 母子の愛着形成の重要性についての理解を促す。

すでに子育てに疲弊し不安状態にあると思われるAに対して、愛着形成の重要性について理解を促すことは、現在の不安を増大させる恐れがあるため不適切です。

選択肢5. Aの夫と連絡を取り、Bの世話をするよう要請する。

Aさんと夫との関係に踏み込むことで関係性が複雑化し状況が悪化する恐れがあるため、不適切です。

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