公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午後 問68

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問題

公認心理師試験 第6回 (2023年) 午後 問68 (訂正依頼・報告はこちら)

15歳の男子A、中学3年生。Aは、学校の廊下で面識のない生徒Bと肩がぶつかった。AはBに、「わざとぶつかっただろう」と文句を言い、BはわざとではないとAに謝ったが、Aは信じられず、Bの顔を殴った。Aは、約2か月前にも、他の中学校の見知らぬ生徒Cと道ですれ違った際ににらまれたと突然激高し、暴言を吐いたことがあった。Cは事後、担任教師にAと目が合ったかどうかも分からないと話している。
AのBとCに対する暴行や暴言に関わる、Aの認知バイアスとして、最も適切なものを1つ選べ。
  • 後知恵バイアス
  • 正常性バイアス
  • 現状維持バイアス
  • 自己奉仕バイアス
  • 敵意帰属バイアス

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この過去問の解説 (2件)

01

認知バイアスとは、人が状況判断する時や意思決定する時に、それまでの経験や先入観によって、合理的でない考え方をする事を言います。

この事例では、Aに次のような様子が見られます。

・Bが自分にわざとぶつかったと思い込む。

・Cに睨まれたと思い込む。

BやCに悪意はないのに、Aが「BやCは自分に敵意を向けている」と思い込んでしまったと言えます。

このように、相手の言動を自分に対する悪意や敵意があると思い込んでしまう事を「敵意帰属バイアス」と言い、この問題での正答となります。

他の選択肢も見てみましょう。

選択肢1. 後知恵バイアス

誤りです。

「後知恵バイアス」とは、物事が起きた後に、「そうだと思った」というように、予測可能な事だったと考える事を言います。

選択肢2. 正常性バイアス

誤りです。

「正常性バイアス」とは、予測できない事が起きたとしても、「そんな事ありえない」「正常の範囲だ」という捉え方をする事を言います。

選択肢3. 現状維持バイアス

誤りです。

「現状維持バイアス」は、今の状態を安定と捉えており、その状態が変化する、崩れる事を嫌がる事を言います。

選択肢4. 自己奉仕バイアス

誤りです。

「自己奉仕バイアス」とは、何か成功した時には自分の能力によるものと考え、失敗した時には自分以外に要因がある、「自分にはどうしようもなかった」と考える事を言います。

選択肢5. 敵意帰属バイアス

正答です。

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02

AはBとCに対してどちらも相手が自分に悪意を持っていると感じていることが伺えます。

認知バイアスについて整理しておきましょう。

選択肢1. 後知恵バイアス

ある物事が起きた後に、それは予測可能であったと考える傾向のことですので、不適切です。

選択肢2. 正常性バイアス

災害や火災、事故などの危険な状況にあっても「大したことはない」「自分は大丈夫」というように自分の正常な生活が脅かされうる都合の悪い情報を過小評価する傾向のことですので、不適切です。

選択肢3. 現状維持バイアス

新しい情報や状況が好転する方法があっても、変化を避け現状を維持することを選ぶ傾向のことですので、不適切です。

選択肢4. 自己奉仕バイアス

成功したときは自分の内的な要因に原因帰属させ、失敗したときは外的な要因に原因帰属させる傾向のことですので、不適切です。

選択肢5. 敵意帰属バイアス

相手の言動を悪意や敵意によるものだと考える傾向のことですので、適切です。

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