公認心理師の過去問
第6回 (2023年)
午後 問76
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問題
公認心理師試験 第6回 (2023年) 午後 問76 (訂正依頼・報告はこちら)
67歳の女性A、無職。半年前に夫を亡くし、現在、娘と二人暮らしである。数か月前から、同じことを何度も尋ねたり、日付を間違えたりすることが増えた。また、日課にしていた散歩に出かけなくなった。心配した娘に連れられて医療機関を受診し、担当医Bの診察を受けた。診察では、「最近物忘れが多く、何をするにもおっくうだ」と話した。Bによると、失語、失認及び失行を疑わせる症状はなく、神経学的症状もなかった。MMSE は25点、HDS−R は26点であった。Aの詳しい病態把握が必要と判断したBは、公認心理師Cに心理検査バッテリーについて相談した。
このときCが提案すべき心理検査として、適切なものを2つ選べ。
このときCが提案すべき心理検査として、適切なものを2つ選べ。
- GDS
- MMPI
- SLTA
- STAI
- WMS−R
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この過去問の解説 (2件)
01
認知症の恐れがある事例ですが、MMSE(23点以下で認知症疑い)とHDS-R(20点以下で認知症疑い)、認知症の可能性は低いと判断できます。
そこで、認知症に似た症状が出るほかの疾患について調べる必要があります。
老年期うつ病の評価尺度(Geriatric Depression Scale)です。
Aは半年前に夫を亡くし、その後に症状が出ていることから老年期のうつ病であることが考えられるため、適切です。
ミネソタ多面人格目録(Minnesota Multiphasic Personality Inventory)は人格特徴を評価する尺度ですので、不適切です。
SLTA(Standard Language Test of Aphasia)標準失語症検査は失語症の検査です。
診察から失語症状は否定されているため、不適切です。
状態‐特性不安尺度(State-Trait Anxiety Inventory)は不安に関する尺度です。
不安症状はみられないため不適切です。
ウェクスラー記憶検査(Wechsler Memory Scale - Revised)は記憶障害を評価する尺度です。
主訴に物忘れがありますので、より詳細な検査として実施するのは適切です。
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02
今回の状況では、診察によって神経学的な症状や明白な失語・失認の症状は観察されていないため、認知症の他の形態やうつ病などの可能性を考慮する必要があります。それらを踏まえ、各選択肢を検討していきます。
正解です。
高齢者のうつ病のスクリーニングに使われる尺度で、うつ病の症状を評価します。特に失うものが多い状況下でのうつ傾向を把握するのに役立ちます。
広範な心理状態を評価するための標準的な心理検査で、精神疾患のスクリーニングや性格特性の評価に使われます。ただ、MMPIは比較的長い検査であり、時間と専門的な解釈を必要とします。そのため、より特定の症状を評価する短いスクリーニングテストの使用が、より適切な場合があります。本問においては不正解となります。
失語症の評価に用いられるテストで、言語理解能力を測定します。ただし、今回の症例では失語症の兆候は見られないため、直接的な適用はないかもしれません。本問においては不正解となります。
状態不安と特性不安を評価する尺度で、不安症状の評価に使われます。状態不安は一時的な不安、特性不安は個人の一般的な不安傾向を測定します。本問においては不正解となります。
正解です。
記憶機能を評価する尺度で、認知機能の詳細な評価に使われます。特に記憶機能に焦点を当てて異常を評価します。
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