公認心理師の過去問
第7回 (2024年)
午前 問4

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

公認心理師試験 第7回 (2024年) 午前 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

刺激と反応の間の媒介変数として習慣強度を設定し、行動を説明した人物に該当するものを1つ選べ。
  • B. F. Skinner
  • C. L. Hull
  • E. C. Tolman
  • E. R. Guthrie
  • J. B. Watson

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

行動主義、新行動主義の心理学者に関する問題です。

行動主義の主唱者は、J.B.Watson(ワトソン)。

新行動主義の心理学者は、B.F.Skinner(スキナー)、C.L.Hull(ハル)、E.C.Toleman(トールマン)、E.R.Guthrie(ガスリー)です。

 

行動主義は、ワトソンが心理的な現象は刺激(Stimulus)と反応(Response)の関係で説明する、行動を扱うことを試みたことで始まります。しかし、刺激と反応の分析だけでは限界があり、刺激と反応の間に媒介変数(因果関係の過程にある変数)を仮定する新行動主義へと発展しました。

 

この問題の正答は「C.L.Hull」です。

では、選択肢を見てみましょう。

選択肢1. B. F. Skinner

誤りです。

スキナーは、レスポデント条件づけとオペラント条件づけを区別したこと、スキナー箱による実験を行ったことで有名です。また、三項随伴性(弁別刺激、反応、反応結果の3つの連鎖)、シェイピング(習得しようとする行動を小さなステップに分ける方法)など、オペラント条件づけの理論を応用し、応用行動分析の基礎を築きました。さらに、研究者自身の内観も研究対象に含むと考えることを主張するなど、徹底的行動主義と呼ばれました。

選択肢2. C. L. Hull

正答です。

ハルは、刺激と反応の間に有機体(Organism。人間、動物にある性格、器質、遺伝によるもの)を要因と考えました。それによって、同じ刺激や環境であっても、個体ごとに異なる反応が生じることを説明できるようになりました。これは、S-O-R理論と呼ばれます。

また、仮説を立てて実験により検証する仮説演繹法を導入し、行動や学習について数式で表すことを体系化したことについても有名です。

選択肢3. E. C. Tolman

誤りです。

トールマンは、人間は目的を持って行動すると考える目的的行動主義を主張しました。これは、体験と行動の間には、人間の期待や仮説、認知地図(頭の中にイメージする情報を構造化した地図のようなもの)などの心理的な媒介変数があるという考えです。

選択肢4. E. R. Guthrie

誤りです。

ガスリーは、学習は刺激と反応が時間的、空間的に接近して起これば成り立つという考え(接近説)を主張しました。

選択肢5. J. B. Watson

誤りです。

ワトソンの行動主義は、それまでの心理学の流れであった内観的な研究を批判し、行動などの客観的に把握できる部分を行動の対象としたことが特徴です。ワトソンは、条件づけの方法により恐怖の感情を消去することに成功し、行動療法のきっかけを作りました。

まとめ

心理学の歴史において、行動主義、ゲシュタルト心理学、精神分析は20世紀の3大学説と言われます。行動主義は、特にアメリカを中心として研究がされました。客観的に測ることのできる行動などを研究の対象としたことにより、心理学における科学的な研究の手法が作られたこと、行動に注目して心理的な症状の改善を図る心理療法の基礎ができたことなどが大きな業績と考えることができ、現代の心理学や心理療法も大きな影響を受けています。

参考になった数7

02

この問題で覚えておくべきポイントは以下のとおりです。

理論の提唱者とその内容について、詳細に理解しておく必要があります。行動主義も提唱者により、微妙にその内容が変わっていますので、注意が必要です。

それでは、問題を見てみましょう。

選択肢1. B. F. Skinner

パブロフの条件反射を「レスポンデント条件付け」、ゾーンダイクの試行錯誤学習を「オペラント条件付け」と再定義し、理論を整理しました。問題文の説明とは異なるため、間違いです。

選択肢2. C. L. Hull

習慣を定義した人物です。習慣は、報酬があり、何らかの反応が生じることで形成され、これらが繰り返されることで行動が成り立つと定義しました。問題文と内容が合致するため、正しいです。

選択肢3. E. C. Tolman

S-O-R理論(刺激—目的ー反応)理論の提唱者です。人の行動は、目的があるから起こるとされているため、間違いです。

選択肢4. E. R. Guthrie

接近説の提唱者です。学習には刺激と反応が空間的、時間的に接近していることが必要であるとされています。刺激の強度に関する記載はないため、間違いです。

選択肢5. J. B. Watson

行動を刺激と反応の関係としてシンプルにとらえ、そのメカニズムを解明しようとした、行動心理学の提唱者です。そのため、間違いです。

まとめ

行動心理学、行動主義に関する一連の理論の変化の流れを覚えておくと、登場人物のつながりも含めて深く理解できると思います。

心理学の三大潮流と言われている、ゲシュタルト心理学、精神分析と合わせて、整理しておきましょう。

参考になった数0

03

以下に解説します。

選択肢1. B. F. Skinner

オペラント条件付け理論で有名で、行動が強化によって変化することを説明した学者です。

選択肢2. C. L. Hull

正しいです。刺激と反応の間に「習慣強度」という媒介変数を設定し、それを通じて行動を説明した心理学者です。行動の強さや発生頻度が過去の強化経験に基づいて決まるとし、行動を予測するための数理モデルも提唱しました。彼の理論は動因低減理論とも呼ばれ、学習における動機づけの役割を重視しました。

選択肢3. E. C. Tolman

認知地図や潜在学習を提唱し、行動の基礎には目的や期待があると考えた学者です。

選択肢4. E. R. Guthrie

「隣接学習理論」を提唱し、反応が特定の刺激と一度結びつくと学習が成立すると説明した学者です。

選択肢5. J. B. Watson

行動主義の創始者で、観察可能な行動に焦点を当てましたが、媒介変数は排除する立場でした。

参考になった数0