公認心理師の過去問
第7回 (2024年)
午前 問15
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問題
公認心理師試験 第7回 (2024年) 午前 問15 (訂正依頼・報告はこちら)
N. Eisenberg が提唱した向社会的道徳判断の発達レベルのうち、最も高いものを1つ選べ。
- 強く内面化された価値に基づく判断
- 相手の要求に対する関心に基づく判断
- 自分の快楽に結び付く考え方に基づく判断
- 相手の立場に立った共感的な配慮に基づく判断
- 善悪についての紋切り型の考え方に基づく判断
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題は、P.Mussen、N.Eisenbergによる書籍「思いやりの発達心理」より引用しながら解説します。
この書籍では、向社会的行動を「外的な報酬を期待することなしに、他人や他の人々の集団を助けようとしたり、こうした人々のためになるようなことをしようとする行為のこと」としています。
また、向社会的な道徳的思考の段階を次のようにまとめています。
第一段階『快楽主義的で実際的な志向』
行動によって直接自分に得られるものがあるかどうか、お返しがあるか
どうか、自分が必要としたり好きだったりする相手かどうかによって行
動する。
『「他人の要求」志向』
他人の身体的・物質的・心理的な要求によって行動する。
第二段階『承認と対人的志向、紋切り型の志向』
良い人・悪い人、良い行動・悪い行動について紋切り型のイメージ、
他人の承認や受容を考えに入れることなどによって行動する。
第三段階(A)『共感的志向』
共感的な反応や役割取得、他人の人間らしさについての関心、人の
行為の結果についての罪悪感やプラスの感情などによって行動する。
第三段階(B) 援助などの行動は、内面化された価値や規範、義務、他人の
権利や尊厳を守る必要を考えることによって正当化される。
第四段階『強く内面化された段階』
援助などの行動は、内面化された価値や規範、責任、個人的・社会的に
約束した義務を果たすこと、皆の尊厳や権利・平等についての信念など
による。
よって、この問題の正答は「強く内面化された価値に基づく判断」と考えることができます。
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02
以下に解説します。N. Eisenbergの向社会的道徳判断の発達レベルでは、道徳判断の発達は自己中心的なものから他者への配慮を含むものへと進み、最も高いレベルでは「強く内面化された価値に基づく判断」がなされます。このレベルでは、個人は普遍的な道徳原理や内面化された価値観に基づいて行動し、他者の利益を真に尊重しようとする判断が行われます。
正しいです。
他者の要求に対する配慮はあるが、内面化された価値に基づく判断には達していない段階です。
道徳判断の初期段階で、自分の利益や快楽を優先するレベルです。
他者への共感や理解が含まれる段階です。
道徳判断が固定観念やルールに従ったもので、内面化された価値観による深い理解とは異なります。
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03
この問題で覚えておくべきポイントは以下のとおりです。
N.Eisenbergが提唱している発達レベルの序列を覚えておく必要があります。
では、問題を見てみましょう。
発達段階における第5段階、最終段階ですので、正しいです。生きる上での道徳的規準が明確に自己に存在し、その信念に基づき行動するために判断能力を持った状態であると言えます。
発達段階における第2段階ですので、間違いです。他者が何を求めているか、何に関心を寄せているか、を判断基準としています。
発達段階における第1段階、最初の段階ですので、間違いです。自分が望むかどうか、を判断基準としています。
発達段階における第4段階ですので、間違いです。相手の価値観、関心に興味を持ち、相手を尊重できるかどうかを判断基準としています。
発達段階における第3段階ですので、間違いです。他者からの承認を得られるか、良いことは何か、を判断基準としています。
道徳的判断基準の段階付けは、Kohlbergは6段階ですので、まざらないように注意しましょう。どのように道徳的思考が育っていくかに関しては、一連の流れで覚えておいたほうがよいと思います。
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