公認心理師の過去問
第7回 (2024年)
午前 問21
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問題
公認心理師試験 第7回 (2024年) 午前 問21 (訂正依頼・報告はこちら)
C. R. Rogers が提唱したセラピーによるパーソナリティ変化の必要十分条件に含まれるものを1つ選べ。
- セラピストは、セラピスト自身の内的照合枠を理解している。
- セラピストとクライエントが、相互に共感的に理解し合っている。
- セラピストは、クライエントとの関係の中で不一致の状態にある。
- セラピストは、クライエントに対して無条件の肯定的配慮を経験している。
- セラピストは、クライエントと自分をできる限り同一視し、その経験をクライエントに伝えようとしている。
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この過去問の解説 (3件)
01
以下に解説します。
カール・ロジャーズ(C. R. Rogers)が提唱したパーソナリティ変化における必要十分条件には、クライエント中心療法の理論に基づき、以下の3つの基本的態度があります。
セラピストの自己一致
セラピストは自分の感情、考え、態度に対して誠実であり、内的な状態と外的な態度が一致している必要があります。つまり、セラピストは自分の本当の感情や思考を隠すことなく、ありのままでクライエントに接することが求められます。
無条件の肯定的配慮
セラピストは、クライエントがどのような行動を取ろうとも、クライエントを無条件に受け入れ、尊重する態度を持つことが必要です。クライエントの価値や行動を評価するのではなく、人格全体を受け入れることが重要です。この態度が、クライエントの自己肯定感を促進します。
共感的理解
セラピストは、クライエントの感情や経験を深く理解し、共感的に接することが必要です。クライエントの視点に立ち、感情を理解し、その理解をクライエントに伝えることによって、クライエントは自分自身をよりよく認識し、変化を促進することができます。
「治療によりパーソナリティ変化が生じるための必要かつ十分な諸条件」において援助的関係の6条件
2人の人間が心理的な接触(ラポート・ラポール)を持っていること
第1の人(クライエント)は不一致の状態、傷つきやすい状態、または不安な状態にあること
第2の人(セラピスト)はその関係の中で一致している状態、統合している状態であること
セラピストはクライエントに対して無条件の肯定的配慮を経験していること
セラピストはクライエントの内的照合枠を共感的に理解しており、その経験をクライエントに伝えようと務めていること
セラピストの理解と無条件の肯定的配慮が、クライエントに最低限伝わっていること
正しいです。
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02
この問題で覚えておくべきポイントは以下のとおりです。
C.R.Rogersはクライエント(来談者)中心療法を提唱した心理学者ですが、良い人としての変化を生むための条件として論文を発表しており、その内容が問われています。
では、問題を見てみましょう。
必要十分条件において、セラピストは、クライエントの内的照合枠を理解しているとされていますので、間違いです。
必要十分条件において、セラピストが共感的理解をしていることがクライエントに伝わっていることが必要であり、相互に共感しているわけではないので、間違いです。
クライエントは不一致の状態であり、セラピストはクライエントとの関係で一致していることが必要であるため、間違いです。
正解です。
セラピストがクライエントを受け入れている状態が必要です。
同一視することは、必要十分条件ではないため、間違いです。
今回の問いにあるパーソナリティ変化における必要十分条件は、理論を実証するための条件です。Rogersの来談者(クライエント)中心理論は3原則から成り立っています。3原則は1.自己一致、2.無条件の肯定的配慮 3.共感的理解です。合わせて覚えておきましょう。
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03
ロジャーズ(C.R.Rogers)は、アメリカの心理学者であり、クライエント中心療法の創始者として有名です。
ロジャーズは、自己構造(自己概念)と体験の不一致が心理的な緊張を生み出すとし、それらを一致させ、ありのままの自分を受け入れることが自己実現へつながると考えました。
カウンセリングにおいては、セラピストとクライエントの関係性を重視しています。クライエントのパーソナリティ変化には、セラピストが「純粋性」「無条件の肯定的配慮」「共感的理解」という3つの態度をとることが必要と主張しました。
さらに、クライエントのパーソナリティ変化のための必要十分条件として、次の6つをあげています。
1.2人の人が心理的な接触を持っていること。
2.第1の人(クライエントと呼ぶことにする)は、不一致の状態にあり、
傷つきやすく、不安な状態にあること。
3.第2の人(セラピストと呼ぶことにする)は、その関係のなかで一致
しており、統合していること。
4.セラピストは、クライエントに対して無条件の肯定的配慮を経験して
いること。
5.セラピストは、クライエントの内的照合枠を共感的に理解しており、
この経験をクライエントに伝えようと努めていること。
6.セラピストの共感的理解と無条件の肯定的配慮が、最低限クライエントに
伝わっていること。
よって、この問題の正答は「セラピストは、クライエントに対して無条件の肯定的配慮を経験している。」となります。
*参考・引用文献*
「初学者のための心理臨床 こころのケアの基本」 小俣和義編著(北樹出版)
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