公認心理師 過去問
第7回 (2024年)
問26 (午前 問26)

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問題

公認心理師試験 第7回 (2024年) 問26(午前 問26) (訂正依頼・報告はこちら)

DSM−5の神経発達症群/神経発達障害群のうち、細部に注意がいき過ぎて全体を捉えられない中枢性統合の弱さのために、固執傾向や文脈の読みとりにくさなどがある病態として、最も適切なものを1つ選べ。
  • トゥレット症/トゥレット障害
  • 注意欠如多動症/注意欠如多動性障害
  • 発達性協調運動症/発達性協調運動障害
  • 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害
  • コミュニケ―ション症/コミュニケーション障害

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この過去問の解説 (3件)

01

DSM-5の診断基準に関する問題です。

 

この問題の正答は「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」です。

では、選択肢を見てみましょう。DSM-5の内容を一部抜粋、省略しながら解説していきます。

 

選択肢1. トゥレット症/トゥレット障害

誤りです。

「トゥレット症/トゥレット障害」の診断基準には、「多彩な運動チック、および1つまたはそれ以上の音声チックの両方」のような内容があります。

 

よって、問題文の説明とは異なると言えます。

選択肢2. 注意欠如多動症/注意欠如多動性障害

誤りです。

「注意欠如多動症/注意欠如多動性障害」の診断基準には、次のような内容があります。

不注意・・・不注意な間違いをする、注意を持続することが困難である、話しかけられた時に聞いていないように見える、義務をやり遂げることができない、活動を順序立てることが困難、精神的努力の持続を要することを避ける、必要なものをなくしてしまう、外的な刺激によって気が散ってしまう、忘れっぽいなど。

多動ー衝動性・・・手足をそわそわ動かす、席から離れる、不適切な状況で高い所へ登る、静かに遊ぶことができない、じっとしていない、しゃべりすぎる、相手の質問が終わる前に話し始める、順番を待つことができない、他人の邪魔をするなど。

 

よって、問題文の説明とは異なると言えます。

 

 

 

選択肢3. 発達性協調運動症/発達性協調運動障害

誤りです。

「発達性協調運動症/発達性協調運動障害」の診断基準には、「協調運動技能の獲得や遂行が、その人の生活年齢や技能の学習および使用の機会に応じて期待されるものよりも明らかに劣っている」という内容があります。

 

よって、問題文の説明とは異なると言えます。

 

選択肢4. 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害

正答です。

「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」の診断基準には、次のような内容があります。

「同一性への固執、習慣への頑ななこだわり、または言語的、非言語的な儀式的行動様式」という記載は、問題文の‘固執傾向’にあたると考えられます。

また、「通常の会話のやりとりのできない」「興味、情動、または感情を共有することの少なさ」「社会的相互反応を開始したり応じたりすることができない」「身振りの理解やその使用の欠陥」「顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥」などの記載は、問題文の‘文脈の読み取りにくさ’にあたると考えられます。

選択肢5. コミュニケ―ション症/コミュニケーション障害

誤りです。

「コミュニケーション症/コミュニケーション障害」は、DSM-5に診断名としての記載はありません。

ただし、「コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群」というまとまりで、話すこと、書くこと、それ以外のコミュニケーションについて持続的な困難がある状態の診断基準があります。

まとめ

DSM(精神疾患の分類と診断の手引)は、2023年9月にDSM-5-TRが刊行されており、内容に変更があります。

例えば、この問題にある「神経発達症群/神経発達障害群」という名称は「神経発達症群」と変更されています。これ以外にも、疾患名の変更、疾患の追加などがありますので、新しい情報も学んでおきましょう。

参考になった数10

02

以下に解説します。DSM-5における神経発達症群/神経発達障害群のうち、細部に注意がいき過ぎて全体を捉えられない中枢性統合の弱さのために、固執傾向や文脈の読み取りにくさが見られる病態として最も適切なものは 「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム」です。

選択肢1. トゥレット症/トゥレット障害

主に運動チックや音声チックを特徴とする障害で、注意や固執傾向に関連した特徴はありません。

選択肢2. 注意欠如多動症/注意欠如多動性障害

注意の持続困難や多動性が特徴で、細部にこだわりすぎるというよりは、注意の切り替えが難しいことが主な問題です。

選択肢3. 発達性協調運動症/発達性協調運動障害

 主に運動の協調性に関する障害であり、固執傾向や文脈の理解の困難とは関係がありません。

選択肢4. 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害

正しいです。

選択肢5. コミュニケ―ション症/コミュニケーション障害

言語や発音の問題に関連した障害ですが、全体を捉えることに関する障害とは異なります。

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この問題で覚えておくべきポイントは以下のとおりです。

診断名と症状が問われています。

では、問題を見てみましょう。

選択肢1. トゥレット症/トゥレット障害

本人の意思とは無関係に、声や運動のチック症状(音声チック・運動チック)が出現する疾患・障害ですので、間違いです。なお、音声チックのみ、または運動チックのみでは該当しません。

選択肢2. 注意欠如多動症/注意欠如多動性障害

いわゆるADHDです。

12歳未満で発症し、注意の持続が同年代よりも困難だったり、落ち着きがない、待てないなどの症状があり日常生活に支障をきたしている状態の指しますので、間違いです。

選択肢3. 発達性協調運動症/発達性協調運動障害

身体的に麻痺など生じていて動かすことが難しい状態ではないにも関わらず、よく転ぶなど全身をバランスよく効率的に使うことが障害され、結果適切に道具の使用ができず(鋏が使えないなど)生活に支障きたしている状態を指しますので、間違いです。

選択肢4. 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害

ASDが略です。対人関係を適切にとることができず、物事に固執しやすかったり、執拗なこだわり行動がみられる症状を指しますので、正解です。

選択肢5. コミュニケ―ション症/コミュニケーション障害

社会的コミュニケーション症/社会的コミュニケーション障害のことであり、非言語コミュニケーションと組み合わせて他者と会話することが難しい症状を指しますので間違いです。自閉症スペクトラム症など、他の障害でも確認できる症状です。

まとめ

DSM-5での分類と、各症状の特徴的な内容は整理して覚えておきましょう。なお、現在はDSM-5—TRが最新です。一度しっかり目を通しておきましょう。

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