公認心理師の過去問
第7回 (2024年)
午前 問38
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
公認心理師試験 第7回 (2024年) 午前 問38 (訂正依頼・報告はこちら)
パーソンセンタード・アプローチにおいて、セラピストの傾聴を理論的に説明するために用いられる概念として、不適切なものを1つ選べ。
- 純粋性
- 体験過程
- 深い関係性
- フェルトセンス
- パーソナル・コンストラクト
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (2件)
01
以下に解説します。パーソンセンタード・アプローチ(人間中心療法)は、カール・ロジャーズによって提唱された理論で、セラピストがクライエントとの関係において提供する「無条件の肯定的配慮」や「共感的理解」を重要視します。ここでのセラピストの傾聴は、クライエントの感情や経験を深く理解し、クライエントが自らの問題を自己解決できるように支援することに焦点を当てています。
パーソナル・コンストラクトはジョージ・ケリーによって提唱された理論で、個人が世界を理解するための独自の枠組み(認知的構造)に関する概念です。これはパーソンセンタード・アプローチには直接関連しません。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
02
パーソンセンタード・アプローチとは、人間が自己実現しようとする力を信じ、クライエントを中心としたアプロ―チを行う心理療法を指します。カウンセラーはクライエントを変えようと働きかけるのでなく、クライエントの力が促進するような態度、非指示的な関わりをすることが求められます。カウンセラーとクライエントの関係性が重要となります。
この問題の正答は「パーソナル・コンストラクト」です。
では、選択肢を見てみましょう。
「純粋性」とは、ロジャーズによるクライエント中心療法において重要とされる、カウンセラーの態度の一つです。クライエントの自己理解や成長が促進されるためのカウンセラーの態度として、3つの条件があげられています。
純粋性・・・カウンセラー自身も自分の感情に気づき、自己一致していること。
共感的理解・・・クライエントに起きていることを、カウンセラーも体験しているように知ろうとすること。
無条件の肯定的配慮・・・クライエントの話に評価を持たず、無条件に肯定すること。
よって、これはパーソンセンタード・アプローチの態度として適切と言えます。
「体験過程」とは、フォーカシングに関する用語です。
フォーカシングとは、ジェンドリンによって提唱された、パーソンセンタード・アプローチの手法です。言葉にならない身体の感覚を感じ取り、それに焦点を当てて言語化、理解することによって、クライエントの自己理解や成長を期待するものです。その中で、クライエントが自分の中の心の流れや変化を感じ取っていく過程を体験過程と呼びます。
よって、これはパーソンセンタード・アプローチの態度として適切と言えます。
「深い関係性」とはメアンズによる理論です。「リレイショナル・デプス」とも呼ばれます。
これは、クライエントとカウンセラーが深く親密な関係性を持つ体験こそが、クライエントの自己理解、自己受容につながるという考え方です。その関係性によって、クライエントがカウンセラーへ自分について素直に語り、それを肯定してもらうことが自己受容につながっていきます。クライエントを中心とした関わりによるものであり、パーソンセンタード・アプローチの一つと考えられます。
よって、これはパーソンセンタード・アプローチの態度として適切と言えます。
「フェルトセンス」とはフォーカシングに関する用語です。
フォーカシングでは、言葉にならない曖昧な体の感覚、もやもやとした感覚に焦点をあてます。この感覚を「フェルトセンス」と呼び、その感覚の意味について言語化していきます。
よって、これはパーソンセンタード・アプローチの態度として適切と言えます。
「パーソナル・コンストラクト」とは、ジョージ・ケリーによる理論です。
同じ状況を複数人が体験したとしても、その状況の捉え方は人によって異なります。異なる要因を、個人の持っている物事の解釈の仕組みが違っているため、個人がメガネやフィルターのような捉え方を持っているためと考えるものです。これは、認知論的パーソナリティ理論ですので、パーソンセンタード・アプローチの態度とは言えません。
よって、この問題での正答となります。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問37)へ
第7回 (2024年)問題一覧
次の問題(問39)へ