公認心理師の過去問
第7回 (2024年)
午前 問58

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問題

公認心理師試験 第7回 (2024年) 午前 問58 (訂正依頼・報告はこちら)

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉の内容として、適切なものを2つ選べ。
  • 家族が立ち入り調査を拒んだことに対する罰則規定はない。
  • 家庭内虐待における通報先には地域包括支援センターが含まれる。
  • 市町村において虐待が認定された場合、行政担当者は警察に報告する義務がある。
  • 養護者による虐待の事実を確認しなくても、疑いの段階で通報することができる。
  • 養介護施設職員が、施設において、介護業務に従事する職員による高齢者虐待を発見した場合、通報の努力義務がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題では、高齢者虐待防止法の内容について正確な理解が求められます。特に、通報の義務や努力義務、通報先、行政の対応、罰則規定などについて把握することが重要です。また、家庭内虐待と施設内虐待の違いにも注意を払う必要があります。

選択肢1. 家族が立ち入り調査を拒んだことに対する罰則規定はない。

この選択肢は不適切です。高齢者虐待防止法第30条により、正当な理由なく立入調査を拒否した場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

選択肢2. 家庭内虐待における通報先には地域包括支援センターが含まれる。

この選択肢は正解です。高齢者虐待防止法では、市町村や地域包括支援センターが通報先として明記されています。地域包括支援センターは高齢者の総合相談窓口として重要な役割を果たしています。

選択肢3. 市町村において虐待が認定された場合、行政担当者は警察に報告する義務がある。

この選択肢は不適切です。法律上、虐待認定時の警察への報告義務は規定されていません。ただし、犯罪に該当する可能性がある場合は、警察と連携することがあります。

選択肢4. 養護者による虐待の事実を確認しなくても、疑いの段階で通報することができる。

この選択肢は正解です。法律では、虐待の疑いがある段階での通報を認めています。これは早期発見・早期対応を促進するためであり、通報者の判断を尊重する姿勢が示されています。

選択肢5. 養介護施設職員が、施設において、介護業務に従事する職員による高齢者虐待を発見した場合、通報の努力義務がある。

この選択肢は不適切です。養介護施設従事者等による虐待を発見した場合、通報は努力義務ではなく、法律で定められた義務となります。これは施設内での虐待防止を徹底するための規定です。
 

まとめ

高齢者虐待防止法は、高齢者の権利擁護と安全確保を目的としています。

 

立入調査拒否への罰則規定、地域包括支援センターへの通報、虐待の疑いでの通報可能性、施設職員の通報義務など、具体的な対応策が定められています。

 

早期発見・早期対応を重視し、関係者の責務を明確にすることで、高齢者虐待の防止と適切な支援の実現を目指しています。

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02

この法律は、高齢者虐待を防ぎ、高齢者を保護するための支援などを定めた法律です。

罰則規定や義務に関する事項についての理解が求められます。

選択肢1. 家族が立ち入り調査を拒んだことに対する罰則規定はない。

この選択肢は誤りです。高齢者虐待により高齢者の生命または身体に重大な危険が生じる恐れがある場合の立ち入り調査を正当な理由なく拒んだり、妨げたりした場合には罰金が科せられます。

選択肢2. 家庭内虐待における通報先には地域包括支援センターが含まれる。

この選択肢は正しいです。家庭内虐待においての通報先は市町村と定められており、各市町村の担当窓口や地域包括センターが含まれます。

選択肢3. 市町村において虐待が認定された場合、行政担当者は警察に報告する義務がある。

この選択肢は誤りです。行政から警察への報告義務は法律上ありません。必要に応じて、警察と連携する場合もあります。

選択肢4. 養護者による虐待の事実を確認しなくても、疑いの段階で通報することができる。

この選択肢は正しいです。高齢者虐待の恐れがある段階でも通報することができます。事態の深刻化を防ぐことができるように早期の通報が必要となります。

選択肢5. 養介護施設職員が、施設において、介護業務に従事する職員による高齢者虐待を発見した場合、通報の努力義務がある。

この選択肢は誤りです。職員による高齢者虐待を発見した場合、施設職員は通報の「義務」があります。

まとめ

高齢者虐待防止法では、高齢者虐待の防止、養護者に対する支援のための高齢者の医療や福祉、行政の働きを理解しておく必要があります。

また、どのような段階で、どこに、通報する必要があるのかをしっかり押さえておくことが重要です。

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03

この問題では、高齢者虐待防止法の理解について問われています。

公認心理師も専門職として、虐待やその可能性に気づく立場にあります。適切な対応を学んでおくことが大切です。

 

では、選択肢を見てみましょう。

選択肢1. 家族が立ち入り調査を拒んだことに対する罰則規定はない。

誤りです。

第三十条「罰則」に定めがあります。

「正当な理由がなく、第十一条第一項の規定による立入調査を拒み、妨げ、もしくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは高齢者に答弁をさせず、若しくは虚偽の答弁をさせた者は、三十万円以下の罰金に処する」

 

第十一条には立入調査についての定めがあります。市町村長は高齢者への虐待があり生命や身体に重大な危険が生じているおそれがあると認める場合には、地域包括支援センター職員や高齢者の福祉に従事する職員に住居や居住所へ立ち入り、必要な調査や質問ができることとなっています。

 

よって、家族が立ち入り調査を拒んだ場合には罰則規定があるということになります。

選択肢2. 家庭内虐待における通報先には地域包括支援センターが含まれる。

正答です。

第七条「養護者による高齢者虐待に係る通報等」に定めがあります。

「養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない」

 

ここで言う「市町村」とは、地域包括支援センターや高齢者虐待防止の相談窓口などを指しています。

選択肢3. 市町村において虐待が認定された場合、行政担当者は警察に報告する義務がある。

誤りです。

第九条「通報等を受けた場合に措置」に定めがあります。

「市町村は、第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は高齢者からの養護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは、速やかに、当該高齢者の安全の確認その他当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに、第十六条の規定により当該市町村と連携協力する者とその対応について協議を行うものとする」

 

つまり、警察へ報告する義務はなく、市町村と連携協力している者との協議を行うこととされています。

 

また、第十六条には連携協力体制について定めがあります。市町村は、虐待を受けた高齢者の保護や支援のために、老人介護支援センター、地域包括支援センター、その他関係機関、民間団体等と連携協力体制を整備することとされています。

選択肢4. 養護者による虐待の事実を確認しなくても、疑いの段階で通報することができる。

正答です。

第七条二項「養護者による高齢者虐待に係る通報等」に定めがあります。

「前項(選択肢2を参照)に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない」

 

つまり、高齢者の生命や身体に重大な危険がある状況でなくても通報するように努めなければならないということです。

選択肢5. 養介護施設職員が、施設において、介護業務に従事する職員による高齢者虐待を発見した場合、通報の努力義務がある。

誤りです。

第二十一条「養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る通報等」に定めがあります。

「養介護施設従事者等は、当該養介護施設従事者等がその業務に従事している養介護施設又は養介護事業(当該養介護施設の設置者若しくは当該養介護事業を行う者が設置する養介護施設又はこれらの者が行う養介護事業を含む。)において業務に従事する養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない」

 

「通報しなければならない」という表記より、通報は努力義務ではなく義務と考えることができます。

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