公認心理師の過去問
第7回 (2024年)
午前 問61
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問題
公認心理師試験 第7回 (2024年) 午前 問61 (訂正依頼・報告はこちら)
8歳の男児A、小学2年生。Aは、「先生の話が分からない」、「学校が嫌い」と話し、授業中に他児に話しかけることや、立ち歩きも多かった。心配した保護者と担任教師はスクールカウンセラーBに相談し、Bの紹介で、Aは教育相談センターで心理検査を受けることになった。教育相談センターに勤務する公認心理師Cは、Bから、「検査の結果は、今後の学校におけるAの支援に役立てたい」という申し送りを受け、AにWISC−Vを実施した。
Cが実施するアセスメント・フィードバックとして、最も適切なものを1つ選べ。
Cが実施するアセスメント・フィードバックとして、最も適切なものを1つ選べ。
- アセスメントの結果は、まず紹介元であるBに送付する。
- 年齢を考慮し、A自身へのアセスメント・フィードバックは避ける。
- アセスメント・フィードバックの内容は、伝える相手によって変えず、同一にする。
- 下位検査得点や行動観察も含めた結果を基に、アセスメント・フィードバックを行う。
- 保護者にアセスメント・フィードバックを行う際は、Aの検査記録用紙の複写を資料として付ける。
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題では、心理アセスメントの結果のフィードバックに関する適切な方法について理解が求められています。
特に、子どもの心理検査結果の取り扱い、関係者への情報提供、プライバシーの保護、そして結果の解釈と伝達方法について正確な知識が必要です。
また、クライアントの年齢や立場、関係者の役割に応じた適切な対応を考慮することも重要です。
この選択肢は不適切です。検査結果は、まず保護者に伝えるべきです。紹介元への情報提供は、保護者の同意を得てから行うべきであり、プライバシー保護の観点からも適切ではありません。
この選択肢は不適切です。8歳児であっても、年齢に応じた方法で結果をフィードバックすることは重要です。子ども自身の理解と協力を得るためにも、適切な説明は必要です。
この選択肢は不適切です。フィードバックの内容は、受け手の立場や理解度に応じて適切に調整すべきです。保護者、教師、子ども自身では、必要な情報や説明の仕方が異なります。
この選択肢が最も適切です。総合的な評価のためには、検査得点だけでなく、行動観察や質的な分析も含めて結果を解釈し、フィードバックすることが重要です。これにより、より正確で有用な情報を提供できます。
この選択肢は不適切です。検査記録用紙には専門的な情報が含まれており、誤解を招く可能性があります。また、プライバシー保護の観点からも、生の検査記録を提供することは適切ではありません。
心理アセスメントのフィードバックでは、クライアントの年齢や立場、関係者の役割に応じた適切な情報提供が重要です。
検査得点だけでなく、行動観察や質的分析も含めた総合的な解釈を行い、受け手に合わせて内容を調整します。プライバシー保護に配慮し、専門的な記録の直接提供は避けるべきです。
また、子ども自身へのフィードバックも年齢に応じて行うことが大切です。適切なフィードバックは、クライアントの理解と支援の効果を高めます。
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02
心理検査のアセスメント・フィードバックにおける、公認心理師の態度に関する問題です。
心理検査は実施の方法や所見の書き方だけでなく、具体的な支援や工夫を提案すること、わかりやすく説明することなどの技術も必要です。また、検査結果は個人情報ともなりますので、誰に、どのように伝えるのかを、検査を受ける本人や保護者と確認することも大切です。
では、選択肢を見てみましょう。
誤りです。
検査結果は、まず本人、家族へ説明することが基本的な考え方です。個人情報でもありますので、紹介元だとしても学校関係者へ先に伝えるということは不適切な対応です。検査を受けた本人や家族へ説明し、その際に、どのような方法で学校へ伝えるのかを具体的に話し合った上で対応することが求められます。
誤りです。
被験者が子どもであっても、検査結果を知らせないということではありません。子ども本人に、検査結果を知りたいと思うか、どのような方法で知りたいか(公認心理師から聞きたいか、家族から聞きたいかなど)を確認し、その考えに合わせて対応することが大切です。
誤りです。
検査結果の内容は、伝える相手によって方法を変えることが良いと言えます。
例えば、数値について考えてみましょう。WISC-Ⅴでは、IQやパーセンタイル、信頼区間など、多くの数値が算出されます。これらを子どもに伝えても、数値の意味の理解が難しく、適切な理解がされない可能性があります。ですから、子どもに説明する時には、数値ではなく、得意な事、困りやすい事などの具体的な内容についてわかりやすく伝えるなどの配慮が必要です。
また、保護者と学校の担任教師の間でも、WISC-Ⅴに関して持っている知識が違っていたり、子どもに対する困り感や思いも異なりますので、それぞれに合わせた表現で説明することが大切です。
正答です。
WISC-Ⅴの結果について考える際には、全体のIQや各指標の数値だけでなく、下位検査得点、行動観察も含めて検討することにより、有意味なアセスメント・フィードバックとなります。ただし、下位検査得点を心理検査所見へ記載することは不適切とされていますので、検査項目や得点は明記せずに、所見や説明の中に取り入れるという注意が必要です。
また、行動観察については、数値として検討できるものでなく、公認心理師自身の感覚や経験から見立てることが求められます。公認心理師の感情、主観に偏ったアセスメントにならないよう、客観性を持ちながら考えることを意識しましょう。
誤りです。
知能検査の記録用紙は、検査に関して十分な知識を持った専門家だけが見るものとして作られています。そのため、インターネットや一般の方向けの文献にも記録用紙や具体的な問題が掲載されるということはありません。これは、検査を受ける可能性がある子どもや保護者が見てしまうことで、検査への対策や練習ができてしまったり、問題や回答が広まってしまったりすることを避けるためです。また、十分な知識を持たずに見てしまうと、誤った理解や混乱を招くなどの心配もあります。
心理検査を行う場合は、検査所見に何を記載するか、誰にどのように伝えるか、記録用紙をどのように保管するかなど、情報の扱い方についても十分に検討し、方法を整えることが重要です。
WISC-Ⅴは、検査に1時間程を要しますので、子どもにとっては負担や疲れを感じさせることも多くあります。その子どもの頑張りが、自己理解や周囲からの理解、生活への工夫や支援などにつながるよう、有意味なアセスメント・フィードバックにすることを目指して学びましょう。
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