公認心理師の過去問
第7回 (2024年)
午前 問63

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問題

公認心理師試験 第7回 (2024年) 午前 問63 (訂正依頼・報告はこちら)

30歳の男性A、会社員。喫煙をやめたいが、なかなかやめられないため、会社の健康管理室を訪れ、公認心理師に相談した。Aは、以前禁煙外来に通院したこともあるが、仕事の繁忙期に、ストレス発散のためにまた喫煙し始めてしまったという。健康を心配したパートナーにも強く禁煙を勧められ、今月中に禁煙外来を再度受診しようと思っているものの、今回もまた失敗するのではないかと恐れている。
J. O. Prochaska らの多理論統合モデル〈Transtheoretical Model〉では、Aはどのステージにあるか。最も適切なものを1つ選べ。
  • 維持期
  • 実行期
  • 準備期
  • 関心期(熟考期)
  • 前関心期(前熟考期)

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、J. O. Prochaskaらの多理論統合モデル(Transtheoretical Model)における行動変容のステージについての理解が求められます。

 

このモデルは、人々が習慣や行動を変える過程を5つのステージに分類しています。

 

各ステージの特徴を理解し、Aさんの現在の状況や考え方がどのステージに当てはまるかを適切に判断することが重要です。

選択肢1. 維持期

この選択肢は不適切です。維持期は行動変容が6ヶ月以上継続している段階ですが、Aさんは喫煙を再開しており、この段階には該当しません。

選択肢2. 実行期

この選択肢は不適切です。実行期は実際に行動変容を始めてから6ヶ月未満の段階ですが、Aさんはまだ禁煙を開始していないため、この段階ではありません。

選択肢3. 準備期

この選択肢が最も適切です。Aさんは禁煙の必要性を認識し、具体的な行動計画(今月中に禁煙外来を受診する)を立てています。これは準備期の特徴と一致しています。

選択肢4. 関心期(熟考期)

この選択肢は不適切です。関心期は行動変容の必要性を認識しているが、まだ具体的な計画がない段階です。Aさんは既に具体的な計画を立てているため、この段階を超えています。

選択肢5. 前関心期(前熟考期)

この選択肕は不適切です。前関心期は行動変容の必要性を認識していない段階ですが、Aさんは明確に禁煙の必要性を認識しているため、この段階ではありません。

まとめ

多理論統合モデルの各ステージの特徴を理解し、クライアントの状況に当てはめる能力が重要です。

 

準備期は、行動変容の必要性を認識し、具体的な計画を立てている段階です。Aさんの場合、禁煙の必要性を認識し、禁煙外来受診の計画を立てていることから、準備期に該当します。

 

このモデルを理解することで、クライアントの行動変容段階に応じた適切な支援を提供できます。

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02

プロチャスカ(J.O.Prochaska)らによる多理論統合モデルとは、多くの心理療法の理念に基づいており、それらが統合された理論です。

人の行動はすぐに変わらない、段階を経て変わっていくものと考え、行動の変容を5つのステージに分けて捉えます。保健指導やリハビリ、依存症への支援などにおいて活用され、支援者は対象者のステージに合わせた関わり方を取り入れるというものです。

 

行動変容のステージは次のように示されています。

①無関心期(前熟考期。6ヵ月以内に行動を変えるつもりがない時期)

 支援⇒対象者との信頼関係を築く。行動を変えることのメリットを知らせる。

    このままでは良くないことを知らせる。

②関心期(熟考期。6ヵ月以内に行動を変えるつもりと考えている時期)

 支援⇒対象者の不安や抵抗について気づいてもらう。

    行動を変えている自分にポジティブなイメージを持ってもらう。

③準備期(1ヵ月以内に行動を変えるつもりと考えている時期)

 支援⇒行動を変えることへの自信を持たせる。周囲の協力を得る。

    具体的な方法の選択や決定を促す。

④実行期(行動を変えてから6ヵ月未満の時期)

 支援⇒小さな変化を前向きに捉える。継続を賞賛する。

    継続できるような環境などを確認する。

⑤維持期(行動を変えてから6ヵ月以上の時期)

 支援⇒これまでの経過を振り返る。

    行動を変えたことによるメリットを評価する。

 

この問題の男性Aは「今月中に禁煙外来を再度受診しようと思っている」状態であり、1ヵ月以内の行動変容を示しています。

よって、この問題の正答は「準備期」と考えることができます。

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