公認心理師 過去問
第7回 (2024年)
問69 (午前 問69)

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問題

公認心理師試験 第7回 (2024年) 問69(午前 問69) (訂正依頼・報告はこちら)

5歳の女児A、一時保護所に入所中。Aの両親が事故に遭い入院となった。Aは幼稚園にいて無事であったが、養育者が不在となり、Aは一時保護所に入所した。当初、Aは慣れない様子で不安気であったが、次第に職員に懐き、「パパとママが退院するまで、ここで待っているの」と現状を理解していた。しかし、あるとき、「私がママの言いつけを聞かなかったから、ママは怪我したの。あの日、ママが早くお着替えしなさいと言ったのに私は遊んでいたから」と語った。
このようなAの語りの背景にある幼児期特有の心理的特徴として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 差次感受性
  • 自己中心性
  • 社会的参照
  • 対象の永続性
  • 一人でいられる能力

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、幼児期の認知発達と心理的特徴に関する理解が求められています。

 

特に、幼児がストレスフルな出来事や自分の周囲で起こる事象をどのように解釈し、理解するかについての知識が重要です。

 

Aの語りの内容を分析し、それがどのような発達段階特有の思考パターンを反映しているかを判断する能力が問われています。

選択肢1. 差次感受性

この選択肕は不適切です。差次感受性は刺激の微細な違いを識別する能力を指し、Aの語りの内容とは直接関連していません。

選択肢2. 自己中心性

この選択肢が最も適切です。幼児期の自己中心性により、Aは両親の事故を自分の行動と結びつけて解釈しています。世界の出来事を自分を中心に理解し、自分の行動が直接的に他者に影響を与えると考える傾向がこの語りに表れています。

選択肢3. 社会的参照

この選択肢は不適切です。社会的参照は他者の反応を手がかりに状況を判断する能力を指しますが、Aの語りには他者の反応を参照している様子は見られません。

選択肢4. 対象の永続性

この選択肢は不適切です。対象の永続性は物体が見えなくなっても存在し続けることを理解する能力を指しますが、Aの語りの内容とは直接関連していません。

選択肢5. 一人でいられる能力

この選択肢は不適切です。一人でいられる能力は心理的に安定して一人の時間を過ごせる能力を指しますが、Aの語りの内容とは直接関連していません。

まとめ

幼児期の自己中心性は、子どもが世界の出来事を自分を中心に解釈し、自分の行動が直接的に周囲の事象に影響を与えると考える傾向を指します。

 

この特徴により、幼児は時に周囲の出来事に対して不適切な因果関係を想定することがあります。Aの事例のように、両親の事故を自分の行動と結びつけて解釈するのは、この自己中心性の典型的な表れです。

 

幼児の認知発達段階を理解し、その特徴が子どもの言動にどのように反映されるかを把握することが重要です。

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02

この問題では、乳幼児期の心の特徴や発達に関する知識が問われています。

 

この事例で、女児Aについて注目すべき様子は、「私がママの言いつけを聞かなかったから、ママは怪我をした」という内容の語りです。

 

選択肢の内容を確認しながら、考えていきましょう。

選択肢1. 差次感受性

誤りです。

差次感受性とは、ベルスキーによる理論です。

環境からの影響の受けやすさを言います。感受性が高い人(敏感な人)は、ネガティブな環境について大きな影響を受けるだけでなく、ポジティブな環境からも影響を受けやすいと考えます。

 

事例の様子は、差次感受性では説明されないため、不適切な選択肢と言えます。

選択肢2. 自己中心性

正答です。

自己中心性とは、ピアジェによる考え方です。

2~7歳頃の子どもに見られる、自分中心に物事を考える、他者の視点に立って考えにくいという特徴を指しています。

 

事例の女児Aも、両親の事故を自分の行動によって起きたことと話していることから、自分中心に状況を考えていると考えられます。

 

よって、適切な選択肢と言えます。

選択肢3. 社会的参照

誤りです。

社会的参照とは、子どもが周りの人(特に信頼している母親など)の反応を参考として、状況の理解や行動選択をすることを指します。例えば、初めて会う人に対して、母親がにこやかにしていれば子どもも安心できますが、母親が緊張した様子だと子どもも不安になるという状況があげられます。

 

事例の状況は、社会的参照では説明されないため、不適切な選択肢と言えます。

選択肢4. 対象の永続性

誤りです。

対象の永続性は、ピアジェによる考え方です。

子どもは8ヶ月頃になると、実際に目に見えなくても、そこに存在しているということが分かるようになります。例えば、いないいないばあをして遊ぶ時に、相手の顔が隠れていても、そこに相手がいることが分かるので、遊びを楽しめるようになるということです。

 

事例の状況は、対象の永続性では説明されないため、不適切な選択肢と言えます。

選択肢5. 一人でいられる能力

誤りです。

一人でいられる能力とは、ウィニコットによる考えです。

親(特に母親)から離れても、一人で活動できる力を言います。離れても活動できるということは、自分と親が心でつながっている、何かあった時には帰れる存在がいるという感覚を発達の過程で獲得しているということです。

 

事例の状況は、一人でいられる能力では説明されないため、不適切な選択肢と言えます。

まとめ

心の発達や発達段階ごとの心理的な特徴は、公認心理師にとって基本的な知識の一つですので、よく学んでおきましょう。特に、乳幼児や児童生徒を対象に仕事をする場合には、大切な知識となります。

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