公認心理師 過去問
第7回 (2024年)
問70 (午前 問70)

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問題

公認心理師試験 第7回 (2024年) 問70(午前 問70) (訂正依頼・報告はこちら)

67歳の男性A、刑事施設に入所中。Aは、軽度の知的障害があることが分かっている。若い頃から窃盗を繰り返しており、最近も執行猶予中にもかかわらず、スーパーマーケットから食料品等を万引きし、その結果、懲役1年の刑に処された。家族や親族はAの受け入れを拒否しており、Aの社会的自立は困難と予想されている。
このような場合、今後、Aが出所して社会生活に戻る際に、刑事施設が特別調整の中で優先的に連携する機関として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 福祉事務所
  • ハローワーク
  • 精神保健福祉センター
  • 就労継続支援A型事業所
  • 地域生活定着支援センター

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、刑事施設から出所する高齢または障害のある受刑者の社会復帰支援システムについての理解が求められています。

 

特に、特別調整という制度の目的と、関係機関の役割を正確に把握することが重要です。

 

Aの状況(高齢、知的障害、再犯リスク、家族の支援なし)を考慮し、最も適切な支援機関を選択する能力が問われています。

選択肢1. 福祉事務所

この選択肢は不適切です。福祉事務所は生活保護などの福祉サービスを提供しますが、特別調整の中心的な役割は担いません。ただし、支援の過程で連携する可能性はあります。

選択肢2. ハローワーク

この選択肢は不適切です。ハローワークは就労支援を行いますが、Aの状況(知的障害、再犯リスク)を考えると、就労支援以前の生活基盤の確立が優先されるべきです。

選択肢3. 精神保健福祉センター

この選択肢は不適切です。精神保健福祉センターは主に精神障害者の支援を行いますが、Aの主な課題は知的障害と再犯防止であり、優先的な連携先としては適切ではありません。

選択肢4. 就労継続支援A型事業所

この選択肢は不適切です。就労継続支援A型事業所は障害者の就労支援を行いますが、Aの場合、まず生活基盤の確立が必要であり、就労支援は次の段階の課題となります。

選択肢5. 地域生活定着支援センター

この選択肢が最も適切です。地域生活定着支援センターは、高齢または障害のある刑務所出所者の社会復帰を支援する専門機関です。特別調整の中心的な役割を担い、福祉サービスの調整や住居の確保など、包括的な支援を行います。

まとめ

特別調整は、高齢または障害のある受刑者の円滑な社会復帰を支援する制度です。

 

地域生活定着支援センターは、この制度の中心的な役割を担い、刑事施設と福祉機関の橋渡しをします。センターは、出所者の生活基盤の確立、福祉サービスの利用調整、住居の確保など、包括的な支援を行います。

 

再犯防止と社会復帰の観点から、適切な支援機関の選択と連携が重要です。

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02

福祉的な支援をする機関の知識が問われています。

厚生労働省ホームページを参考に解説していきます(一部、引用があります)。

 

正答は「地域生活定着支援センター」です。

地域生活定着支援センターとは、高齢者又は障害により、福祉的な支援を必要とする犯罪をした人等に対し、保護観察所、矯正施設、留置施設、検察庁及び弁護士会といった刑事司法関係機関、地域の福祉関係機関等と連携・協働しつつ、刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束中から解釈後まで一貫した相談支援を実施することにより、その社会復帰及び地域生活への定着を支援する機関です。

 

主な業務としては、次の通りです。

①コーディネート業務(矯正施設を退所予定の人の帰住地調整支援)

②フォローアップ業務(矯正施設を退所した人の受け入れ施設等への助言等)

③被疑者等支援業務(被疑者、被告人の福祉サービスの調整、継続的な支援等)

④相談支援業務(犯罪をした人・非行のある人への福祉サービス等の相談支援)

⑤上記の業務を円滑に実施するための業務、関係機関等との連携、地域の支援ネットワークの構築等

 

この事例の男性Aは、軽度の知的障害がある犯罪をした人と言えますので、選択肢の中では「地域生活定着支援センター」が適していると考えられます。

 

では、他の選択肢も見てみましょう。

選択肢1. 福祉事務所

福祉事務所は、福祉六法(生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法)に基づいて、それらに定められている援護、育成又は構成の措置に関する事務を司る社会福祉機関です。都道府県及び市には設置が義務づけられており、町村は任意で設置することができます。

具体的な業務としては、援護を必要としている人の家庭訪問や面接、調査、実態把握などを行い、措置の必要性の判断、生活指導を行います。

選択肢2. ハローワーク

ハローワークは公共職業安定所とも呼ばれます。仕事を探すの就職をサポートする、求人事業主に対して人材の確保をサポートを無償で行っています。

選択肢3. 精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは、精神保健の向上及び精神障害者の福祉の増進を図るための機関です。各都道府県及び政令指定都市に設置するよう定められています。業務は、精神的健康の増進、精神障害の予防、適切な精神医療の増進、社会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のための援助など、多岐に渡ります。アルコール、薬物、思春期などの特定相談にも対応しています。

選択肢4. 就労継続支援A型事業所

就労継続支援A型事業所とは、病気や障がいのために一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行う機関です。

選択肢5. 地域生活定着支援センター

上記の通りです。

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