公認心理師 過去問
第7回 (2024年)
問71 (午前 問71)

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問題

公認心理師試験 第7回 (2024年) 問71(午前 問71) (訂正依頼・報告はこちら)

14歳の男子A、中学2年生。Aは、1か月前から登校していない。Aの担任教師によると、Aから、「今まで言わなかったけれども、実は、所属する部活動の仲間からずっと暴力を受けてきた」と訴えがあったという。また、Aの保護者によれば、Aはショックで精神的に不安定になり、卒業まで学校に行きたくないと言っているという。Aが校内でいじめられた疑いがあることについて、スクールカウンセラーを含む校内委員会が組織された。
校内委員会が進めることとして、不適切なものを1つ選べ。
  • AとAの保護者に調査の経過報告を適宜行う。
  • Aの学習の機会を保障するように支援を行う。
  • 必要に応じてAを医療機関につなげる支援を行う。
  • 加害が疑われる生徒への聞き取りを優先的に実施する。
  • 学校・教職員の対応に関する情報を可能な限り網羅的に収集する。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、学校におけるいじめ対応の適切な手順と、校内委員会の役割について理解することが重要です。

 

特に、被害生徒の保護と心理的ケア、公平な調査の実施、関係者への適切な情報提供、そして学校全体としての対応の在り方について正確な知識が求められます。

 

また、いじめ防止対策推進法に基づく対応の基本的な流れを把握していることも重要です。

選択肢1. AとAの保護者に調査の経過報告を適宜行う。

この選択肢は適切です。被害生徒とその保護者に対する情報提供は、信頼関係の構築と適切な支援のために重要です。透明性のある調査過程を示すことで、不安を軽減し、協力を得やすくなります。

選択肢2. Aの学習の機会を保障するように支援を行う。

この選択肢は適切です。不登校状態にあるAの教育を受ける権利を保障することは学校の重要な責務です。適切な学習支援を行うことで、Aの将来的な学校復帰にもつながる可能性があります。

選択肢3. 必要に応じてAを医療機関につなげる支援を行う。

この選択肢は適切です。いじめによる心理的影響は深刻な場合があり、専門的なケアが必要になることもあります。Aの精神的健康を守るため、必要に応じて医療機関との連携を図ることは重要です。

選択肢4. 加害が疑われる生徒への聞き取りを優先的に実施する。

この選択肢が不適切です。公平で包括的な調査を行うためには、加害が疑われる生徒だけでなく、被害生徒、目撃者、教職員など、関係するすべての人々から情報を収集する必要があります。特定の対象への偏った調査は避けるべきです。

選択肢5. 学校・教職員の対応に関する情報を可能な限り網羅的に収集する。

この選択肢は適切です。いじめの全容を把握し、適切な対策を講じるためには、学校や教職員の対応に関する情報も含めて、包括的な情報収集が不可欠です。これにより、組織的な問題点も明らかになる可能性があります。

まとめ

いじめ対応における校内委員会の役割は、公平かつ包括的な調査の実施、被害生徒の保護と支援、関係者への適切な情報提供、そして学校全体としての対応策の検討です。

 

特定の対象への偏った調査は避け、すべての関係者からバランスよく情報を収集することが重要です。また、被害生徒の心理的ケアと学習機会の保障、必要に応じた外部機関との連携も重要な任務です。

 

これらの対応を通じて、いじめの再発防止と安全な学校環境の構築を目指します。

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02

校内委員会は、問題への対応や児童生徒への支援が必要な場合に、情報を共有する、対応や支援の方向性を決める、役割分担を行い実践するような場となります。この委員会へは、学校の職員だけでなく、状況によってスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、教育委員会の担当者など、外部の専門職が加わる場合もあります。

 

事例では、いじめがあったという訴えがあり、さらにいじめを受けた生徒が不適応の状態となっています。

 

この問題では、校内員会の対応として不適切なものを選びます。

では、選択肢を見てみましょう。

選択肢1. AとAの保護者に調査の経過報告を適宜行う。

適切な対応です。

いじめを訴えているAとその保護者に対しては、学校の考えや対応を伝えることが大切です。家庭と丁寧に情報共有することにより、Aと保護者が学校を信頼することができ、協力的な関係を築くことができます。

選択肢2. Aの学習の機会を保障するように支援を行う。

適切な対応です。

Aは登校が難しい状況であり、十分に学習を行うことができずにいると考えられます。Aの気持ちに配慮しながら、学校が提供できる学習の方法を検討していくことが大切です。

選択肢3. 必要に応じてAを医療機関につなげる支援を行う。

適切な対応です。

Aは精神的に不安定とあります。元気のない状態が続く、食欲不振や睡眠の困難などの生活の変化がある、体調不良があるなどの場合には、小児科や心療内科などの受診を提案することも必要です。

選択肢4. 加害が疑われる生徒への聞き取りを優先的に実施する。

不適切な対応です。

加害が疑われる生徒への聞き取りも重要ですが、必ずしも優先するべきこととは言えません。いじめを受けたと訴えているAへの支援を行う、具体的な聞き取りの方法や役割を十分に検討することが重要と考えられます。

選択肢5. 学校・教職員の対応に関する情報を可能な限り網羅的に収集する。

適切な対応です。

教職員が実施してきた対応や指導場面での生徒の様子などの情報を十分に整理した上で、支援や対応を進めることが大切です。

まとめ

いじめ防止対策推進法では、地方公共団体が当該地域の状況に応じた施策を制定し、実施することを定めています。公認心理師がスクールカウンセラーとして勤める場合には、勤務する地域のいじめ対策について把握しておきましょう。

 

また、いじめへの対応については、学校内だけでなく教育委員会の担当者なども共に進める場合があります。さまざまな立場の職員がいる中でスクールカウンセラーとしての専門性を十分に理解し、意見を述べたり、支援にあたったりすることが大切です。

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