公認心理師 過去問
第7回 (2024年)
問74 (午前 問74)
問題文
80歳の女性A、自宅で一人暮らし。Aは、Alzheimer型認知症と診断されている。先日、Aの日常生活の世話をしていた夫Bが、急性心筋梗塞で亡くなった。このことを受け、Aを担当する居宅介護支援事業所のケアマネージャーCから、地域包括支援センターに連携の依頼があった。Cによると、Aは、3年前に要介護認定を受け、訪問看護とデイサービスの利用を開始した。その後も、Aの認知機能は徐々に低下し、1年前には、一人で買い物や金銭の管理をすることが困難な状態になった。最近は、食事や服の着替えについてもBの介助が必要であった。Bが亡くなった現在、Aに存命の親族はいない。
この時点で、地域包括支援センターのAへの支援として、適切なものを2つ選べ。
この時点で、地域包括支援センターのAへの支援として、適切なものを2つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第7回 (2024年) 問74(午前 問74) (訂正依頼・報告はこちら)
80歳の女性A、自宅で一人暮らし。Aは、Alzheimer型認知症と診断されている。先日、Aの日常生活の世話をしていた夫Bが、急性心筋梗塞で亡くなった。このことを受け、Aを担当する居宅介護支援事業所のケアマネージャーCから、地域包括支援センターに連携の依頼があった。Cによると、Aは、3年前に要介護認定を受け、訪問看護とデイサービスの利用を開始した。その後も、Aの認知機能は徐々に低下し、1年前には、一人で買い物や金銭の管理をすることが困難な状態になった。最近は、食事や服の着替えについてもBの介助が必要であった。Bが亡くなった現在、Aに存命の親族はいない。
この時点で、地域包括支援センターのAへの支援として、適切なものを2つ選べ。
この時点で、地域包括支援センターのAへの支援として、適切なものを2つ選べ。
- 自立支援医療の申請
- 後見開始の審判の申立て
- 地域ケア個別会議の開催
- 介護予防サービス計画の作成
- 認知症初期集中支援チームとの連携
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題では、認知症高齢者の一人暮らしに対する地域包括支援センターの適切な支援について理解することが重要です。
特に、認知機能の低下が進行し、キーパーソンを失った高齢者に対して、どのような支援が必要かを考える必要があります。
地域包括支援センターの役割と、認知症高齢者の生活を支える各種制度やサービスについての知識が問われています。
この選択肢は不適切です。自立支援医療は主に精神疾患や身体障害に対する医療費の助成制度であり、Aの現状に対する緊急の支援としては適切ではありません。
この選択肢は適切です。Aは認知機能が低下し、金銭管理や日常生活に支障があり、かつ親族がいないため、成年後見制度の利用が必要です。地域包括支援センターは申立ての支援を行うことができます。
この選択肢は適切です。Aの状況が大きく変化したため、関係機関が集まって支援方針を検討する必要があります。地域ケア個別会議では、多職種が協働してAの支援計画を立てることができます。
この選択肢は不適切です。Aは既に要介護認定を受けており、介護予防サービスの対象ではありません。現在の状況に応じた居宅サービス計画の見直しが必要です。
この選択肢は不適切です。認知症初期集中支援チームは主に認知症の初期段階や診断前の人を対象としており、既に診断を受け、サービスを利用しているAには適していません。
地域包括支援センターは、認知症高齢者の生活を多面的に支援する役割があります。
特に、成年後見制度の利用支援や地域ケア個別会議の開催を通じて、高齢者の権利擁護と適切なケアプランの作成を行います。
認知症の進行度や生活状況の変化に応じて、適切な支援やサービスを選択し、多職種・多機関と連携して包括的な支援を提供することが重要です。
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02
この問題では、地域包括支援センターの役割や認知症の支援に関する知識が問われています(厚生労働省ホームページを参考に解説します)。
まず、地域包括支援センターの役割について確認しましょう。
地域包括支援センターとは、介護保険法に基づき、市町村が設置する機関です。保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員等のチームで、高齢者の保健医療の向上、福祉の増進を支援します。
具体的な業務は次の通りです。
○相談支援(生活上のさまざまな相談を受ける)
○権利擁護(金銭トラブルや虐待などの予防・早期発見、成年後見制度の紹介や
申立ての支援など)
○介護予防ケアマネジメント(介護を予防するための支援など)
○包括的・継続的ケアマネジメント支援(地域ケア個別会議、ケアマネージャー
への支援など)
上記より、選択肢の中では「後見開始の審判の申立て」「地域ケア個別会議の開催」が適切な支援であり、正答と考えることができます。
では、他の選択肢についても見てみましょう。
自立支援医療は、医療費の自己負担を軽減する制度です。認知症の場合は、精神通院医療制度を利用することができます。この手続きは、市町村の担当窓口での手続きが必要であり、地域包括支援センターでは対応されません。
また、この事例の方の場合は、認知機能が低下しており、このような手続きも後見人の力を借りる事が必要と想定されるため、現段階での支援ではないと考えられます。
後見制度とは、認知症や知的障害などのために理解力、判断力が不十分な方を支援する制度です。金銭面の管理、生活に必要な契約や手続きなどを本人に代わって行い、生活を守る役割があります。後見人は、自身の子どもなどの親族、信頼できる友人や知人が選任されることもありますが、後見人となる人がいない場合には、弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門職が選任される場合もあります。
この事例の場合は、存命の親族はいないとありますので、専門職の後見人が選任されることが想定されます。
地域ケア個別会議とは、生活に支援を必要としている方々が、住み慣れた地域で生活を続けることができるように、関係機関や専門家が課題や支援について話し合う場です。
この事例では、生活の世話をしていた夫がなくなったため、女性Aだけの力で生活することが困難となったと言えます。その生活を支えるために、A自身の状況の整理、必要な制度やサービスについて話し合われると想定されます。
介護予防サービス計画とは、要支援認定されている方が介護サービスを利用するために作成されるもので、介護の方針や具体的な介護サービスをまとめたものです。
この事例の場合は、3年前に養介護認定を受けており、介護サービスの利用を開始していますので、既に介護予防サービス計画は作成されていると考えられます。
認知症初期集中支援チームとは、認知長の早期発見、早期対応を目的としたチームです。医師や看護師、保健師、社会福祉士、精神保健福祉士などの医療と介護の専門職によって構成されます。認知症の疑いがある方、認知症の診断を受けているが医療や介護のサービスを受けていない方などを対象とし、本人や家族の話を聴く、医療機関やサービスを紹介するなどの対応をするなどの役割があります。初期対応を行うチームですので、概ね6ヵ月間の支援を行います。
この事例では、既に3年前に認知症の診断を受け、サービスを受けていますので、現段階の支援としては不適切と考えられます。
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