公認心理師 過去問
第7回 (2024年)
問75 (午前 問75)

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問題

公認心理師試験 第7回 (2024年) 問75(午前 問75) (訂正依頼・報告はこちら)

25歳の男性A、対人援助職。Aは、心身の不調により医療機関を受診し、公認心理師が面接をした。Aによると、入職した3年前は、やる気に満ち、支援対象である子どもと関わることが楽しみで、やりがいも感じていた。しかし、1年前から、担当児童数が急激に増え、責任ある仕事を任されることも多くなり、最近は、仕事に行きたくないという気持ちが毎日続いている。何とか職場に行っても、共感的に子どもと関わることが難しく、個々のニーズに対応することを面倒に感じ、書類の整理などの事務的な作業をして、子どもとの関わりを避けることも多くなったという。
Aの状態に関係が深い症状として、適切なものを2つ選べ。
  • 脱人格化
  • 現実感消失
  • 情緒的消耗
  • 複雑性悲嘆
  • 空の巣症候群

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、対人援助職における職業性ストレスとバーンアウト症候群についての理解が求められています。

 

特に、バーンアウトの主要な症状と、その他の心理的問題との区別が重要です。

 

Aの状況を詳細に分析し、症状の特徴を正確に把握する能力が問われています。

選択肢1. 脱人格化

この選択肢は適切です。Aが子どもとの関わりを避け、共感的に接することが難しくなっている状態は、脱人格化の典型的な症状です。対人援助職のバーンアウトでよく見られる症状の一つです。

選択肢2. 現実感消失

この選択肢は不適切です。現実感消失は解離性障害の症状の一つで、Aの状況からは読み取れません。バーンアウトとは異なる病態を示しています。

選択肢3. 情緒的消耗

この選択肢は適切です。Aが仕事に行きたくないと感じ、やりがいを失っている状態は、情緒的消耗を示しています。これはバーンアウトの中核的な症状の一つです。

選択肢4. 複雑性悲嘆

この選択肢は不適切です。複雑性悲嘆は大切な人との死別後に見られる病的な悲嘆反応で、Aの職業性ストレスとは関連がありません。

選択肢5. 空の巣症候群

この選択肢は不適切です。空の巣症候群は子どもの独立後に親が経験する心理的問題で、Aの状況とは全く異なります。

まとめ

バーンアウト症候群の主要な症状である「脱人格化」と「情緒的消耗」を正確に理解することが重要です。

 

対人援助職特有のストレス要因と、それによって引き起こされる心理的・行動的変化を把握しましょう。

 

また、バーンアウトと他の心理的問題との違いを区別できるようになることも大切です。これらの知識は、職業性ストレスの予防と対策を考える上で非常に重要となります。

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02

問題の男性Aの状態について、注目すべき様子は次の通りです。

・入職した頃は、やる気に満ちており、仕事が楽しみでやりがいを感じていた。

・担当する児童数が増え、席になる仕事も任されるようになった。

・最近は仕事に行きたくない気持ちが続いている。

・仕事に行っても、共感的に子どもに関わることが難しく、関わりを避ける

 ようにもなっている。

 

上記の様子は、意欲的に仕事へ取り組んでいた人が、燃え尽きたように意欲を失くしてしまったという状態であり、燃え尽き症候群(バーンアウト)と考えられます。

 

燃え尽き症候群は、次の3つの症状によって定義されています。

①情緒的消耗感(情緒的に疲れ果ててしまった状態)

②脱人格化(他者へ思いやりのない態度をとるような様子)

③個人的達成感の低下(仕事の質が落ちてしまう状態)

 

よって、選択肢の中では「脱人格化」「情緒的消耗」が男性Aの状態に関係が深いと考えられ、この問題での正答となります。

 

では、他の選択肢も見てみましょう。

選択肢1. 脱人格化

正答です。

仕事で接する同僚や利用者、顧客等に対して、思いやりのない態度をとる症状です。例えば、コミュニケーションをとろうとしない、相手の人格を無視するような配慮のない言動をする、人との関わりよりも事務的な作業をしようとするなどの様子が見られます。

選択肢2. 現実感消失

誤りです。

現実感消失とは、自分の周りの状況が非現実的に感じる、離脱したように感じる状態です。例えば、夢の中にいるように感じる、色がないように感じる、現実感がないなどの感覚が生じます。パニック症、離人・現実感消失症などの症状です。

選択肢3. 情緒的消耗

正答です。

仕事を頑張り、情緒的に消耗してしまった状態を言います。人と関わる仕事では、実際の業務だけでなく、他者へ思いやりを持って行動する、他者と信頼関係を築く、相手の要求に対応するなど、情緒的な労働もしていると言えます。そのために、情緒的に消耗してしまい、疲れや意欲の低下などが生じてしまうことがあります。

選択肢4. 複雑性悲嘆

誤りです。

複雑性悲嘆とは、自分にとって大切な人を失くした後に、その強い悲しみが長期に続き、生活に支障が出ている状態を指します。失くした人のことが頭から離れない、人間関係に影響が出る、その人がいない人生の見通しを持つことができないなどの様子が生じます。うつ病やPTSDなどと合併して生じる場合が多いとされています。

選択肢5. 空の巣症候群

誤りです。

空の巣症候群とは、子どもが独立して巣立った後に、親が自分の役割を喪失したと感じてしまう、寂しさを強く感じてしまうという状態です。それによって、抑うつ症状が生じる場合があります。

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