公認心理師の過去問
第7回 (2024年)
午後 問62

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問題

公認心理師試験 第7回 (2024年) 午後 問62 (訂正依頼・報告はこちら)

21歳の女性A、両親と同居中。アルバイトが長続きせず、家に閉じこもっていることを心配した親に連れられて、精神科クリニックを受診した。Aによると、小学生の頃から人前で話すのが苦手で、中学、高校でも、人から見られていると思うと強い不安を感じ、学校も休みがちであった。アルバイトでは、他の従業員が集まっているスタッフルームに後から入るときや、昼休みの雑談のときなどに特に緊張が高まって、欠勤してしまうことが増え、アルバイトを辞めてしまうことを繰り返していたという。
Aの病態評価のために行う心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
  • CARS
  • LSAS−J
  • PDSS
  • POMS
  • SDS

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、社交不安障害(社交恐怖)の症状を示す21歳の女性Aの病態評価に最も適切な心理検査を選ぶ必要があります。

選択肢1. CARS

CARSは自閉症スペクトラム障害の評価に使用される尺度です。Aの症状は自閉症とは異なるため、この検査は不適切です。
 

選択肢2. LSAS−J

この選択肢が最も適切です。LSAS-Jは社交不安障害の重症度を評価するための尺度で、Aの症状である人前での不安や回避行動を適切に評価できます。

選択肢3. PDSS

PDSSはパニック障害の重症度を評価する尺度です。Aの症状はパニック障害よりも社交不安障害に近いため、この検査は不適切です。

選択肢4. POMS

POMSは気分状態を評価する尺度です。Aの主な問題は気分の変動ではなく、特定の社会的状況での不安であるため、この検査は最適ではありません。

選択肢5. SDS

SDSはうつ症状を評価する尺度です。Aの主な症状は抑うつよりも社交不安であるため、この検査は最適ではありません。

まとめ

社交不安障害の評価では、患者の具体的な症状に適した心理検査を選択することが重要です。

 

本問題では、Aの症状が人前での不安や社交場面での緊張に関連しているため、社交不安の重症度や状況に応じた恐怖感を測定できる尺度が必要です。LSAS-Jは社交不安障害に特化しており、適切な評価手段となります。

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02

精神医学的診断におけるアセスメントの際に用いる心理検査に関する問題です。

検査の対象、目的、内容をしっかり把握しましょう。

選択肢1. CARS

誤りです。

CARS(Childhood Autism Rating Scale)は、自閉症スペクトラム症(ASD)の診断評価とその重症度が測定できる検査になります。この事例における記述と合致しません。

選択肢2. LSAS−J

正解です。

LSAS-Jは、Michael R. Liebowitzによって考案された社交不安障害の尺度です。

社交不安障害とは、人から注目を浴びるような状況に対して、過度な恐怖や不安を感じてしまう障害のことで、この事例の症状と一致しています。

選択肢3. PDSS

誤りです。

PDSS(Panic Disorder Severity Scale)は、パニック障害の中核的特徴を評価する検査です。ここでは、パニック障害の記述はされていません。

選択肢4. POMS

誤りです。

POMS(Profile of Mood States)は、緊張‐不安、抑うつ‐落ち込み、怒り‐敵意、活気、疲労、混乱の6尺度によって気分を評価する検査です。この事例には該当しません。

選択肢5. SDS

SDS(Self-rating Depresion Scale)は、抑うつ式自己評価尺度で、抑うつ主感情、身体的症状、精神的症状に分類されています。この事例では、抑うつ症状の記載はありません。

まとめ

事例から、人前で話すことが苦手、人から見られていると思うと強い不安を感じる、雑談のときなどに特に緊張が高まる、という記述から、社交不安であることを導き出すことがポイントです。各心理検査についても、しっかり把握しておきましょう。

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