公認心理師の過去問
第7回 (2024年)
午後 問64

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問題

公認心理師試験 第7回 (2024年) 午後 問64 (訂正依頼・報告はこちら)

20歳の男性A、医療系大学生。下痢と腹痛を訴え、内科クリニックを受診した。Aによると、半年前から学外の病院に実習で通うことになった。その頃から、ストレスを感じるようになり、下痢が始まった。3か月前からは、腹痛を伴うようになっている。実習がある日は、排便の頻度が1日10回程度に増え、何度もトイレに駆け込んでしまったことがある。トイレに行くことを周囲の学生に気づかれるのではないかと不安で、実習に行くことが怖いという。症状は排便によって改善し、実習がない日の便通や便の形状は正常である。内科的検査が行われたが、異常は認められなかった。
Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
  • 社交不安症
  • 広場恐怖症
  • 潰瘍性大腸炎
  • 過敏性腸症候群
  • 機能性ディスペプシア

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題では、消化器症状と心理的要因の関連性を理解し、機能性消化管障害の特徴を把握することが重要です。

 

特に、症状の発症時期、誘因、経過、および身体的検査結果を総合的に考慮する必要があります。

選択肢1. 社交不安症

この選択肢は不適切です。社交不安症は社会的状況での不安が主症状ですが、Aの主訴は消化器症状であり、社交不安は二次的なものと考えられます。

選択肢2. 広場恐怖症

この選択肢は不適切です。広場恐怖症は開けた場所や人混みでの不安が特徴ですが、Aの症状は特定の状況(実習)に関連しており、広場恐怖症の典型的な症状とは一致しません。

選択肢3. 潰瘍性大腸炎

この選択肕は不適切です。潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患の一つですが、Aの症状は状況依存的であり、内科的検査で異常が認められていないことから、器質的疾患の可能性は低いです。

選択肢4. 過敏性腸症候群

この選択肢が最も適切です。Aの症状(下痢、腹痛、排便頻度の増加)はストレスと関連しており、実習がない日は正常であること、内科的検査で異常がないことから、過敏性腸症候群の特徴と一致します。
 

選択肢5. 機能性ディスペプシア

この選択肢は不適切です。機能性ディスペプシアは主に上腹部の症状(胃もたれ、早期飽満感など)を特徴としますが、Aの主訴は下痢と腹痛であり、機能性ディスペプシアの典型的な症状とは異なります。

まとめ

過敏性腸症候群は、腹痛と便通異常を主症状とする機能性消化管障害です。

 

ストレスとの関連性が強く、症状が状況依存的であることが特徴です。器質的疾患が除外されていることが診断の重要なポイントとなります。

 

心理的要因と消化器症状の関連性を理解し、他の消化器疾患や不安障害との鑑別ができることが重要です。

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02

心理的ストレスから生じた症状をアセスメントする事例問題です。症状に対する診断名を把握しておきましょう。

選択肢1. 社交不安症

誤りです。

社交不安症とは、他人から注視される状況で強い恐怖や不安を感じることです。

選択肢2. 広場恐怖症

誤りです。

広場恐怖症は、「逃げ場がない状況」や「助けが得られない状況」に対して恐怖を感じる病気です。パニック発作を伴うことがあります。

選択肢3. 潰瘍性大腸炎

誤りです。

潰瘍性大腸炎とは、近年増加している原因不明の炎症性腸疾患です。お腹の痛み・下痢・血便といった辛い消化器症状が現れます。

この事例では、症状は排便によって改善し、実習がない日の便通や便の形状は正常であると記載されているため、血便や炎症のある潰瘍性大腸炎には該当しないことがわかります。

選択肢4. 過敏性腸症候群

正解です。

 

過敏性腸症候群とは、ストレスが発生下で、通常の大腸内視鏡検査では腸に腫瘍や炎症などの異常が認められないのに、慢性的な下痢や便秘、腹痛などの症状が数か月に続く病気です。この事例の症状に該当します。

選択肢5. 機能性ディスペプシア

誤りです。

機能性ディスペプシアとは、検査で明らかな異常がないにもかかわらず、慢性的なみぞおち辺りの痛みや胃もたれなどの上腹部症状を現す病気を指します。心理的なストレスが1つの原因だといわれています。

まとめ

それぞれの症状に現れる身体的特徴をしっかりと整理しておきましょう。

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