公認心理師 過去問
第7回(2024年)
問145 (午後 問68)
問題文
17歳の女子A、高校2年生。高校1年生の頃、Aは、勉強に励んでいて、成績も良かった。その甲斐もあって、高校2年生になると、ある教科の能力別クラス編成では、一番成績の良いクラスに入った。しかし、そのクラスでは、テストの問題が難しくなり、Aが一生懸命勉強しても、良い成績が取れなくなってしまった。Aは、良い成績を取るために、テスト勉強の時間を増やすなど、できる限りの努力をしたが、成績は低いままであった。Aは、一般のクラスに移りたいと希望したが、親の反対により移れなかった。その後も、Aの成績は上がらず、勉強に励む様子もみられなくなった。
Aの現在の状態を説明する概念として、最も適切なものを1つ選べ。
Aの現在の状態を説明する概念として、最も適切なものを1つ選べ。
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問題
公認心理師試験 第7回(2024年) 問145(午後 問68) (訂正依頼・報告はこちら)
17歳の女子A、高校2年生。高校1年生の頃、Aは、勉強に励んでいて、成績も良かった。その甲斐もあって、高校2年生になると、ある教科の能力別クラス編成では、一番成績の良いクラスに入った。しかし、そのクラスでは、テストの問題が難しくなり、Aが一生懸命勉強しても、良い成績が取れなくなってしまった。Aは、良い成績を取るために、テスト勉強の時間を増やすなど、できる限りの努力をしたが、成績は低いままであった。Aは、一般のクラスに移りたいと希望したが、親の反対により移れなかった。その後も、Aの成績は上がらず、勉強に励む様子もみられなくなった。
Aの現在の状態を説明する概念として、最も適切なものを1つ選べ。
Aの現在の状態を説明する概念として、最も適切なものを1つ選べ。
- 原因帰属
- 学習性無力感
- 自己調整学習
- 内発的動機づけ
- 防衛的悲観主義
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この過去問の解説 (2件)
01
以下に解説します。
成績の良し悪しを他の要因(自分の能力や努力、運など)にどのように帰属させるかに関するものですが、Aの場合、無力感が大きく影響しており、原因帰属だけでは説明が不十分です。
正しいです。学習性無力感は、個人が何度も努力しても結果が得られない状況に直面し、次第に「どう頑張っても結果は変わらない」という感覚を抱くことによって、やる気や努力を失ってしまう心理状態を指します。
学習者が自分で学習の目標設定や進捗のモニタリングを行う能力ですが、Aは勉強に対するやる気を失い、自己調整学習が十分に機能していない状態です。
個人が外部からの報酬ではなく、自分の興味や喜びから動機づけられる状態を指しますが、Aは成績向上のために努力していたが、無力感によりその動機が消失しています。
最初から悪い結果を予想して準備をし、失敗に備えることです。
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02
以下に解説します。
×
原因帰属とは、ある結果が生じた際に、特定の原因との因果関係を仮定してしまう推論過程についての理論です。
Aが良い点を取れなくなった理由や勉強に励むことができなくなった理由について、明確に何かしらに対する原因帰属が行われていると判断できる文言はありません。
〇
ある状況に対処するために行動を行ったにも関わらず、自分の行動が結果に影響を及ぼさないという学習履歴が積まれることで自発的な対処行動が生起しなくなることを学習性無力感と呼びます。
本問においてAさんは成績を良くするために様々な対処行動を取っていますが、状況は変化しなかった旨が記されていることから、学習性無力感の生起機序と合致します。
×
自己調整学習は、学習者自身によって課題や目標を設定し、到達手段や復習を通した成長プロセスが次の学習のモチベーションにも繋がっていくという一連のプロセスに基づいた学習方略を指します。
Aさんがそのような学習を行っていたかは断言できず、また勉強に励むことがなくなってしまったという「Aの現在の状態を説明する概念」としては不適格です。
×
行動を生起する主たる要因が外的な報酬ではなく、楽しいという感情や好奇心といった内的な動因に基づくものを内発的動機づけと呼びます。
問題文を読むとAさんは勉強や努力を行う主たる目的が成績という外的評価であると推察されるため、不適切な選択肢となります。
×
防衛的悲観主義は、自身の能力やパフォーマンスを過小に評価する認知方略得を採用することで、結果的に失敗を回避したり不安を低減したりといったポジティブなパフォーマンスを期待するものです。
問題文中に、Aさんがそういった方略を採っているような記載はないです。
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